S-アデノシルメチオニン
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S-アデノシルメチオニン | |
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黄色い部分は活性メチル基 |
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分子式 | C15H23N6O5S+ |
分子量 | 399.447 g/mol |
CAS登録番号 | [29908-03-0] |
S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine)とはアデノシンとメチオニンとから生体内で合成される生体内物質である。補欠分子族の一種でメチル基供与体として作用する。活性メチオニン(active methionine)、ビタミンLとも呼ばれる。略号はSAMまたはAdoMet。
アデノシンとメチオニンとはメチルスルホニウム結合を介して連結しているが、このメチルスルホニウム結合は高エネルギー結合であり、このメチル基がコリン・クレアチニンなどのメチル化合物生成に利用される。メチル基を失ったS-アデノシルメチオニンははアデノシルホモシステインとなる。
動物では肝臓においてメチオニントランスアデニラーゼによりL‐メチオニンとATPから生成される。S-アデノシルメチオニンはポリアミン代謝の重要な中間体であり、脱炭酸反応によりアミノプロピル体となった後、プトレシンに付加するとスペルミジンが生成する。スペルミジンはアミノブチル基に付加してスペルミンとなる。
植物においては、S-アデノシルメチオニンからシクロプロパンカルボン酸を経由して植物ホルモンであるエチレンが産生する。
[編集] 参照文献
- S-アデノシルメチオニン、『理化学辞典』、第5版、岩波書店
- S-アデノシルメチオニン、『生化学辞典』、第4版、岩波書店