降伏 (物理)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
降伏(こうふく)とは、金属材料などに応力を加えていくと現れる現象である。例えば鋼に応力を加えていくと、やがて応力-ひずみ線図上で塑性変形を示すが、塑性変形する直前にひずみは大きくなるのに引っ張り応力が下がる部分がある。このとき鋼は降伏したという。
降伏中の最大の応力を上降伏点、最低の応力を下降伏点という。実用上は上降伏点が、弾性変形の最大基準の応力としてよく利用されている。
[編集] 耐力について
アルミニウム合金など、降伏現象を示さない材料で、便宜上降伏応力に相当する応力を定義すると便利である。そこで、一般に鋼の降伏時の永久ひずみが約0.002(0.2%)であることから、永久ひずみ0.002(0.2%)を生じさせる応力を降伏応力に相当するものとして、耐力を定義している。
[編集] 降伏関数
降伏関数とは、材料における降伏の発生を数理的に表現するための関数である。多くの場合、材料が降伏するか否かは応力によって決まる。また、材料に塑性変形が生じるとひずみ硬化(あるいは軟化)が見られ、これを表現するために幾つかの内部変数が導入されることもある。従って、降伏関数は応力と内部変数の関数として表されることが多い。