防犯灯
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防犯灯(ぼうはんとう)とは、街路に設置されている電灯のことである。
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[編集] 概要
防犯灯は街路に設置されている街灯の一種で、道路照明灯より照射範囲が狭い。防犯灯は、一個あたりの値段が安く、電気代が安いために色々な場所に設置されている。また新たに柱を立てずに、電柱等を利用して設置可能なため、工事費が安いのも特徴であり、住宅地などの比較的狭く交通量の少ない道路に多い。
防犯灯とは、夜間不特定多数の人が通行する生活道路で、暗くて通行に支障がある場所や、防犯上不安のある場所に設置される蛍光灯のことで、設置場所の状況に応じて、電柱に共架したものや、専用の柱を建て取付を行うタイプのものがある。 市町村が設置・維持管理の全てを行う場合、市町村が設置し自治会・町内会によって維持管理されている場合、設置・維持管理の全てを自治会・町内会が行う場合等、設置と維持管理の方法は市町村により様々な形態がある。自治会・町内会が設置や維持管理を行っている場合は、市町村が費用の一部を補助している場合が多い。
[編集] 青色防犯灯
最近では、犯罪減少効果を期待した青色タイプのものもある。青色には、人の副交感神経に作用して落ち着かせるという鎮静効果と心理的に人を冷静にさせる効果があるとされる。青色光は(晴天時に限っては)見通しが良く、遠目が効くとともに[1]、犯罪者が犯罪をあきらめる等の防犯効果が期待されている。
しかしながら防犯のメカニズムについては心理学的な因果が立証されているわけではなく、疫学的結果が根拠とされているに過ぎない。 青色街灯の防犯効果については、「これがメディアによって報道され、それを知った犯罪を試みようをする者がこの色の街灯が設置してある場所は防犯意識が高い地域であると理解し、このことによって結果的に犯罪発生率が低下しているだけでは」[2]と言う解釈も成り立つ。
科学的には、一般に街灯に用いられいる白色光に比して波長の短い青色は雨天や霧の中では極度に視認性が低下し、交通事故等の発生を助長する危険性があり、安易な設置には慎重を期する必要がある。また効果が紹介された英国のグラスゴーの場合[3]、道路や建物が石造りの白色であり(画像) 、暗い青色でも反射し十分な照度が確保出来るが(画像)、路面がアスファルト中心で、特に白色の壁面が多用されているわけではない日本においては照明の光度を十分に高めなければ[4]、白色灯と同様の視認性は確保できない[5]ことに留意する必要がある。
[編集] その他
なお、家の前に設置してある赤外線センサーで人を感知して点灯する電灯は、センサーライトであり防犯灯ではない。
[編集] 注
- ^ 「プルキニェ現象」の項を参照のこと。但しこれは生理学的現象においてである。
- ^ 「擬似相関」の項を参照のこと。
- ^ 導入されたのは景観改善を目的としたものであり、防犯効果を狙ったためではない。
- ^ 直管の蛍光灯の場合、照度を上げるためには取り付ける照明器具そのものを取り替える必要がある。この場合、高い消費電力のランニングコストに加えて設備投資において白色灯に比べて多大なコストが必要となることになる。
- ^ 日本でも冬季の積雪地帯ではグラスゴー市内と同様の照度を確保できる可能性がある。但し春夏秋季には白色光に戻す必要がある。