CYP3A4
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シトクロムP450 3A4 (CYP3A4) はシトクロムP450 (CYP) の分子種の一種であり、人体に存在する生体異物 (xenobiotic) を代謝する酵素の主要なものの1つである。CYPによる酸化反応では寄与する範囲が最も広い。また、肝臓に存在するCYPのうちの大部分を占める。
胎児は肝臓その他の組織でCYP3A4ではなく同様な基質に作用するCYP3A7を作る。成長に伴い、CYP3A7はCYP3A4に徐々に置き換えられていく。
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[編集] 分布
主に肝臓に存在するが、代謝に重要な役割を果たす他の器官や組織中にもみられる。ある種の薬剤の代謝にも大きく関わっている。これによってプロドラッグ (prodrug) が活性化・吸収されるようになり、抗ヒスタミン薬のテルフェナジン (Terfenadine) などが例として挙げられる。
2003年、脳にも存在することが見出されたが、中枢神経系における役割は明らかになっていない[1]。
[編集] 変異性
CYP3A4をコードする遺伝子には28種以上の一塩基多型が同定されているが、生体内 (in vivo) では固体間の大きな多様性として反映されないことが知られている。これは、基質に接触する際にCYP3A4へと誘導されるためではないかと考えられている。
CYP3A4の変異性はエリスロマイシン呼気検査 (erythromycin breath test, ERMBT) によって非侵襲的に決定できる。この検査では、点滴静脈注射によって(14C-N-メチル)エリスロマイシンを投与したあと、呼気中に含まれる同位体標識された二酸化炭素を測定することにより、生体内のCYP3A4活性を決定する[2]。
[編集] 誘起
様々なリガンドによって誘起される。それらはまずプレグナンXレセプター (PXR) に結合する。PXR活性錯体はレチノイドXレセプター (RXR) とヘテロ2量体を形成し、これはさらにCYP3A4遺伝子中のXREM部位に結合する。XREMはCYP3A4遺伝子の制御部分であり、ここに結合することによって遺伝子のプロモーター基部に共同的相互作用が生じ、CYP3A4の転写・翻訳が増進する。