短三和音
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短三和音(たんさんわおん)とは、和音の一種である。西洋音楽における、重要な和音のひとつである。ポピュラー音楽では英語名のマイナーコードとも呼ばれる。
目次 |
[編集] 基本データ
[編集] 各語での呼称
[編集] 構成音
- 根音
- 短三度(m3)
- 完全五度(P5)
の3音から構成される三和音である。
[編集] 和音記号
和音記号の種類 | 表記法 | ||
基本形 | 第1転回形 | 第2転回形 | |
コードネーム表示 | Xm | Xm/Y または XmonY |
Xm/Z または XmonZ |
クラシック系での和音記号 | x | x6 | x46 |
ピッチクラス表示 | [037] |
ただし、根音をX, 第3音をY, 第5音をZとする。
[編集] 周波数比
音律名 | 根音 : 第3音 : 第5音 | 数値 |
純正律 | 1 : 1.2 : 1.5 | |
ピタゴラス音律 | ?? | 1 : 1.1851851 : 1.5 |
中全音律 | ?? | 1 : 1.19627902498 : 1.494358 |
平均律 | 1 : 1.189207 : 1.498307 |
[編集] 主な用法
西洋音楽においては、長三和音と並んできわめて重要な位置を占める和音である。具体的な用法としては以下のようなものがあげられる。
- 長調における II, III, VI
- 短調における I, IV
[編集] 転回
[編集] 基本形
短三和音は、主に基本形(根音が低音)で用いられることが多い。これはポピュラー系では顕著である。
[編集] 第1転回形
第1転回形(第3音が低音)は基本形とは異なった独特な浮遊感を持った響きから、クラシック系では愛用されている。この場合、バス以外に第3音を含むと響きが厚ぼったくなってしまうため、避けるべきとされている。ただしポピュラー系で第1転回形(ベースが第3音)が使用される場合にはこのことはあまり気にされていないし、とくに気にする必要もない。
[編集] 第2転回形
第2転回形(第5音が低音)は響きが不安定である。このため、基本形、第1転回形のような用法ではなく、偶成和音的な用法、あるいは不安定であることを狙った用法に用いられることが大半である。
最も頻繁に用いられるのは、偶成和音としての用法のひとつである、
- Cm/G - G7 - Cm
という倚和音としての用法である。そのほか、
- C - Em/B - Am7
という経過和音としての用法もある。
[編集] 付加音、テンション
ポピュラー系では、短三和音は響きが単純すぎるとされ、このままの形で使用されることはまれである。通常は第6音、第7音を付加して、Xm6、Xm7などの形で使用する。第6音は短六度、長六度の場合があるが、これは調性などの都合に合わせてどちらにするべきか判断される。ここで調性にあわない長六度の付加を破壊的シックススということがあり、その使用には注意が必要とされる。単にCmと書いた場合には、Cm7のことをあらわす場合も多い。また、短三和音は、9th, 11thなどがテンションであり、これを付加することも多い。第3音を第4音と交換したXsus4もよく使用される。
[編集] 短三和音の正当性
短三和音は長三和音のような音響的な根拠は持たない。しかし、下倍音という人工的な概念を導入すると、短三和音を長三和音と同じ方法で正当化することができる。関連:フーゴー・リーマン
それぞれの音の音程に着目してみると、短三和音は
- 長三度(短六度)
- 短三度(長六度)
- 完全五度(完全四度)
という音程から構成されていることがわかるが、これらはすべて協和音程である。音楽史的に見れば、伝統的な対位法ではこれらの音程しか許されていなかったため、必然的にこれらの音程を積み重ねた和音、すなわち、短三和音の基本形とその第1転回形[1]が頻繁に使用されることとなり、これも短三和音が重要な和音として普及した一因であると思われる。とくに対位法において低音の完全四度が禁忌とされた[2]ことは、短三度と完全五度が最も重要な協和音程と認識されることにつながり、短三和音の普及に非常に大きな貢献をしたと考えられる。(←修正求む)
[編集] 関連記事
[編集] 特別な名前を持った短三和音
- サブドミナントマイナー
[編集] 類似した和音
- 減三和音
- 短七の和音