HOスケール
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HOスケール(エイチオースケール)とは、1/87(厳密には1/87.1:NMRA S-1.2 Standards for Scale Models)に縮尺された模型(主に鉄道模型)の総称である。元来は1footを3.5mmに換算したときの縮尺法であり、3.5mmスケールと呼ばれる場合もある。
単にHO(エイチオー)と記した場合は、1/87サイズ、軌間16.5mmの鉄道模型(標準軌(1435mm)を模型化したもの)を示す場合と、1/87サイズを示す場合、またHOスケールのファミリー全体を示す場合がある。
欧州(NEM 010)では、1/87の鉄道模型の規格はH0(エイチゼロ)であり、米国と縮尺、軌間はほぼ同じであるが、車輪の形状、連結器等に置いて違いが見られる。
また、一部の欧州においては、特に、1/87サイズ-軌間16.5mmの鉄道模型をHOゲージと呼び、HOスケールと同義に使用される場合がある。一方、アメリカではHOゲージではなくHOスケールと呼称することが多い。しかしながら、日本では、HOゲージは1/80、軌間16.5mmを意味する場合がある。さらに、標準軌のHOスケールモデル(外国型と新幹線、一部の民鉄)は、16番、HOゲージに包含される場合があるので注意が必要である。
日本においては、軌間16.5mmの鉄道模型に対して、アメリカのHOスケール(1/87)とイギリスのOOスケール(1/76)の中間の縮尺である1/80を用いることが主流となっていた。これは1/87ではないので「HOゲージ」とは呼べないとする意見があったが、一般的には1/80・16.5mmもHOゲージと呼ばれることが多かった。
一方、国際的に主流である1/87サイズを採用し、13mmゲージのように1/80の車体を活用するのではなく、まったくの白紙から作り直すべきとする主張が1970年代半ばより鉄道模型専門誌上で発表されるようになり、1980年代初頭には国鉄型等の狭軌(1067mm軌間)の車輌を1/87・12mmで模型化した製品が発売され、熱心なファンの間で支持を受けるようになった。
HOスケールにおいて16.5mm以外の軌間を示す場合は、国際的慣例として原則として語尾に小文字の英数字等を付ける(大文字、ローマ数字はファミリー名(Alpha Numeric)に使用)。
HOスケールの日本型車両は、その多くが狭軌であるためにゲージは12.0mmとなる。日本ではスケールの異なる規格(1/87と1/80)がHOと同様の名称で呼ばれることとなり、今まで、HOゲージを1/80の意とする慣用句として使ってきたこともあり、混乱の原因のひとつとなっている。
[編集] 主なHO/H0スケールファミリー
米国式(NMRA S-1)
呼称 |
軌間 (実軌間) |
備考 |
HO (エイチオー) |
16.5mm (1435mm) |
標準軌 |
HOn3 |
10.5mm (914mm) |
nはNarrowの意 |
HOn2 |
7mm(610mm) |
nはNarrowの意 |
欧州式(NEM 010)
呼称 |
軌間 |
備考 |
|
H0 (エイチゼロ) |
16.5mm |
Normal |
実軌間1250mm - 1700mm |
H0m |
12.0mm |
Metric |
実軌間 850mm - 1250mm |
H0e |
9.0mm |
Narrow |
実軌間 650mm - 850mm |
H0i |
6.5mm |
Industrial |
実軌間 400mm - 650mm |
日本式
呼称 |
軌間 (実軌間) |
備考 |
HO (エイチオー) |
16.5mm (1435mm) |
新幹線、一部の民鉄 |
HOj 注1) |
12mm (1067mm) |
JR在来線等 米国式HOn3 1/2、欧州式H0m相当 |
HOn2 1/2 |
9.0mm(762mm) |
簡易軌道、軽便、森林鉄道 米国式表記が慣例となる。欧州H0e相当 |
注1)HOjは日本の模型メーカー数社が提案する呼称である。メーカーや雑誌間での意見の相違等があり、いまだ1/87サイズ-軌間12mmは統一された呼称になっていない。米国式、欧州式以外の他にHO1067、HOs等の提案がある。