オイルサンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オイルサンド[1] (Oil sand, Tar sands)あるいは油砂(ゆさ)[2]とは、極めて粘性の高い鉱物油分を含む砂岩のこと。原油を含んだ砂岩が地表に露出、もしくは地表付近の地下水などと反応し、揮発成分を失ったことにより生成される。色は黒ずみ、石油臭を放つことが特徴。
母岩が砂岩ではなく頁岩の場合にはオイルシェール (Oil Shale) と呼ばれる。
目次 |
[編集] 原油代替としてのオイルサンド
世界中に埋蔵されているオイルサンド、オイルシェールから得られる重質原油は5兆バレル以上と推定されており、将来、枯渇するであろう原油代替の石油燃料資源として注目を浴びている。オイルサンドから1バレルの重質原油を得るためには、数トンの砂岩を採掘、乾留する必要があり、大量の廃棄土砂(産業廃棄物)が発生する。従来の原油と比較して採掘及び抽出コストが高く、さらに廃棄土砂の処理に多額の費用がかかるため、長い間不採算の資源として放置されてきた。しかし、2004年10月15日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(en:NYMEX)でウェスト・テキサス・インターミディエイト原油(en:WTI)先物取引価格が市場取引開始以来の最高値を更新して以降も引き続く原油価格高騰で採算コストを上回るようになり、大規模な採掘・精製が行われるようになった。これにともない、埋蔵地や採掘権の買収に多額の投機マネーが集まっている。
[編集] 世界の分布
オイルサンドは、カナダ(アルバータ州)、ベネズエラに分布する。極めて低質なものは日本でも新潟県新潟市の新津油田などに見受けることができる。代表的なオイルシェール地帯はアメリカ合衆国(西部)、ブラジル、ロシア、オーストラリアなどに分布する。
[編集] 脚注
- ^ 文部省・土木学会編 『学術用語集 土木工学編 増訂版』 土木学会、1991年、ISBN 4-8106-0073-4。(オンライン学術用語集)
- ^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(オンライン学術用語集)