ナイアーラトテップ
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ナイアーラトテップ (Nyarlathotep) は、クトゥルフ神話などに登場する架空の神性。日本語では他にナイアーラソテップ、ナイアルラトホテップ、ニャルラトホテプ、ニャルラトテップなどとも表記される。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
別名に「這い寄る混沌 (crawling chaos)」、「無貌の神 (The Faceless God)」、「暗黒神」、「闇に棲むもの」、「大いなる使者」、「燃える三眼」、「顔のない黒いスフィンクス」、「強壮なる使者」、「百万の愛でられしものの父」、「夜(月)に吠ゆるもの」、「盲目にして無貌のもの」、「魔物の使者」、「暗きもの」、「ユゴスに奇異なるよろこびをもたらすもの」、「古ぶるしきもの」、「膨れ女」などがある。
オーガスト・ダーレスの体系付けたクトゥルフ神話においては旧支配者の一柱にして、アザトースを筆頭とする旧支配者に使役される外なる神のメッセンジャーでありながら、旧支配者の最強のものと同等の力を有する土の精であり、人間はもとより他の旧支配者達をも冷笑し続けている。
顔がない故に千もの異なる顕現を持ち、特定の眷属を持たず、狂気と混乱をもたらすために自ら暗躍する。彼が与える様々な魔術や秘法、機械などを受け取った人間は大概自滅している。天敵であり唯一恐れるものは火の精と位置づけられる旧支配者クトゥグアのみ。また、ノーデンスとも対立している。
旧支配者の中で唯一幽閉を免れている、他の旧支配者と違い自ら人間と接触するなどクトゥルフ神話において特異な地位を占める神性であり、クトゥルフ神話におけるトリックスターとも言える。
無貌なるがゆえにナイアーラトテップはさまざまな化身をとる。 人の姿をとるときには、長身痩躯で漆黒の肌をした人物、エジプトから来た高貴なファラオのごとき預言者、核兵器の研究を推進する物理学者、星の知慧派の神父、魔女を操る暗黒の男などの姿で現れ、人の世に混乱と死をもたらす前触れとなる。サバトにしばしば現われる「黒い男」もまたナイアーラトテップの化身であるとされ、古代エジプトにおいて「暗黒のファラオ」と呼ばれた王、ネフレン=カはナイアーラトテップのためのあまりにも忌まわしい祭祀を行ったため、その名を歴史から抹殺された。 一方で這い寄る混沌と呼ばれる姿は食腕、鉤爪、手が自在に伸縮する無定形の肉の塊と咆哮する顔のない円錐形の頭部によって特徴付けられる。輝くトラペゾヘドロンから顕現した際には、黒い翼と三つに分かれた燃え上がる目が闇に浮かびあがったという。
初出はハワード・フィリップス・ラヴクラフトの短編『ナイアルラトホテップ』。
[編集] 登場作品
- 「ナイアルラトホテップ」(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
- 「尖塔の影」(ロバート・ブロック)
- 「アーカム計画」(ロバート・ブロック)
- 「魔女の家の夢」(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
- 「無貌の神」(ロバート・ブロック)
- 「暗黒のファラオの神殿」(ロバート・ブロック)
- 「闇に棲みつくもの」(オーガスト・ダーレス)
- 「蠢く密林」(デヴィッド・ドレイク)
- 「闇をさまようもの」(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
- 「未知なるカダスを夢に求めて」(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
[編集] 関連事項
- 輝くトラペゾヘドロン (Shining Trapezohedron)