退走禿
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退走禿(たいそうとく/だいしょうとく)は、雅楽の演目。退走徳・退宿徳とも表記する。別名老舞(進走禿 を「若舞」と呼ぶのに対応する)。
唐楽の四大曲(皇じょう・春鴬囀・蘇合香・万秋楽)に対する高麗楽の四大曲(新鳥蘇・古鳥蘇・進走禿・退走禿)の一つ。舞の拍子は45もある長い舞なので、近代になってからは宮内庁楽部では演奏されていない。
『体源抄』に「後に退き走って左右を見上げる振りが中古まであったが、いまはその舞の手はなくなった。この振りで退走禿の名がついたのであろう」と記されている。
右方(高麗楽)に属する4人舞(昔は6人舞だったが、現在では4人舞として現存する)。高麗壱越調(こまいちこつちょう)の平舞。舞人は襲装束(かさねしょうぞく)の両肩を脱ぎ、老婆のような面を着けて牟子(むし)を用いて舞う。番舞は「春鶯囀」。