鉄鏃
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鉄鏃(てつぞく)とは石鏃に代わって用いられるようになった鉄製の鏃(やじり)である。日本では、狩猟具としてではなく武器として用いられ、2世紀から3世紀にかけての弥生時代後期に普及した。
ただし、佐原眞は、石鏃と鉄鏃の比較実験を繰り返しおこなった結果、石鏃の利器としての性能は決して鉄鏃に劣るものではないことを証明している。
弥生時代後期は、『魏志』倭人伝にいう「倭国大乱」の時期に相応しており、また、遺構の面でも環濠集落や高地性集落など防御的・見張り的施設のともなう遺構・遺跡が多く、水利権や余剰生産物をめぐっての抗争や戦争の多かったことを裏付ける。吉野ヶ里遺跡などでは、首のない遺体や石鏃、鉄鏃が刺さった状態で検出される遺体も見つかっている。同時に、武器ばかりではなく農具・工具・漁具などにおいても鉄器の普及がみられるのも弥生時代であり、特に後期に著しい。
鉄器・鉄製品は幾度も鋳なおされて繰り返し使用するため、出土量は必ずしも多くなく、また編年作業も困難であるが、弥生時代後期にあっては、多くの場合石鏃と併用されたものとみられる。