金利平価説
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金利平価説(きんりへいかせつ, Theory of Interest Parity)とは、外国為替レートの決定要因を説明する概念の一つで、為替レートは自国通貨と外国通貨の金利の差によって決定される、という説である。
[編集] 金利平価
仮にドルと円があり、ドルの金利が1年5%、円の金利が1年1%だとする。また現在の為替レートを円/ドルでe、一年後の為替レートをfとする。
このときに、通貨Aの国の債券は一年後に1.05倍に増える、一方で通貨Bの国の債券は、通貨Aから見た場合、((1×e)×1.01/f)倍に増える。
投資家から見て、この二カ国の債券の一年後の価値に差があれば、どちらかを売り、どちらかを買うはずである(裁定取引)。そのようにして一年後の価値が等しくなるとすると
1.05=(1×e)×1.01/f
f=1.01/1.05×e
となる。現在のレートが1ドル=100円だとすると一年後は1ドル=96.18円となり、円高ドル安が進むことになる。
この為替レートの求め方は、通貨先物取引において先渡レートの計算に応用されている。
※2005年10月現在は、日本の金利のほうがアメリカの金利よりも低いため、先渡レートは現在よりも円高傾向である。しかも、より長い期間の先渡しレートのほうが円高である。
このように金利が高い国の通貨は先々、減価する傾向にある。これは、金利が高い国が一般に物価上昇率も高いことと関係しており、購買力平価説とも関連が深い。
現実には、金利が引き上げられると当該国の通貨が増価するため、整合性がないように思われるが、この説は現在の為替レートに対して将来の為替レートがどう動くかというものであり、金利引き上げによって増価した通貨は、やがて減価することになる。