湘南爆走族
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『湘南爆走族』(しょうなんばくそうぞく)は、吉田聡を代表する漫画作品、及びそれを原作とした映画とアニメ。「少年KING」(少年画報社刊)に1982年から1988年まで連載されていた。略称「湘爆」。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
神奈川県の湘南海岸を舞台とし、2代目リーダーの江口洋助をはじめとする暴走族「湘南爆走族」メンバー5人と、地獄の軍団など他の暴走族などの登場人物やグループを中心に友情や恋愛などを描いた漫画。ギャグの割合が多いものの、喧嘩やバイクバトル等の描写、グループ間の抗争などシリアスなストーリーも見られる。不良・ヤンキー・暴走族漫画の原点とも言える作品で、後々の同ジャンルの漫画に、現在に至るまで多大な影響を与え続けている。
主人公である江口の一人舞台になる事は少なく、他のメンバーやライバル達も各々の個性を確立せさ、それぞれのキャラをクローズアップしたストーリーが見られるのも本作の特徴。連載ではギャグメインで一話毎に単発で完結するのが基本だが、 江口と権田のタイマン勝負、ボクシングに打ち込む権田のエピソード、族同士の抗争編など、シリアスな展開の数話に渡る長編もある。
1982年3月、「少年KING3号」で読み切りとして登場した。その後、同年12月、正式に連載が開始された。 単行本は16巻。別巻が1冊。湘南爆走族を中心とした「月刊・湘南爆走族」も発刊されている。
1987年に江口洋介主演で、実写映画化され、それに平行してOVAも12作製作されており、主題歌は元横浜銀蝿の翔、HOUND DOG、LOUDNESS、Mr.Childrenなどが歌っている。OVAは1991年10月時点で、7作目までで15万本を販売した[1]。
補足として、時折「俳優・江口洋介の芸名は湘南爆走族の江口洋助から取った」と誤解している人がいるが、「江口洋介」は本名であり、本作における役名との一致は偶然の産物である(もっとも、役名と本名の読みが一緒だからキャストとして当てられた可能性も無いという訳では無い)。
スピンオフ作品として、江口達と同じ時期に高校生だった5人組の活動を描いた、「湘南グラフティ」が1998年から1999年に掲載された。
ヤングキングに連載された「荒くれKNIGHT」は、本作のリメイク的要素の強い、いわばセルフカバー作品。
2007年の4月から、完全版コミックスの刊行が講談社から発売された、14巻は完全新作で収録されている。 宮崎駿も、当作品を傑作と吉田の他書の解説で評価している。
[編集] 登場人物
カッコ内はOVAの声優
- 江口 洋助(第1作:翔 2作目以降:塩沢兼人 パチンコ版:緑川光)
- 湘南爆走族2代目リーダー。紫色のリーゼントパーマ(通称スーパーリーゼント)が特徴。手芸の腕はプロ級で、波打際高校第25代目総番にして、第25代目手芸部部長でもある。通称「手芸のえっちゃん」。喧嘩の強さやバイクの腕前は常軌を逸しており、バイクに乗らせれば関東一。中学時代から喧嘩は強かったが、いたって真面目で不良とは縁遠い存在であった。手芸店へ買い物に行く途中、彼の自転車の運転技術が後継者を探していた桃山マコの目に留まり、2代目リーダーを襲名する事になる。字が下手で、手芸部に入部する際に書いた入部届の名前を、先代の部長に「ミエロシ ヒツジスケ」と読まれている。愛車はGS400改ファイアパターン仕様とパッソル。ヤナギヤポマード愛用。
- 石川 晃(第1作:塩沢兼人 2作目以降:山口健)
- 湘南爆走族親衛隊長。太い眉毛に3色メッシュが特徴。元・赤潮中学の番格。血の気が多く短気、中学時代は先生・生徒見境無く暴力を振るい孤立、友達も居なかったためギターで寂しさを紛らわす一面も。しかし波打際高校に入学後、一匹狼である彼が唯一憧れ、参加を夢見ていた初代湘爆が解散し、無名の江口が2代目を継いだ事に納得がいかず、(一方的に)リーダー及び波高番格の座を賭けてタイマンを挑むが敗北を喫す。江口に心酔した彼は、2代目湘南爆走族に参加。通称「弾丸小僧」。愛車はCB400T改。実家は八百屋。ケイバポマードを愛用。趣味は人生ゲーム。機械音痴らしく、家電品を触るとなぜか壊してしまう。妹がおり、こちらもやはり眉毛が太い。
- 丸川 角児(佐藤正治)
- 原沢 良美(郷里大輔)
- 湘南爆走族リーダー補佐。体格の大きさ(原作の設定では182cm)が特徴。元・近遠中学の番格。実家の商売が工務店のせいか、怪力無双のパワーを持つ。通称「怒涛の怪腕」。メンバーの中で最もオッサン臭く、桜井信二の父親と間違われたことも。江口と初対面した時、喧嘩を売って蹴り1発で倒される。江口と石川のタイマン後、誰よりも早く江口に頭を下げ2代目湘爆に参加した。親父がうるさいため免許は持たず、いつも桜井の後ろに乗り旗持ちをしていたが(一度、原付免許を取ろうとした事があったが、江口が面白半分から大暴れしたせいで取得を諦めている)、4輪免許は湘爆最速で取得し卒業式には車(ローレル)で乗り付ける。褌愛好者。渚と言う可愛い彼女がいて、遠距離恋愛中。バイタリスヘアリキッド愛用。
- 桜井 信二(第1作:山口健 2作目以降:目黒光祐)
- 津山 よし子(鶴ひろみ)
- 波打際高校手芸部副部長。真面目な性格で手芸部後輩部員からの信頼も厚いしっかり者。部長でありながら部に出てこない江口を常にサポートしている影の部長である。江口とはお互いに意識しあう、友達以上恋人未満の微妙な関係であったが卒業目前にして淡い恋を実らせた。
- 三好 民子(富沢美智恵)
- 茂岡 義重(第1作:嵐ヨシユキ 第2作:よしださとし 第4-7作:西村知道 第8作以降:玄田哲章)
- 権田 二毛作(屋良有作)
- 地獄の軍団·二代目総長。園都成高校生徒会長兼ボクシング部の主将で校内ではかなりの人気者である。岸本葵という恋人がいる。
- 海岸線にその名を轟かすほどのツッパリであるが、生真面目でバイトが趣味と意外な一面もあり、彼の人生はタイムカードで刻まれているともっぱらの噂である。
- 江口と出くわすといつも喧嘩になるが、お互いに一目置いており良きライバル関係である。
- 湘爆を倒し湘南No.1チームに踊り出る事が悲願であるが、残念ながら連戦連敗でNo.2チームに甘んじている。
- 上記の通り江口とのサシの勝負も連戦連敗だが、本気を出した場合の実力は拮抗している。
- 愛車はRZ350(初期型)だったが、江口とのタイマンレースで大破し、必死になって稼いだバイト料でGPZ400Fに買い換える。バルカンポマード愛用。
- 瀬島 渉(大塚芳忠)
- 向田 正平(田中和実)
- 徳竹 俊二(風間信彦)
- 白鳥(新田三士郎)
- 大仏(川津泰彦)
- 桃山 マコ(藤巻恵理子)
- 桃山 勘吉(戸谷公次)
- 江口 啓助(田中亮一)
- 江口の兄。普通のサラリーマンだが、喧嘩が強く、江口はいつも泣かされている。
- 無敵の江口が全く勝てない強さから察するに原作最強キャラと推測される。
[編集] 登場グループ
- 湘南爆走族
- 正式名称「PURPLE HIGHWAY OF ANGELS 湘南爆走族」
- 茂岡義重らが中心になり結成したグループ。初代リーダーは桃山マコ。「湘爆」と略されることが多い。初代の構成メンバーは、湘南近辺で他の暴走族が頭を下げて入団を頼んでも無視する程の猛者達や、横浜で小規模ながら気合の入った走りをしていた暴走族達であるが、茂岡の顔と桃山マコの魅力の下に湘爆を結成。
- 結成当時の時代背景として、単車のチームは暴力全盛を極めており、喧嘩で名を上げた猛者達が女リーダーの下「走り専門」の看板を掲げるというかなり異色の存在であった。
- 2代目の構成メンバーは、江口洋助に心酔した湘南地区の中学校の元番格達で、メンバーは5人と少ないが、湘南で第1勢力を誇り、初代に勝るとも劣らない。
- 『湘爆だー! 当たると痛ぇぞー!!』というセリフと、同じコマ内に大きく強調される一つ星が象徴的で、初代から2代目にかけて作中で幾度となく使用されている。走りがメインのチームで自分達から喧嘩を売ることは殆ど無いが、いざ勝負事になったらバイクでも喧嘩でも負ける事はないという、シンプルながら絶対の自信を表した一言。初代では茂岡、2代目では原沢や晃など、リーダー以外のメンバーが主に発する。
- 最終回にシルエットだけだが、3代目リーダーらしき人物が登場している。だが、構成メンバー等は不明。
- 地獄の軍団
- 前身は「地獄の番人」。暴力全盛の時代に暴力でのし上がって来たケンカチームの名門中の名門であり湘南の第2勢力。
- 初代湘爆が結成されるまでは、第1勢力を誇っていたと思われるが、湘爆結成式での妨害に失敗以来第2勢力に甘んじている。初代総長は釘咲で、彼が地獄の番人から改編したと思われる。結成当初から目の上のタンコブである大の赤星(湘爆)嫌いである。
- 2代目総長は権田二毛作。
- 非故烈斗(ピコレット)
- 作中初期に度々登場する湘南の暴走族だが、江口洋助や権田二毛作にやられっ放し。地獄の軍団の対抗チーム。旗には『暴走革命非故烈斗』とある。
- 参保悪流(サンポール)
- 作中初期に度々登場する湘南の暴走族だが、非故烈斗と同じく江口洋助や権田二毛作にやられっ放し。非故烈斗と敵対してる。
- 壱軸冠蝶(いちじくかんちょう)
- 作中後期に度々登場する湘南の暴走族。初代湘爆が解散しメンバーが江口が一人になった時に襲撃したり、権田のボクサー復帰の際に殴りこみをかけたりと、汚い手を使うながらも、湘南のチームでは、湘爆や地獄に本気で攻撃をしかけているのはこのチームのみである。
- 権田二毛作が事故を起こして入院した時、「壱軸新聞」なるものを作って町中に貼って回り、権田が入院した事を広めたりするなど、同じケンカチームゆえか湘爆よりも地獄を狙ってる様な描写も見受けられる*:2輪専門の部隊2特隊が存在する。
- 斜輪乱(シャワラン)
- 2度登場した湘南の暴走族。他の暴走族に比べ規模も小さく、江口や権田に対して敬語で挨拶するなど、存在感は非常に薄い。
- ハッスルジェット
- 横須賀の暴走族。真紫準によって結成されたチーム、そのリーダーシップによって急成長をとげた。二輪180台、四輪20台の大所帯で地獄の軍団も一目を置いていた。
- 湘南から見て東の要であり、東からの勢力を食い止めるような位置付けだったが、総長がアメリカに旅立った事で解散。チーム内にレディスも存在し、総長と恋仲の雅ヨーコが頭を張っていた。
- 武羅帝卑異流(ブラディヒール)
- 横浜の暴走族。南雲光男総長の時代は、お互い走りを看板にした横須賀のハッスルジェットとは、好敵手であり友好チーム。
- 「マシン」を重視する南雲は、「仲間」を重視する真紫と追い求める物は違うが親友同士であった。
- 全日本選手権ノービス級に出場しクラッシュをした南雲はチームから姿を消し、残された恋仲の立花紅子が後を継ぐ。
- 南雲の復帰を夢見た彼女は、彼の夢であった理想郷「南部連合」設立を目指した。
- 副総長である火影彫二の暴走により「ケンカチーム」と変貌を遂げたヒールは、喧嘩では手段を選ばぬ残虐な姿勢と人海戦術で、湘南の暴走族を次々と連覇、地獄の軍団までも潰し、湘南の統一=南部連合結成まであと一歩と迫ったが、湘爆に叩きのめされ解散した。
- 魔路苦淋(マジックリン)
- 川崎の暴走族。新参のケンカチームで、悪名は売れ始めていたが、湘爆の丸川の親友「長内」との揉め事が彼の逆鱗に触れ、丸川&原沢&桜井のトリオに叩き潰された。
- 無明
- 横浜の暴走族。リーダーは小野郡司、所帯は小さいながらも根性の入ったチームであり、有名になりかけていたが、桃山マコに心底惚れた彼らは、チーム丸ごと初代湘爆に参加し親衛隊になった、横浜在住のため湘南へは通い組である。
- 魔魔礼悶(ママレモン) ※「魔」ではなく广(まだれ)にカタカナのマ
- 横浜の暴走族。無明の友好チームで、初代湘爆結成時にお祝いに駆けつける。
[編集] OVA
- 「湘南爆走族-残された走り屋たち-」(1986年製作)
- 「湘南爆走族II 1/5 LONELY NIGHT」(1987年製作)
- 「湘南爆走族III 10オンスの絆」(1987年製作)
- 「湘南爆走族4 ハリケーン・ライダーズ」(1988年製作)
- 「湘南爆走族5 青ざめた暁」(1989年製作)
- 「湘南爆走族6 GT380ヒストリー」(1990年製作)
- 「湘南爆走族7 スポ根マッド・スペシャル」(1991年製作)
- 「湘南爆走族8 赤い星の伝説」(1992年製作)
- 「湘南爆走族9 俺とお前のGOOD LUCK!」(1993年製作)
- 「湘南爆走族10 FROM SAMANTHA」(1995年製作)
- 「湘南爆走族11 喧嘩の花咲く修学旅行」(1996年製作)
- 「湘南爆走族12 完結篇 桜吹雪の卒業式」(1999年製作)
[編集] 実写映画
[編集] キャスト
- 江口洋助 - 江口洋介
- 石川晃 - 織田裕二
- 津山よし子 - 清水美砂
- 三好民子 - 杉浦幸
- 丸川角児 - 村沢寿彦
- 原沢良美 - 我王銀次
- 桜井信二 - 佐藤健
- 茂岡義重 - 須藤正裕
- 桃山マコ - 杉本彩
- 瀬島渉 - 佐久間哲
- 権田二毛作 - 翔
- 城崎 - 竹内力
- その他の出演者
- 殺陣剛太
- 森一馬
- 安藤麗二
- 小沢和義
- 国広富之(友情出演)
- 松崎しげる(友情出演)
[編集] テーマ曲
- 織田裕二がバンド演奏をしながら歌ったテーマ曲「Boom Boom Boom」があった。この曲でミュージックステーションにも出演している。
[編集] Vシネマ
- 1997年 湘南爆走族 帰ってきた伝説の5人 (川井博之・浜崎あゆみ主演) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 1998年 湘南爆走族2 熱闘!アルバイト大作戦 (萩野崇主演) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 2001年 湘南爆走族 (石川伸一郎主演) カレス・コミュニケーションズ
- 2001年 湘南爆走族2 (石川伸一郎主演) カレス・コミュニケーションズ
- 2002年 湘南爆走族3 10オンスの絆 (石川伸一郎主演) カレス・コミュニケーションズ
[編集] パチンコ・パチスロ
2006年秋に大一商会よりパチンコ『CR湘南爆走族』がリリースされた。デジパチと羽根役物を併用したゲーム性が話題となったものの、後に一部スペックにて回転体の特定の位置でのベロ入賞を狙った攻略法が問題となり、撤去した店が続出してしまった。
また、2007年秋には同じく大一商会よりパチスロ版の『湘南爆走族』もリリースされている。