コクワガタ
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?コクワガタ | ||||||||||||||||||||||
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コクワガタ (2007年6月撮影) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||
Dorcus(Macrodorcus) rectus Motschulsky,1857 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||
コクワガタ | ||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||
Little stag beetle |
コクワガタ(小鍬形) Dorcus(Macrodorcus) rectus は、鞘翅目クワガタムシ科に分類される甲虫の一種。日本本土に広く分布し、日本ではよく見られるクワガタムシである。
成虫の体長はオス16〜53mm、メス17〜30mmほど。他のオオクワガタ属と同様に体は左右に平たく、黒い体色をしているが、赤褐色を帯びるものもいる。オオクワガタやヒラタクワガタに比べると体幅が狭く細いが頭盾はヒラタクワガタより幅広い。
オスの大顎はオオクワガタやヒラタクワガタに比べて細長く、前方に伸びる。大顎の中央か、前方1/3くらいの位置に内歯を1つだけ有する。小さなオスではこの歯は消失する。オスの頭部背面、前胸背板、上翅は全体に密で浅い点刻を形成し光沢は弱い。メスの場合前胸背板にやや強い光沢を持ち、上翅の点刻は列状となる。同じコクワガタ亜属のスジクワガタD. striatipennis やネブトクワガタなどとよく似ていて混同されることもあるが、オスの大顎に歯が1つしかないこと、前翅に線がないことなどで区別できる。
東アジアに広く分布し、日本でも北海道から南西諸島まで全国に分布する。都市部でも街路樹や公園の樹木などに見られるため、日本のクワガタムシの中ではもっともなじみ深い種類である。
成虫が見られるのは5月から9月頃までで、おもにクヌギ、コナラ、ブナなどブナ科樹木の樹液に集まる。他にも朽木の中に潜んでいたり、夜間に灯火に飛来したりする。
幼虫は広葉樹の朽木に穿坑し、その材を食べて成長する。クスノキのような殺虫成分を持たなければ食樹の樹種は問わない。野生化では孵化から蛹化にまる1年かかるのが普通であるが、寒冷な環境では2年かかることもある。蛹の期間は約3週間。羽化した成虫の成熟には1ヵ月を要するが、夏〜秋に羽化した場合、そのまま越冬して翌年春に活動を開始する場合が多い。
飼育下でのコクワガタの幼虫