腺リンパ腫
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腺リンパ腫(adenolymphoma)とは、唾液腺腫瘍の2-15%を占める、比較的稀な良性上皮性腫瘍の組織型である(紛らわしい名称であるが、リンパ球は反応性に集簇しているだけであって新生物ではない)。最近は誤解を避けるために、この疾患の発表者Aldred S. Warthinの名を採ってWarthin腫、ワルチン腫瘍(Warthin's tumor)と呼ぶことが多い(但しWarthinの原語発音は「ウォーシン」に近い)。しかし、WHO分類での名称は依然として"adenolymphma"である。
大唾液腺、特に耳下腺(下顎角に近い尾部)に好発し、50歳以上男性に多い。多発例あるいは悪化した報告はあるが再発は少ない。また、発育も遅い。無痛性の境界明瞭な腫瘤としてみられ周囲組織との癒着はない。一般に、菲薄な線維性被膜を有するが被膜を欠くことある。
組織学的には、腺腔形成を示す好酸性顆粒状細胞質の目立つ上皮細胞とリンパ組織からなる。上皮細胞は2層配列で内腔側に偏在する濃縮核が目立つ内層の高円柱細胞と立方形あるいは多角形の外側の細胞からなる。リンパ組織は散在性に胚中心を伴い異型の乏しいリンパ球の密な増生からなる。その他壊死した細胞も良く見られる。