キエフ地下鉄
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キエフ地下鉄(ウクライナ語:Київський метрополітенクィーイィウスィクィイ・メトロポーリテン;ロシア語:Киевский метрополитенキーイェフスキイ・ミトロポーリテン)は、ウクライナの首都キエフの市内を走る地下鉄である。
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[編集] 歴史
キエフの地下鉄は、ソ連時代の1960年に初めの区間(1号線ヴォグザーリナヤ~ドニェープル間5.2 km)が開通した。これによってキエフは、モスクワ、レニングラートに次いで地下鉄を有するソ連3番目の都市となった。その後も延伸を続け、1976年には2号線のクレニーウスィカ・チェルヴォノアルミースィカ線、1989年には3号線のスィレーツィコ・ペチェールスィカ線が開業した。
[編集] 概要
2005年10月現在キエフには3路線、総延長56.9kmの地下鉄が走っているが、2010年までに新たに1路線が建設され、また従来の路線も延伸工事中である。なお、地下鉄ではあるがドニエプル川(ドニプロー川)を渡河する1号線スヴャトーシノ・ブロヴァールスィカ線は、ドニプローより先終点リソヴァーまで地上区間を走っている。なお、地下鉄と並行してマルシュルートカなど別の交通機関も走っており、中にはほぼ同じルートを辿る路線もあるが、運賃、行き先、細かい経由地点の違いなどから利用客はこれらを使い分けている。
[編集] 沿線
1号線スヴャトーシン駅前には、郊外へ向かう長距離バスのターミナルが置かれている。ヴォグザーリナ(「駅」を意味する)は、その名の通りキエフの中心駅であるクィーイィウ・パサジールスィクィイ駅(「キエフ・旅客のターミナル」)に近い。ウニヴェルスィテート(「大学」)も、その名の通りキエフ大学に近い駅である。テアトラーリナ(「劇場」)、ゾロチ・ヴォロータ(「黄金の門」)、フレシュチャーティク(「巡礼者」;目抜き通りの名称)、マイダーン・ネザレージュノスチ(「独立広場」;キエフの中心広場の名前)は、市の最中心部にある。ヒドロパールク(「水公園」)は、その名の通りドニエプル川の中州にある公園の中央に位置する。ペトリウカは、市内でも大きな市場の近くに位置し、また鉄道のクィーイィウ・ペトリウカ駅のすぐ下を通っている。また、3号線にボルィースピリスィカ駅があるが、これはボルィースピリ国際空港前駅という意味ではなく、ボルィースピリ市に因んでつけられている名称である。
[編集] 車輌
車輌は、1970年代のハンガリー製や、最新のドイツ製のものなど数種が運用されているが、クレニーウスィカ・チェルヴォノアルミースィカ線に新型車輌が多い一方、スヴャトーシノ・ブロヴァールスィカ線にはソ連時代の旧型車輌が多い。いずれの車輌も車内にサムスン電子製のテレビを備えており、駅案内やコマーシャルが流されている。車内表記と放送はすべてウクライナの公用語であるウクライナ語である。車輌はいずれも3ドアである。車体カラーはソ連時代の地下鉄のカラーである青色に、黄色の帯を入れてウクライナ色に仕立て上げられている。先頭車輌側面には、国章である「トルィーズベツィ」が付けられているものもある。また、キエフ市の宣伝のラッピングをした特別車輌も走っている。これには国章の他、キエフの市章である大天使ミカエルが描かれ、また黄色の尾を引く流星もあしらわれている。
加速性能は旧型車輌でもたいへん優れているが、自動ドアの閉まり方も急速なので乗車の際には注意が必要である。
[編集] 利用
地下鉄の料金は他の公共機関(認可制のマルシュルートカを除くバス、トロリーバス、路面電車)と同じ50コピイカ(0.5グリブナ)である。回数式のカードもあるが、大抵の利用者は「ジェトン」と呼ばれる青い(車輌のカラーと同じ)プラスチック製のコインを使用している。なお、「ジェトン」はマルシュルートカの運賃の支払いの際に現金の代わりとして用いられている場合も見られるが、これは一般的なものではない。「ジェトン」及びカードはいずれも自動改札を利用することになっており、入場の際に機械に入れる。ランプが赤から緑へ変わる前に入ろうとするとトラブルの原因となる。出場の際にはただそのまま出るだけである。改札を出ぬ限りは、どれだけ乗っても料金は変わらない。改札のあるエスカレーターの下部には大抵監視員の女性がいる。
運用本数は1分~3分に1本程度の割合であるが、何らかの事情により5分程度間隔が開いたり、所要時間が多くかかったりする場合もある。利用客は、当然のことながら市の中心部に向かって増加する。
[編集] 路線
[編集] 外部リンク
- Київський метрополітен(公式サイト;ウクライナ語・ロシア語)
- Kiev metro map at metros.hu