カベルネ・ソーヴィニヨン
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カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)は、世界で最も名の知られているワイン用のブドウの品種の1つである。
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[編集] 概要
カベルネ・ソーヴィニヨンは、代表的な赤ワイン用ブドウ品種の1つである。もう1つの代表的品種であるピノ・ノワールと比べると温暖な気候を好む。収穫までに要する期間が長く収量も少ないものの、品質の良さのために世界中の多くの生産地で作付けされている。ヴィティス・ヴィニフェラ(en:Vitis vinifera)種の1つで、1990年代の遺伝学的研究によりソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・フランとの自然交配によって誕生したことが明らかになった。
カベルネ・ソーヴィニヨンの実は皮が厚く、作られるワインはタンニンを豊富に含むため、長い熟成にも耐える。カベルネ・ソーヴィニヨンの最高級のワインは10年から数十年間の熟成によって風味が最高潮に増した飲み頃に達する。
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは香りが豊かで後味が深いが、口の中での味わいには欠けるところがあると言われる。このためボルドーワインではタンニンが少なくフレッシュな味わいのメルローやカベルネ・フランとブレンドされることも多い。オーストラリアではシラーズともブレンドされる。チリやアルゼンチンではカベルネ・ソーヴィニヨンのみの単一種のワインも製造される。カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの香りはスミレ、ブラックカラント、杉、スパイスなどと形容される。ニューワールドのものになるとチョコレートやオークの香りが強くなると言われる。
[編集] フランス
フランスのボルドーの赤ワインでは、カベルネ・ソーヴィニヨンは主要品種として用いられ、最高級のボルドーワインを生み出している。ボルドーの赤ワインではメルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが2割から5割程度ブレンドされることが多い。カベルネ・ソーヴィニヨンは隣のラングドック・ルションでも一部使用されている。
[編集] イタリア
イタリアでもカベルネ・ソーヴィニヨンの長い栽培の歴史があるが、イタリアワインでは伝統的にあまり利用されてこなかった。このため原産地呼称制度でもカベルネ・ソーヴィニヨンの使用は対象外とされてきた。だが1970年代頃からトスカーナの代表的な作り手が原産地呼称制度の範囲外になることを承知で積極的にカベルネ・ソーヴィニヨンを使い始めるようになった。こうして生み出されたのが「スーパー・タスカン」(スーペル・トスカーナ)と呼ばれる優れたワインである。例としてサッシカイアやティニャネッロがある。
[編集] アメリカ合衆国
アメリカ合衆国カリフォルニア州はボルドーに次ぐ世界的なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地である。特にナパ・ヴァレーやソノマ郡が産地として知られている。カリフォルニアでは1990年代にカベルネ・ソーヴィニヨンの作付面積が倍増したが、そのために価格の下落といった副作用も招いた。ボルドーと同様、メルローやカベルネ・フランとブレンドされ良質のワインが生産されている。
[編集] ニューワールド
ニューワールド(チリ、アルゼンチン、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアなど)のワインでも、カベルネ・ソーヴィニヨンは広く使用されている。ブドウの栽培に最適な気候と栽培技術の進歩によって、ニューワールド産のカベルネ・ソーヴィニヨンの良質なワインが手ごろな価格で手に入るようになってきている。