欧米コンプレックス
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欧米コンプレックス(おうべいこんぷれっくす)とは、西欧白人文化を至上のものと見做す価値観及び美意識を指す。西欧白人以外の者が抱く感情である。西欧白人文化以外の文化は、無視ないし軽視する。
中世においては、西欧は決して先進地域ではなかった。イスラム帝国のほうが、よほど先進地域であった。しかし、18世紀に資本主義が成立し、市民革命が達成されると、西欧は世界の先進地域に躍り出る。
開国以後の日本では、攘夷論の無理が悟られると、欧米諸国に近付くことが目指されるようになった。中国・朝鮮で、自力の近代化が挫折すると、日本の知識人たちは、特にこの傾向を強めた。福沢諭吉の、脱亜入欧論が有名である。中国・朝鮮に対する侵略が進展するにつれ、日本の大衆の間にも普及した。
第2次世界大戦後、日本が高度経済成長が達成した後も、この傾向は消えていない。むしろ、戦勝国アメリカを通じて、強まる傾向さえある。日本人大学生に「あなたは自分をアジア人と思うか」とアンケートを取っても、「思わない」と回答する者が多く、極端な場合には、「欧米人に生まれたかった」と回答する者もいるという。
どこから見ても白人が美しい、と考える者には、欧米コンプレックスがあるという。しかし、「白人と同居したいか」との質問には窮する者が多く、偶像化された白人に憧れる傾向が窺えるとされる。
なお、この傾向は、日本だけの現象ではない。例えば、韓国生まれの「原理講論」(世界基督教統一神霊協会教典)では、西欧白人文化以外の文化を軽視し、欧米でこそ文明が結実すると述べている、と浅見定雄は指摘する。
日本でも、韓国でも、台湾でも、先進国水準の生活を得たアジア諸国では、美容整形が流行している。多くは、一重まぶたを二重まぶたにし、あるいは低い鼻を高くし、白人の容貌に接近しようとするものである。モンゴロイドの容貌を嫌い、白人の容貌を獲得したがることも、欧米コンプレックスの一現象である。