緒方貞子
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緒方 貞子(おがた さだこ、1927年9月16日 - )は、日本の国際政治学者、国際協力機構理事長。元国連難民高等弁務官。学位は博士(政治学、カリフォルニア大学バークレー校)。東京都名誉都民。上智大学名誉教授。カトリック信者。
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[編集] 経歴
1927年9月16日東京府東京市麻布区(現東京都港区)に外交官・元フィンランド特命全権公使の中村豊一・恒子夫妻の長女として生まれる。父の転勤で幼少期をアメリカ・サンフランシスコ、中国・広東省、香港などで過ごす。小学5年の時に日本に戻り、聖心女子学院に転入、聖心女子大学文学部英文科を卒業。その後、父の勧めでジョージタウン大学およびカリフォルニア大学バークレー校の大学院で学び、政治学の博士号を取得。国連公使、ユニセフ執行理事会議長、国連人権委員会日本政府代表、上智大学国際関係研究所長・外国語学部長、第8代国連難民高等弁務官(1990-2000年)他を務める。2001年からアフガニスタン支援政府特別代表、2003年から国際協力機構(JICA)理事長。
2002年、田中真紀子外務大臣の更迭時にはその後任に推す声もあった。
[編集] 家庭 親族
曽祖父は元内閣総理大臣の犬養毅で、祖父は外交官で犬養内閣外相の芳沢謙吉。母・恒子は元共同通信社長の犬養康彦や評論家の犬養道子、エッセイストの安藤和津の従姪にあたる。夫・緒方四十郎(元日本銀行理事)は、朝日新聞社副社長や自由党総裁、副総理をつとめた緒方竹虎の三男である。緒方姓は竹虎の祖父・郁蔵(本姓大戸氏、備中(岡山県)出身)が緒方洪庵と義兄弟の盟を結びその姓を名乗らせたことに始まる。
[編集] 系譜
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犬養毅 | |||||||||||||||
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芳沢謙吉 |
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操 | |||||||||||||||||
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緒方竹虎 |
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中村豊一 |
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恒子 | |||||||||||||||||||||
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緒方四十郎 |
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緒方貞子 | |||||||||||||||||||||
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[編集] 略歴
- 1951年 : 聖心女子大学英文科卒業
- 1953年 : 米国ジョージタウン大学国際関係論修士課程修了
- 1963年 : 米国カリフォルニア大学バークレー校政治学博士課程修了
- 1965年 : 国際基督教大学非常勤講師
- 1968年 : 国連総会日本政府代表顧問
- 1974年 : 国際基督教大学準教授
- 1976-78年 : 国連日本政府代表部公使
- 1978–79年 : 国連日本政府代表部特命全権公使、ユニセフ執行理事会議長
- 1979年 : 外務省参与、日本政府カンボジア難民救済実情視察団団長
- 1980-88年 : 上智大学国際関係研究所教授
- 1981-85年 : 婦人問題企画推進会議委員
- 1982-85年 : 国連人権委員会日本政府代表
- 1983-87年 : 国際人道問題独立委員会委員
- 1987-88年 : 上智大学国際関係研究所長
- 1989-91年 : 上智大学外国語学部長
- 1990年 : 国連人権委員会ビルマ人権状況専門官(ビルマは現在のミャンマー)
- 1991年 : 第8代国連難民高等弁務官に就任(1990年12月21日国連総会にて選出、任期は1991年1月1日から3年、2月18日就任)。
- 1993年 : イタリア金の鳩平和賞を受賞
- 1994年1月1日 : 国連難民高等弁務官に再任(1993年11月4日国連総会にて再選。任期5年)
- 1999年1月1日 : 国連難民高等弁務官に再任(1998年9月29日国連総会にて再選。任期2年)
- 2000年 : 難民教育基金を設立
- 2001年 : 人間の安全保障委員会共同議長
- 2001年11月 : アフガニスタン支援政府特別代表
- 2001年 : 文化功労者。フランス・スウェーデン・ロシア・ドイツ・イタリアで受章
- 2002年1月21-22日 : アフガニスタン復興支援国際会議共同議長
- 2002年 : インディラ・ガンディー賞受賞
- 2003年 : 文化勲章を受章。国連有識者ハイレベル委員会委員、人間の安全保障諮問委員会委員長に就任
- 2003年10月1日 : 国際協力機構 (JICA)理事長就任
- 2004年10月1日 : 名誉都民に顕彰
[編集] 著書
[編集] 単著
- Defiance in Manchuria: the Making of Japanese Foreign Policy, 1931-1932, (Greenwood Press, 1964).
- 『満州事変と政策の形成過程』(原書房, 1966年)
- 『日本における国際組織研究』(総合研究開発機構, 1982年)
- Normalization with China: A Comparative Study of U.S. and Japanese Processes, (Institute of East Asian Studies, University of California, 1988).(添谷芳秀訳『戦後日中・米中関係』東京大学出版会, 1992年)
- 『難民つくらぬ世界へ』(岩波書店, 1996年)
- 『私の仕事――国連難民高等弁務官の十年と平和の構築』(草思社, 2002年)
- The Turbulent Decade: Confronting the Refugee Crises of the 1990s(WW Norton, 2005).(『紛争と難民――緒方貞子の回想』集英社, 2006年)
[編集] 共著
- At the Global Crossroads : the Sylvia Ostry Foundation Lectures, (McGill-Queen's University Press, 2003).
- (ユニフェム日本)『女性と復興支援――アフガニスタンの現場から』(岩波書店, 2004年)
[編集] 編著
- 『転機の海外援助』(日本放送出版協会, 2005年)
[編集] 共編著
[編集] 参考文献
- UNHCR Basic Facts
- UNHCRプレスリリース
- 日本UNHCR協会
- 現代政治用語辞典
- 国際協力機構(JICA)ニュースリリース
- 日本国際問題研究所 JIIAフォーラム講演要旨
- 「日本女性会議2001みと」へのメッセージ
- 石原慎太郎東京都知事・記者会見(2004年9月3日)
- 東京都報道発表資料(2004年9月3日)
- ケネディスクール同窓会