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重機人間ユンボル - Wikipedia

重機人間ユンボル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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重機人間ユンボル』(じゅうきにんげんユンボル)(サブタイトル:JUMBOR BARUTRONICA)は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)2007年3号から連載を開始、同年14号で終了した武井宏之によるファンタジー漫画。人名・地名をはじめ、土木・建設関連の用語に由来する名詞が多用されている。連載話数の単位は「第n工程」である。単行本は全1巻。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] あらすじ

大災害によって壊滅的な被害を受けた世界・ワールドザンド。世界は新たなる復興へ向け大工事時代を迎えていた。WORLD XAND 3002年、ドヴォーク重機士団隊長のバル・クロウは辺境の町バーラックにてトンネル工事を着工しようとするも、突如敵国ゲンバー帝国の大王に襲撃を受け、隊は壊滅し自らも命を落とした。しかし5年後、目覚めた彼が目にしたものは重機人間ユンボル・バルとして復活した自身の体だった…!


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


[編集] 登場人物

[編集] ドヴォーク王国

国王タビル・姫リベッタと重機士団が統治していた王国。旧首都・ツメシオ(Twomessio)。ゲンバー帝国により滅ぼされる。国名は「土木」から、首都名は「詰所」から来ていると思われている。モデルはフランスアングレーム市。

ユンボル・バル
主人公。本名は『バル・クロウ』。通称:『バル』。ドヴォーク重機士団バル・クロウ組の隊長で好男子。一人だけになっても抵抗を続けゲンバー大王に殺されたが、ドカルト博士によって重機人間としてゲンバー領バーラックで復活。目覚めるまで5年の歳月を費やし、クローンとして造られたので5歳の子供の姿である。オーバーオールを着用している。製造番号は11D、ドカルト博士に造られた11番目のユンボルである。
両手はショベル「テツグンテ」となっており、凄まじい破壊力と怪力を備えている。形状気力合金で出来ているため、気力により形状を変えることが可能。身体も頑丈で、頭にはネジ状のユンボルホーンが刺さっている。
名前の由来は棒状の工具「バール」からか。
ニッパー・トーラス
通称:『ニッパ』。元・ドヴォーク重機士団バル・クロウ組隊員の生き残り。貴重なツッコミ役だが、揃いも揃ってアクの強いキャラクターばかりのこの世界で、たまに違う世界から来ただろうと言う様な常識的なツッコミをする事も。
少年の頃は、所謂、苛められっ子だったが、バルに巨大重機に乗せられ工事戦士の存在意義を教えて貰ったことで重機に魅せられた。以後バルを目標とし努力を続け、遂にドヴォーク重機士団バル・クロウ組に入隊するに至った。しかし、ドヴォーク滅亡後は、ユンボルとして蘇ったバルと出会うまで、まともに働きもせず、チュー・ブラインのバーで酒びたりの毎日を送っていた。
ショベリウスIII世に乗り込みバイスと戦った際にコックピットを貫かれ一時は死亡したかと思われたが、ギリギリで避けていたため無傷だった。が、その際に失禁していた。
名前はニッパー、鉄橋等の構造形式のトラスから、または「開通させる」という意味の「通らす」からか。
リベッタ・グンテ・ヘルメート・ドヴォーク
ドヴォーク王国の姫。18才。ゲンバーの手により王国が滅んだ後は、行方不明とされていたが、実際はドカルト亡き後の研究施設で、ユンボルの開発に従事していた。ドカルトに唆されバル・クロウの細胞を体内の胎児に移殖し、ユンボル・バルを産み出した。ハチショベル紋章の鞭(乗馬鞭)を持ち、フェアレディZ(Z31型)風の愛車に乗る。
バル・クロウは、幼少の彼女に仕え、様々な無理難題を聞いてきた過去から、ユンボルとなった現在も従順である。
一部の読者からは、サディストであると思われている。尚、同じ作者による前作のヒロインである恐山アンナもサディストだったという読者もいる。
名前の由来は「リベット軍手ヘルメット・土木」か。
タビル・グンテ・ヘルメート・ドヴォーク
リベッタの父であり、ドヴォーク国王であった。ゲンバーの手により王国とともに滅ぼされ、死亡したと思われていたが牢獄に閉じ込められているだけであった。
名前の由来は「足袋」と「ビル」か。
バーン・ハッパー
ドヴォーク重機士団バルクロウ組隊員・発破担当。ゲンバー大王の攻撃により他界。
名前は担当分野そのままの発破からか。
ナトム・ロックボル
ドヴォーク重機士団バルクロウ組隊員。ボリングの攻撃により死亡。
名前はロックボルト(岩盤とコンクリートとを固定する特殊なボルト)とNATMからか。
チュー・ブライン
元重騎士団総隊長。重機マスター。現在はバーラックでバーのマスターをやっている。レジスタンス組織:タビル会の一員でもある。最終話でニッパーが乗っていたビッガムも元々はブライン専用機だったらしい。
名前の由来は、チューブラインと推測出来る。

[編集] ゲンバー帝国

国名は、「現場」から来ていると思われる。トライマトック(3本つるはし)の紋章は大旺(ダイオウ)建設のロゴがモデルか?

ゲンバー・ダイオード
俗称は『ゲンバー大王』。主君自らがつるはしを振るい、常に一番HOTな現場へ急行する事をモットーとする現場第一主義の支配者。42歳。ユンボル第一号。頭部全体が黄金の仮面(ユンボルホーン)で覆われ、鋼鉄のような筋肉で覆われたゴツゴツとした肉体を持つ巨漢。その人間離れした巨体は彼がユンボルである為である。ユンボル・ドリル曰く、ユンボル10名よりも一段上の工事力を誇る。事実、時速180km以上で高速道路を走って逃げるリベッタ達の車に、恐るべき速度で地中を掘り進んで追い付いた。
隣国のファクトリア(名前はファクトリー工場からか。現代世界の英国がモデル)へ侵工(侵攻)用のトンネルを掘削中だったが、ユンボルとして生き返ったバル、リベッタについて知ると、進路を変更する。
バルと交戦するも、過度の疲労により機能停止する。その機能停止直前、バル、リベッタ達にユデンの園の鍵を託す。
彼が世界を征服し、ユデンの園の無限エネルギーを求めるようになったのは、後述のドカルト博士にそれ等の存在を唆された為。つまり、見方を変えれば、ドカルト博士に利用されたことになるだろうが、それを十分に承知し、ドカルト博士の計画に乗ったのは、無限エネルギーを掘削し、資源危機から世界を救いたいとの想いからである。
名前は、「現場」及び「大王」に「ダイオード」をかけたものかと思われる。
ロッド・ボリング
かつてはドヴォーク重機士団バルクロウ組隊員としてバルのもとで働いていたが、バル達を裏切りゲンバー帝国に寝返った。その後はゲンバー帝国・バーラック地区監督官として圧政を敷いていたが、ユンボルとして目覚めたバルによって倒された後にユンボル・ドリルの粛清を受け、抹殺される。最終話でユンボル(製造番号13D)として復活していたが、ユンボル・ドリルに利用されていたに過ぎなかった。
名前は棒を意味する「ロッド」と「ボーリング」から来ていると思われる。
ユンボル・ドリル
ボリングを突如攻撃したサイボーグの少年。ドリル状の両手(テツグンテ)を持つ。製造番号12D、12番目のユンボル。その正体はドカルト博士その人であり、ゲンバーの死後はファクトリア側についてユンボル達のリーダーとなっている。得意技は「アースオーガトルネード」。
ユンボル・バイス
通称:『グラップルのバイス』。ドリルを『アニキ』と呼ぶ、サイボーグの少年。
バルに倒されたその後バルは生きて帰されたと思ったがリベッタに押さえ込まれ頭のユンボルホーンを外され機能停止(=死亡)してしまった。
かつてはクレンと共にドカルトの元で働いていた。精製の過程で不具合を起こしたため少々頭が弱い。
最後の場面で、ドヴォーク王国側に就いたらしく、後ろ姿が確認されていることから、何者かによって、再起動された(=生き返った)ようである。得意技は「デスグラップル」バカの一つ覚えらしい。
名前は万力の意である「バイス」か、ドリルの一種である「ピンバイス」からと思われる。
ユンボル・クレン
本名クレン・ドカルト。ドカルト博士の実の娘である
頭からクレーンの先端のフックを後ろにぶら下げているサイボーグの少女。
面倒見がよくユンボル達のお姉さん的な存在である。
かつてはバイスと共にドカルトの元で働いていた。
名前の由来は「クレーン」だと思われる。

[編集] その他

ロード・ドカルト
故人。天才博士。博士番長。享年108歳。バル・クロウを重機人間ユンボルとしてこの世に復活させた。
巨大なリーゼント状の頭(髪ではない)と長い顎髭が特徴で、「長い頭の人」と呼称されることもある。また、前述のユンボル・ドリルとは同一人物で、ドカルト博士の死亡後、バイス、クレンによって、彼の遺体が、彼の文献、資料とともに運び出され、ユンボルとして蘇生したと思われる。
15歳のころから非行に走り人体実験もしていたらしい、後に国際博士連合「夜威斗魔毛」を結成し初代総長として生涯現役を貫いたとのこと。
ユデンの園の無限エネルギーを、一人の『科学者』として求めており、ユデンの園の無限エネルギーを掘削すべく、一人の無名工事戦士だったゲンバー・ダイオード(後のゲンバー大王)にユデンの園の存在を教え、彼をユンボルにした(己の目的の為、ゲンバー大王まで利用している)。
名前の由来は土方ルネ・デカルト及び、ロード(道路、道)に"Lord"をかけたものからか。

[編集] 用語

重機人間(ユンボル)
Dr.ドカルトの手によって作られた、働く改造人間(サイボーグ)。頭部のユンボルホーンには「JUNBOR XX D」(XXには01~11(12・13)の数字が入る)というシリアルナンバーが入っており(数字の後のDはドカルトのD)、これを外されると死亡する。当初は11体目であるユンボル・バルが最後のユンボルだと思われたが、ドリルがバルより後に作られた12体目である事が判明。
バル・クロウ(ユンボル・バル)のように故人のクローンに故人本人の記憶(あるいは脳)を移す事も可能なようだ。作中で確認されているユンボル・バル以外の12人は、そのすべてがゲンバー大王方についていたが、ゲンバー大王の死後はユンボル・ドリルを中心としてファクトリア方についている。細胞組織を人工培養したクローン型と、妊娠した人間の女性に細胞を移植し、母体内で赤ん坊をユンボルへと変え出産させる自然型、そして生きた人間の肉体そのものをユンボル化させる方法の3種類が確認されている。
個体は大きいものから小さいものまで居る。
また、後述のユデンの園での活動の為に開発された。
形状気力合金
Dr.ドカルトにより発明された、操る者の精神力と意思によってその形状・大きさ・硬度が変化する金属。ユンボルの両手テツグンテを形成する。破壊されてもメシと気合で回復可能。オーバーソウルの概念をイメージすると判りやすい。
工法(クンポー)
Dr.ドカルトにより考案された、ユンボルの力を引き出すための構え・格闘法。
「Dr.ドカルトのSUPER工法(ドカルト出版)」という全100巻のハウツー本が書店で絶賛発売中となっているらしく、基本の型を全部収録した第1巻(基礎工事編)は超レア物として扱われている。
ワールドザンド (WORLD XAND)
作品の舞台となる世界。旧ドヴォーク王国やゲンバー帝国を包する地域は、現代世界に似た地形をしている。
ほとんどの資源は堀り尽くされ、最後は、地殻変動すら引き起こした災害で、わずかな人を残して滅んでいる(通称:大搾取時代)。
大工事時代が始まり、残った人々は、世界の復興を願いまじめに働き始めるが、資源危機は免れ得なかった。
ドカルト博士にユデンの園の存在を教えられ、ユンボル化されたゲンバー大王はユデンの園の無限エネルギーを掘り起こし、昔と同じ過ちを繰り返そうとしていた。
名前の由来は「残土」からか。
タビル会
旧ドヴォーク王国の工事戦士たちで構成されたレジスタンス組織
アースムーバー
この世界の巨大重機の総称。略称はEM。工事戦士たちが乗り込んで工事を行う。操縦する為には特殊な免許が必要である。
名前の由来は大型の重機(アースムーバー)からか。
ショベリウスIII世
ゲンバーの最新型アースムーバー。工事用としては過剰な性能を持つ為、ニッパーは対ユンボル戦仕様ではないかと推測した。両肩が折りたたみ式のショベルになっており、脚部がキャタピラ状になっていないのが特徴。
名前の由来はショベルシベリウスからか。
ユデンの園
世界の命運を左右するという未知なる無限エネルギーが眠っているのだが、あまりに汚染されている為、重機人間(ユンボル)しか活動出来ない。
嘗て、そこにあった無限エネルギーを掘削したことが原因で大きな災禍が起こり、大搾取時代は終焉を告げる。
現在は各国の王がその存在を封印するも、天才科学者たるドカルト博士が未知なるエネルギーに着目した為その掘削を目論み、掘削作業の邪魔となる各国を制圧すべく、一人の工事戦士だったゲンバー・ダイオードにその存在を教え、彼をユンボルに改造し、ゲンバー大王として台頭させた。
油田エデンの園から来ている。

[編集] 備考

  • シャーマンキング』の終了後、2年ぶりの新連載として注目を集め一部読者の間では支持があったものの、特異な設定がジャンプ読者層の中心である小中学生に受け入れられなかったため、回を追うごとに低迷し10週打ち切りと言う不本意な結果となってしまった。
  • 単行本は他の連載作品と同じ版型であるがページ数が多いため490円と高額になっている。
  • 前作『シャーマンキング』でのX-LAWSの持ち霊やゴーレムのロボット然としたデザインに予兆が見られた様に、本作でのアースムーバー・ショベリウス III 世の造形等からは、作者がロボット漫画を指向していた事が見て取れる。

[編集] 関連項目

  • ユンボ 俗に、油圧ショベルの代名詞として使われている言葉。単行本での作者による解説によると、これが「ユンボル」の語源である。


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