キュウシュウヒメオオクワガタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
?ヒメオオクワガタ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
九州亜種:羽化直後のキュウシュウヒメオオクワガタ:羽化直後の為、体色が赤いが1ケ月後には艶消しの黒色に変る。(鹿児島県産) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Dorcus montivagus adachii | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
キュウシュウヒメオオクワガタ |
- キュウシュウヒメオオクワガタは九州全域(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・熊本県・鹿児島県。沖縄県を除く)に生息している高山系のクワガタムシのヒメオオクワガタを1亜種として、1987年3月発売の「月刊むし」NO.193において紹介された。それまではヒメオオクワガタとして日本全域が同一種と思われていたが、九州に生息していた本種の特徴が、本州・北海道・四国に生息しているヒメオオクワガタと異なることが発見されて、九州が独立した亜種として学会に登録され、本州・北海道・四国のヒメオオクワガタを原名亜種とし、九州のヒメオオクワガタをキュウシュウヒメオオクワガタとして亜種になった。
- キュウシュウヒメオオクワガタの生息地の南限地としては今まで熊本県南部周辺とされていたが、鹿児島県産のキュウシュウヒメオオクワガタの棲息が2007年06月に確認でき、2007年10月発売の「くわがたマガジン」NO.37において南限更新として鹿児島県北部産のヒメオオクワガタが紹介されている。
- 原名亜種ヒメオオクワガタ - 北海道・本州(千葉県を除く)・四国に生息。
- 亜種キュウシュウヒメオオクワガタ - 九州(沖縄県を除く)に生息。
- 特徴
- 学名 Dorcus Montivagus adachii (Fujita et Ichikawa)
- 体長 - オス32–52mm メス28–38mm。
- 体色 - オス、メスともに黒色(つや消し)。
- 外観 - 頭部・前胸・上翅が短く、幅が広い。光沢を欠きつや消し状。
- 分布 - 九州。
- 生態
- 成虫は原名亜種であるヒメオオクワガタと同じく6月中旬から10月上旬にかけて高山のヤナギ類やノリウツギなどの木々に居るのが確認されており、生態的にはほぼ同じと思われる。 ただ観察例としてノリウツギやツル性の植物に居てヤナギに居なかった例もあれば、ヤナギに多数居た例が確認されているなど、ヤナギのみと言うことではなく、色々な木々に付いていてその汁を吸うものと考えられる。
- 原名亜種のヒメオオクワガタはヤナギ類とダケカンバを中心としたカンバ類が主なる木になるが、ダケカンバは本州の奈良県以北及び四国に一部植生しているだけで、九州の山地にはダケカンバは無い。このような植樹の違いもキュウシュウヒメオオクワガタの付く木々が違う理由である。
- 幼虫においてはブナの倒木、立ち枯れに生息しており、これは原名亜種と同じである。
- 原名亜種との相違点
キュウシュウヒメオオクワガタは以下の点で原名亜種と相違する。
- 頭部・前胸・上翅が短く、幅が広い。
- 光沢を欠き艶消し状。
- オスの大アゴが短い。
- オス、メスとも後足脛節の外側に棘が残っている(原名亜種のオスにおいては外棘のない個体や痕跡のみの個体も多く見受けられる)。ただこれは地理的な形質傾斜と言う説がある。
[編集] 参考文献
- 「月刊むし」 NO.193
- 「くわがたマガジン」NO.37