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エル・シド - Wikipedia

エル・シド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブルゴス市にあるエル・シドの騎馬像
ブルゴス市にあるエル・シドの騎馬像

ロドリゴ・ディアス・デ・ビバール(Rodrigo Díaz de Vivar)、通称エル・シド(El Cid)(1045年? - 1099年6月)は、11世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリャ王国の貴族。叙事詩『わがシドの歌』の主人公としても知られる。

目次

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[編集] 名前

シドという名はアラビア語のアンダルス方言で「主人」を意味したスィーディー(سيدي )から来ており、彼の生きていた時代には身分ある人物への敬称として広く用いられていたが、のちにロドリゴの通称として定着した。アラビア語形ではアル・サイイド(Al Sayyd)となる。ロドリゴをとくに「エル・シド・カンペアドール」(El Cid Campeador )ともよぶ。
なおスペイン語Cidは、あえてカタカナ表記するなら「シー」あるいは「シース」に近い音であるが、日本ではコルネイユの戯曲「Le Cid(ル・シッド)」から「シッド」、あるいは「シド」の表記(おそらく英語経由)が慣例化している。スペイン語の日本語表記#語尾の子音参照。

[編集] 生涯

[編集] 誕生

ブルゴスの北にある小さな町ビバールで生まれる。その正確な誕生日は未だに不明であるが、1043-1045年の間ではないかと言われている。 シドの父はディエゴ・ライネスと呼ばれていたことが知られ、幾つかの戦いに参加した軍人である事が知られている。 若き日のシドは、そういった縁もあって、サンチョ2世付きの小姓としてカスティリャの王家に育てられた。 1063年の春頃にグラウスの戦いが起こり、シドはサンチョ2世と共にこの戦いに参加している。

[編集] サンチョ2世

1065年にフェルナンド1世が死去。その領地は息子達に割譲された。 サンチョ2世はカスティーリャ王国を受け継いだが、長男として全ての領地を受け継ぐべく戦争を開始した。 弟達を打ち破り領土の再統一を行い、シドもサンチョ2世の下で活躍する。 しかし、サンチョ2世は1072年に暗殺されてしまう。

[編集] アルフォンソ6世

サンチョ2世が暗殺され、弟のアルフォンソ6世がその後を継ぐ。 (アルフォンソ6世とその娘ウラカは暗殺の首謀者として疑いがあると言われているが定かではない) シドに『サンチョ暗殺の犯人ではない』という旨の宣誓という恥辱をさせられたことを根に持ち、シドを追放したと言われている。なお2回(3回とも)の追放の後、シドとは和解したとも言われている。

[編集] 追放

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

一説には、エル・シドが英雄さながらの武勲を次々に立てることから、民心がアルフォンソではなくシドに移ることを恐れた追放と言われている。後の世でいえばトルーマン大統領が国民的人気のあるマッカーサー元帥を解任した例と似ているかもしれない。 追放は全生涯で2回(3回とも言われる)行われ、2回目の追放はシドがイスラム勢力に押されているアルフォンソの窮地を救ったにもかかわらず『援軍にくるのが遅い』という理由で追放されたとされている。そして失意のうちにバレンシアという領地を見つけ、そこを平定した後、幽閉されていた妻子を呼び寄せた。

ちなみに援軍が遅れた理由はアルフォンソが進路を変更してしまったため、とも言われている。

[編集] バレンシアの征服

アルフォンソによる追放の後も、彼を慕う多くの兵士達が集ったと言われている。そして当時まだ色が付いていなかったバレンシアの征服に乗り出す(ここはアルフォンソの所領から遠かったためとも言われている)。 征服後、暫くしてイスラム勢力との戦いのさなか、シドは流れ矢に当たり、その夜に死んでしまう。しかし彼の死を知って民心が離れたり、士気が低下することを恐れた妻と重臣たちによって、その後もバビエカに死体のまま乗せられ『戦い続けた』と、叙事詩にはある。 (当時そのようなことが出来たのかどうかは定かではないが、まだ生き生きとした状態のまま腐敗などを上手くかわしながら生きているように演じさせることが生物学的に可能だったかという疑問が生じる) 1099年にシドは他界する。シドの妻ヒメーナはその後を継いで統治を行うが、数年でその領地は失われた。 以後100年以上に渡って領地を奪還することは出来なかった。

[編集] エル・シドの剣

エル・シドの使用した剣、ティソナはマドリード市内にある軍事博物館(ムセオ・デル・エヘルシト、Museo del Ejército)に飾られている。 カスティージャ王家の重要な所有物の一つとなっている。 1999年、そのかけらがサンプルとして冶金学で分析された。 その他ファンタジー作品などでもう一振りの剣、コラーダが出てくることがある。 なお叙事詩では妖精によって鍛えられた剣という、エクスカリバーに似たエピソードが出てくる。

[編集] エル・シドとイスラーム教徒

レコンキスタの『英雄』として見られることの多いエル・シドだが、現実の彼は反イスラーム主義という訳でもなくイスラーム教徒とも親しく付き合っていた。

[編集] 創作におけるエル・シド

英雄叙事詩、『わがシドの歌』は最古のスペイン文学でマドリードの国立図書館に古スペイン語で書かれた物語の写本が不完全ながら所蔵されている。 物語は実話を元にレコンキスタにおけるのエル・シドの活躍を描いている。

3,700を越える詩からなるこの物語は大きく三部に分けられる。

  • Cantar del Destierro
  • Cantar de las Bodas
  • Cantar de la Afrenta de Corpes

作者は不詳。ただしサン・エステバン、メディナセリの二名が構成に関与したと言われている。

[編集] 参考文献

  • リチャード・フレッチャー、林邦夫訳『エル・シッド 中世スペインの英雄』法政大学出版局、1997å¹´
  • ラモン・メネンデス・ピダル、安達丈夫訳『エル・シッド・カンペアドル』文芸社、2000å¹´

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


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