Tourney
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Tourney(ターニー)は、株式会社シマノが開発、販売するマウンテンバイクおよびマウンテンバイクルック車、子供向けマウンテンバイク向けコンポーネント(部品)である。同社の分類ではTourneyはコンフォートコンポーネントとして位置づけられ、スポーツ車向けのAltus以上のグレードとは区別されている。
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[編集] 概要
シマノの製品群では、もっとも低価格な入門向けコンポーネントであり、もっぱら3-4万円以下の低価格な完成車や子供向け自転車に用いられている。仕向け先の幅広い要求に対応すべく、TourneyグレードはさらにTX/TY40/TY30/TY22/TY10/TY05の5シリーズに分類され、性能・価格において多彩な製品が供給されている。低価格ながら動作は確実であり、このクラスのパーツとして性能と価格の両面において他の追随を許さない。
[編集] 「シマノ製パーツ採用」の低価格自転車
ホームセンターなどの広告を賑わせる「シマノ製パーツ採用」の超低価格自転車に使用されている変速機パーツは、もっぱらこのTourneyグレードである。もっとも、自転車の性能・安全性はパーツの性能のみならず、フレームの製作精度や強度、そして販売店による組み立てや整備の状態に大きく左右される性質のものである。また、低価格自転車では採用されている「シマノ製パーツ」は、もっぱらディレーラなどにかぎられ、自転車の走行上より重要なブレーキは、より安価な(言い換えればより低質な)別の部品が使われていることも多い。「シマノ製パーツ採用」といった表現が、そのまま高性能・高品質の自転車を意味するものではないことに注意すべきである。
[編集] 高木のターニー
高木製作所は、ハブ製造の三光舎と共に戦後を代表する自転車部品メーカであったが、1970年頃の第二次サイクリングブームが下火になった1974年に経営難からか市場から姿を消す。その高木製作所が1970年代初頭に製造していた上位グレード・クランクのブランド名がターニーであった。高木の技術者は、同じ堺の島野工業(現在のシマノ)へ移り、現在のシマノのDuraAceなど高品位クランク製造の基礎を作った。1970年代中ごろに、シマノはターニーの名称でセンタープル・ブレーキを製造しており、これは後のDuraAce-EXセンタープルの原型であり、DuraAce AXセンタープル、現在のDuraAceデュアルピボット・ブレーキにつながる。この時代のターニーは決して低品位ブランドではなく、輝かしい上位グレード製品に付けられていた名前であった。当時のシマノは低品位の普及品しか作れず、三光舎、高木などに品質面では足元にも及ばない存在であったが、高木や同じく72年ごろ消滅した三光舎の技術を引き継ぎ、高品質の製品を世に送り出せるようになった。現在、ターニーの名前が、このような位置付けであることはさておき、この名前をいつまでも残し続けていること、高木とシマノの関係を考えると思い深いものがある。