淡水フグ
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淡水フグ(たんすいフグ)は、淡水または汽水に生息するフグのことで、熱帯魚としてのフグの一部の種をまとめて呼ぶときの名称。日本では海水魚としてのイメージの強いフグであるが、世界各地の熱帯域には汽水や淡水に生息する種が多数存在する。純淡水での飼育が可能な種類は、一般的な熱帯魚と同じ感覚で手軽に飼育できる人気のある魚である。
フグは一般的には強靭な歯を持ち、テリトリー意識の強い肉食魚である。淡水フグも例外ではなく、ほとんどの種は単独での飼育が推奨される。
[編集] 代表的な淡水フグ
- ミドリフグ
- 学名:Tetraodon nigroviridis
- スリランカから中国南部にかけて広く分布する。汽水性。観賞魚としてポピュラーである。長期飼育には塩分が必要。同種及び他種と争うことがあるので複数飼育は難しい。遺伝学のモデル生物であり、ゲノム解読が進んでいる。
- ハチノジフグ
- 学名:Tetraodon biocellatus
- 東南アジアに分布する。汽水性。全長8cm程度。ミドリフグと姿が良く似ている。背中に数字の8のような模様があることから日本ではこの名で呼ばれる(英名 figure 8 puffer)。
- マレーフグ
- 学名:Tetraodon palembangensis
- マレーシア、インドネシアなどに分布。淡水性で全長15cm以上になる。
- タンガニーカフグ、テトラオドン・ムブ
- 学名 Tetraodon mbu
- アフリカ原産で、タンガニーカ湖、コンゴ川流域などの淡水、汽水域に分布する大型の淡水フグ。60cm以上になる。褐色の体に黄色の網目模様が入るのが特徴。
- テトラオドン・ファハカ(リネアートゥス)
- 学名:Tetraodon lineatus。アフリカ原産で、ナイル川から広範囲に生息する。基本的には淡水性。全長40センチ程度。この種は2種類の亜種が確認されているが、その亜種の中のテトラオドン・リネアートゥス・ルドルフィアヌス(学名 Tetraodon lineatus rudolfianus)という種は、塩湖という環境のため全長10センチ程度にしかならない。
- ナイルフグ(テトラオドン・ミウルス)
- 学名:Tetraodon miurus
- アフリカ原産。コンゴ川流域などに分布。淡水性。全長15cm程度。ちなみに、ナイルフグと言うが実際はナイル川には生息していないため、学名の「テトラオドン・ミウルス」で呼ばれることも多い。砂に潜ることを好み、体色は赤味がかった茶色が一般的であるが、個体によって灰色や黒褐色などのバリエーションがある。
- アベニ・パッファー
- 学名:Carinotetraodon travancoricus
- インドに分布。淡水性。絶滅のおそれのある種。全長3.5cm 程度の非常に小型の種。水槽内でもしばしば繁殖が観察されている。
- 南米淡水フグ
- 学名:Colomesus asellus
- 南米アマゾン川産の純淡水性のフグ。体長7cmほどの小型種で性格が温和なため、他の魚との同居が可能な数少ない淡水フグである。背面の薄い黄色の地肌に黒い縞模様が5本入る。なお、近縁種に本種に類似した外見の「南米汽水フグ」もしくは「クロオビフグ」と呼ばれるColomesus psittacus種が存在するが、汽水性で性格も攻撃的なため飼育する際は注意が必要。psittacus種はasellus種と異なり縞模様が6本で、最大で体長40cmに成長する。