橋上駅
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橋上駅(きょうじょうえき)は、駅舎機能を2階部分に集約した鉄道駅、あるいはその駅舎(橋上駅舎)のこと。跨線橋と駅舎を一体化したような構造を持つ。
地上駅の一種に分類されるが、堀割駅や高架駅でも橋上駅舎が建設される場合もある。掘割駅の場合、地面と同じ平面に駅舎が造られる。高架駅の橋上駅は、大阪高速鉄道万博記念公園駅などの例がある(この場合は駅舎の位置が3階レベル以上になる)。こういった場合も広義には橋上駅と呼ぶ(堀割駅の場合は地下駅とされる場合もある)。
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[編集] 特徴
地上駅が建て替えられて橋上駅とされることが多い。橋上駅は地上駅に比べ利点が多い。地上駅では路線を挟んで両側に駅舎をそれぞれ作らないと両側から出入りできないため、駅の機能が多く必要になる。そのため利用者のあまり多くない駅では駅の維持費がかさむなどのデメリットを抱えるが、橋上駅では駅の機能を1箇所に集約するため駅機能の簡略化が図ることができる。
[編集] 構造
橋上駅は2階レベルに機能が完全に集約されるため、地上駅としてのメリットが失われ、高架駅もしくは地下駅よりも場合によっては移動距離が長くなってしまうという不利点も抱える。また地上駅では駅舎正面のホーム(多くの場合1番線となっている)を優等列車のために割り当てたとしても上り下りが必要になり、結果的にどのホームであっても変わりが無くなってしまう。さらに高齢者や車いすを利用する人にとっては上り下りのための階段が障害となってしまいがちであり、このためエレベータやエスカレータが必要になる。これは両側の入出口だけでなく、ホームへの連絡のためにも必要になるため、どうしても駅舎の建造費が高くなってしまう。また、構造物の多くを上下移動のための空間となってしまいがちであり、駅舎自体も必要以上に大きくなってしまう。しかしこのようにしてバリアフリーを意識した構造であれば一般的な構造の地上駅に比べバリアフリーに特化した構造となるため、現在日本では積極的に建て替えが進んでいる。
なお、ホームの上の空間に駅舎機能を配置することにより、土地に制約のある場所では土地の有効利用となるため、土地に余裕が無い場所では最初から橋上駅で建設されることがある。
[編集] 駅周辺
橋上駅化することで駅の空間自体が広くなり、店舗や待合室といった機能を充実させることに繋がる例も多い。橋上駅はペデストリアンデッキでの連絡が容易である構造から、商業が集積している場所においては周辺の商業施設との連絡として導入されることもある。
橋上駅化することで駅自体のバリアフリー化や利便性向上には繋がっても、線路自体を高架化するものではないため、周辺の環境には大きな変化をもたらさない。特に開かずの踏切とされている場所では駅舎が橋上化すると線路の高架化のための空間が奪われ、また地下化するにしても駅舎の大規模な改築が必要になるなど問題点が多いため、開かずの踏切の解消とは相反するものである。