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火鉢 - Wikipedia

火鉢

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

火鉢
火鉢

火鉢(ひばち)とは、日本暖房器具のひとつ。中でを焚いて使用する。

目次

[編集] 概要

陶器製または金属製のものが多いが、木製石製のものもある。大きさは50cmを超えるものから、手炙り(てあぶり)と呼ばれる30cm以下程度のものまでさまざまである。手焙り火鉢は通常対で作られていた。昔の大きな屋敷にはこの対の火鉢25組50個置ける部屋があり、の寄り合いなどの際には全てに火が入れられ、来た者から火に当たっていたという。

また関東火鉢、或いは江戸長火鉢と呼ばれる大型で引出しとを一体化させたものもある。全体は直方体をしていて四角い火鉢の右横に猫板とよばれるスペースがある。猫板の下に2~3段の引出しが付き、火鉢の下にも横に2つ引出しが並ぶのが一般的。関西長火鉢は上部にテーブルのような張り出しがあるのが特徴。引出しは乾燥するので煙草海苔など湿気を嫌うものを入れる事が多い。

材質は欅(ケヤキ)の木がその堅さゆえ最も多く使用されており、上部の縁に黒柿(柿の木数百本の1本の割合で存在)を使用したものが特に好まれた。欅材は玉杢と呼ばれる杢目の多さでその価値が決まったとされる。引き出し面の反対側に客人を座らせることから、関東火鉢の表面(オモテ)は引き出し面の反対側を言う。表面にはその時最も良いとされる杢目の板を使うのが江戸指物師の粋だった。

[編集] 歴史

火鉢がいつ頃から使用されていたのかははっきりしない。清少納言枕草子に、火鉢の前身にあたる火桶(ひおけ)に関する記述が見られることから、平安時代には使用されていたと考えられる。

を使用するため、を使う囲炉裏に比べが出ないことから、武家公家の間で使用されていたものが一般にも普及し、江戸時代から明治時代にかけて、インテリアとして発達した。彫金を施された金属製の火鉢や、鮮やかな彩色をされた陶器製の火鉢が作られた。そのため、現在では装飾植木鉢プランターカバーとしての需要がある。またリサイクル用途として庭先などで中に水を張り金魚などを飼う事もある。

戦前までは待合室などでよく見られたが、ストーブに押され、消えていった。

平成に入って、テレビの骨董鑑定番組の影響から急激に需要が増えたが、投機目的や、インテリアとして求められる例が多く、暖房器具としての需要は低かった。しかし昨今、遠赤外線による暖房の効果がいわれるようになり、エアコン暖房を苦手とする人に支持されている。

[編集] 使用方法

火鉢に炭を継ぐ様子。右手が火箸。左手が十能
火鉢に炭を継ぐ様子。右手が火箸。左手が十能

空の火鉢の底に小石などを敷く。その上から灰(藁灰がよい)を、火鉢の1/2-2/3ほどまで入れる。灰を入れる炉、又は“おとし”と呼ばれる部分は、銅板により作られていることも多い。その場合は小石が湿気を含んでいると銅板がさびてしまうので、灰だけを入れた方がよい。灰は断熱材なので深さ10cmもあれば炭の熱の心配は無い。五徳を使う場合は、灰の中に2-3cmほど埋め、鉄瓶などを乗せても傾かないようにする。五徳は爪を上に向けて使っても、下に向けて使ってもいい。2-3本の炭を火おこしに入れて火にかけ、炭全体が赤く色づくまで20分ほど加熱する。炭が暖まったら、十能(じゅうのう)に入れて運び、火鉢の中央に適当に間隔をあけて並べる。灰の上に火のついていない炭をのせ、固形燃料などを使って火をつける方法もある。火がつきづらい場合は、豆炭を使用すると火をおこしやすい。炭から炎があがっている状態よりも、炭が赤く色づいている程度の方が持ちが良い。火力の調整は、炭の量の増減や配置を調整することによって行う。火を消す場合は炭を灰の中に埋めるか、火消し壷に入れる。

炭を扱うには火箸(ひばし)を用いる。金属製の長い箸で、使わないときは火鉢の隅の灰に突き刺しておく。火の神を祭る神社には防火を祈って大小の火箸が奉納される。

五徳の上に水を張った鉄瓶をかけておくと加湿器代わりになる。五徳の上に網を乗せ、餅やキノコを焼く。灰に臭いが付くため、魚などの臭いのきついものを焼くときには火鉢は使われない。

銅壷をいれて湯を沸かすこともある。酒に燗をつけるためにも使われる。

炭が燃える際に一酸化炭素が発生するので、換気には注意が必要である。

[編集] 北米におけるHibachiの誤用

北米の鉄板焼き専門店では、料理人が炎を用いたショーを見せることで知られている。こうした店では、調理器具の金属製のコテ(ヘラ)や油を引くための道具に火を点火し、ジャグリングに似た曲芸を披露する。こうした芸を始めたのはレストランチェーンの「Benihana」で、Hibachi-Play、Hibachi-styleと呼ばれている。七輪と火鉢を混同したのが原因と見られるが[1]、多くのアメリカ人が、こうした芸が日本国内のステーキ店などでも行われていると信じ、Hibachiという語を誤用している。

[編集] 脚注

  1. ^ 英語の「Hibachi」は火鉢じゃなかった exciteニュース 2005年6月2日

[編集] 外部リンク

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