クルマエビ亜目
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クルマエビ亜目(根鰓亜目) Dendrobranchiata |
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クルマエビ科の一種 Penaeidae sp. |
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分類 | ||||||||||||
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下位分類 | ||||||||||||
本文参照 |
クルマエビ亜目 Dendrobranchiata は、エビ目(十脚目)を二分する分類群の一つ。根鰓亜目(こんさいあもく)とも呼ばれる。
もう一つの分類群・エビ亜目(抱卵亜目)より原始的とされている。エビ目は外見上の違いから「エビ」「ヤドカリ」「カニ」に分けられるが、クルマエビ亜目は全て「エビ」に属する。
目次 |
[編集] 特徴
成体の鰓は細かく枝分かれした羽毛状の構造で、根鰓(こんさい)Dendrobranch と呼ばれ、分類名もここに由来する。ただしユメエビ類の成体は鰓が無い。
生殖腺はオスの第5歩脚基部、メスの第3歩脚基部にある。また、オスの第1腹肢には雄性生殖器(Petasma : ペタスマ、ペタズマとも)がある。特に多くの種を含むクルマエビ科などを同定する際は、生殖器の形状が重要な手がかりとなる。
クルマエビ亜目は受精卵を保護せず水中に放出するのが特徴で、放出された受精卵はプランクトンとして水中を浮遊しながら発生する。卵を保護しない分は小卵・多産で個体数をカバーする傾向があり、大型種のクルマエビなどでは産卵数が数十万に達する。
孵化する子はノープリウス幼生の形態で、脱皮を繰り返しながらゾエア、ミシス(メガロパ)、ポストラーバという計4段階の幼生を経て稚エビへと変態する。サクラエビ上科ではゾエアの前に前ゾエア(Protozoea : プロトゾエア)期があり、ポストラーバ期がない。なお、これら幼生の脚は前から順に分化することがわかっていて、ノープリウスでの遊泳脚は成体の触角や顎脚、ゾエアの遊泳脚は成体の歩脚に相当する。
[編集] 分類
2上科・7科だけが分類され、エビ目の現生種全体では一部に過ぎないが、浅い海から深海まで多くの種類がある。原則として海生だが、中には汽水域に生息するもの、さらには淡水域まで進入するものもいる。
下位分類群の和名、ラテン語名、記載者、記載年、おもな種類を以下に示す。
[編集] クルマエビ上科
Penaeoidea Rafinesque-Schmaltz, 1815
大きさは体長数cmほどのものから20cmを超えるものまで種類によって異なる。重要な漁業資源となるものが多い。
- チヒロエビ科 Aristeidae Wood Mason, 1891
- 水深数百-数千mの深海底に生息する。ツノナガチヒロエビ、ヒカリチヒロエビなど
- オヨギチヒロエビ科 Benthesicymidae Wood Mason, 1891
- 深海に生息する。中層遊泳性で、日周鉛直運動を行うものが多い。ソコチヒロエビ、シンカイエビなど
- クルマエビ科 Penaeidae Rafinesque-Schmaltz, 1815
- 底生で、浅海から水深数百mまでの深海まで生息する。種類によっては汽水域や淡水域に進入する。
- クルマエビ、ウシエビ、クマエビ、シバエビ、モエビ、ヨシエビ、サルエビ、トラエビ、キシエビ、シロエビ、ホッコクエビなど
- イシエビ科 Sicyoniidae Ortmann, 1898
- 体は太短く、棘や毛が多い。底生で、浅海から深海まで生息する。イシエビ、ヤマトイシエビ、サルイシエビなど
- クダヒゲエビ科 Solenoceridae Wood Mason, 1891
- 深海底生。第1触角鞭2つのうち片方が角状に発達するものが多い。ヒゲナガエビ、ナミクダヒゲエビ、ヒゲナガクダヒゲエビなど
[編集] サクラエビ上科
Sergestoidea Dana, 1852
大きさは体長数mm-数cm程度だが、10cmを超えるオオサクラエビ Sergia tenuiremis (Krøyer, 1855) という種類もいる。海中を群泳する習性を持ち、生息海域は外洋・内湾、深海・表層など種類によって異なる。地域や種類によっては食用に漁獲される。
- ユメエビ科 Luciferidae De Haan, 1849
- ユメエビ属 Lucifer のみが分類される。成体は歩脚が前の3対しか無い、鰓も無いなど退化的な特徴をもつ。
- サクラエビ科 Sergestidae Dana, 1852
- 第二触角が長く、中ほどで一度折れ曲がる。サクラエビ、オオサクラエビ、アキアミなど
[編集] 参考文献
- 『原色日本大型甲殻類図鑑 I』三宅貞祥 保育社 ISBN 4-586-30062-0
- 『日本産エビ類の分類と生態 I 根鰓亜目』林健一 生物研究社 ISBN 4-915342-07-7