甲州弁
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甲州弁(こうしゅうべん)は日本語の方言であり、主に山梨県の郡内地方(大月市、都留市、富士吉田市周辺)を除く、ほぼ全域で話されている東海東山方言の一種である。ナヤシ言葉とも言う。主な語彙や発音は、富士川や甲駿を結ぶ諸街道によって文化的共通性の強い静岡弁によく似ている。
明治期には三田村鳶魚「甲斐方言考」『風俗画報』や自治体誌の類により甲州弁はじめ山梨の方言に関する語彙の紹介を行っている。戦後には、昭和14年に発足した山梨郷土研究会や昭和30年代の山暗視方言研究会、昭和61年に発足した「山梨ことばの会」が中心となり学術的研究がスタートし、特に独自の方言として知られる奈良田方言に関する研究は全国的にも注目された。また、北杜市の大泉村図書館は金田一春彦旧蔵の方言資料を収蔵している。
甲州弁ラップ「だっちもねーこんいっちょし」(「くだらないこと言うな」の意)という曲がCD化され発売されたこともある。
[編集] 主な語彙
- おばやん - おばさん。
- おまん - お前。
- ~しざあ - ~しよう。
- (例)「さあ、行かざあ。」「話を聞かざあ。」
- ~しちょ - ~してはいけない。
- (例)「あんまり無理をしちょ。」「そんなに飲んじょ。」
- ~じゃんけ - ~じゃないか。
- 三河弁などの「~じゃんか」に相当。
- ~しろし - ~しろよ。
- (例)「ちゃんと勉強しろし。」
- はんで - 急いで。早く。
- (例)「はんで車に乗れし。」
- めた - たくさん。
- かじる-かく
- (例)「背中かじって」
[編集] 参考文献
- 石川博「学芸」『甲斐路95号創立六十周年記念特集号』(山梨郷土研究会、1999)