忍道 戒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『忍道 戒』(しのびどう いましめ)は2005年11月10日にスパイクにより発売のプレイステーション2(PS2)用ゲームソフト。アクワイア が製作。
2006年3月30日には、130以上のミッションを収録した『忍道 匠』、同年10月26日にはPSPソフト『忍道 焔』が発売されている。
目次 |
[編集] 概要
このゲームは忍者が主人公のステルスゲームである。かつてアクワイア は同じ趣向のゲーム『天誅』シリーズを作ったが、『天誅』の版権の変遷(天誅の項目参照)により、アクワイアは開発に関われなくなった。その後、スパイクと組んで開発したのが本作である。本作はアクワイアのゲーム、侍道シリーズ(侍、侍道2)の姉妹作でもある。
[編集] ゲームシステム
柱となるゲームシステムはアクワイア開発の天誅と侍道から各々受け継いだものがある。一撃必殺、そしてハラキリエンジンである。
- 一撃必殺とは、敵に見つからずに接近したり、敵の攻撃の隙をつくことで一瞬で敵を葬り去るシステムのことである。天誅シリーズでは必殺、忍殺と呼ばれていたが、忍道では血祀殺法(ちまつりさっぽう)という名称になった。忍殺と比べて、壁張り付きやぶら下がり、ふすま越しなど決められる状況が増え、また発覚中でもうまく隙をついたりすることで決めることができるのが大きな違い。
- ハラキリエンジンとは、ゲーム内の勢力に主人公が介入することによって情勢が変化し、異なったストーリー展開を楽しめるシステムの事。具体的には、任務の成否や首尾によって依頼主の好感度や軍備、空腹度などに変化をもたらし、送られてくる任務も変化していくという仕掛けである。
本作の魅力は、マップの行き来が非常に自由なこと。マップ内のオブジェクトは持ち上げたり、投げたりが可能で、その挙動はかなり凝ったものになっている。特にふすまはよく出来ていて、敵も味方も開閉でき、倒したり斬ったりすることもできる。
任務目的も敵を倒すことだけではなく、手紙や金庫を運んだり盗んだり、キノコや草を集めたり、味方を敵から警護したり、様々な目的が用意されていて、それらを達成したかどうかがすべて戦の情勢に大きく関わってくる。 また、任務とは直接関係のない要人を暗殺するといった行動も可能。(たとえば、兵糧を盗み出すために潜入した城に滞在していた侍大将を、任務のついでに殺害するなど)
敵の反応も賢く執拗な面もありながら、人間臭く、間が抜けていてお茶目でもあり、表情が細やかに変わったり、色々な独り言をつぶやいたり、大げさに驚いてくれたり、仲間を呼んだりするなど反応も豊かでゲームの存在感を引き立てるのに一役買っている。
[編集] 調合
本作の特徴のひとつとして『調合』の存在がある。自分で集めた素材(草・きのこ・ヤモリ等のアイテム)を調合して忍具を作り、それを任務に持っていって使用する、という事ができるので、忍者気分が存分に味わえる。アイテムを使わなくても十分楽しいゲームだが、使えばより面白くなる。
調合の基本は、調合用の壷に目的の成分(回復や混乱など)の数値を増やすように素材を放り込んでいくだけなので、(多少のコツがあるとは言え)それほど難しく考える必要はない。
目的の成分を好みの数値にしたら、使い方に応じて瓶(主に飲んで使う)や玉(投げて使う)や武士騙し(寿司のようなもの。食べさせて使う)のどれかと組み合わせることで、自分だけのオリジナルの忍具が完成する。
調合には、この他にも様々な要素があり奥が深い。
[編集] その他
行動の拠点となる隠れ家には裏庭があり、自由に改修する事が可能。各マップから持ち帰ったオブジェクトを配置したり、山を作ったりなど、自由にカスタマイズできる。裏庭には敵が襲撃してくることがあるため、これを撃退しやすくするのが主な目的となる。
その他にもいくつかの隠し要素があり、長く遊べるようになっている。
[編集] ミッションコンストラクトモード
本作ではミッションエディター匠(みっしょんえでぃたー たくみ)と名づけられた任務作成モードが存在する。これは『天誅』における虎の巻を基にしたゲームモードである。しかし、版権の移動以降、PS2ではついぞ作られることのなかったシステムである。
任務作成では、マップ構成、多様な任務目的や制限時間などを設定し、好きな任務をつくることができる。マップには、高低差や木や建物、敵などの人間をフィールド内に自由に配置し、ステージを作成できる。雰囲気別にそろったマップセットの特性を生かし、様々に意趣を凝らしたマップを造ることができる。
ミッションコンストラクトモードは末永く遊ぶことができる、本作の大きな魅力のひとつである。
『忍道 戒』と『忍道 匠』は、搭載されている任務作成モードが互換性を持っており、共有される任務データで、任務の作成、編集と、任務を遊ぶことが可能。『忍道 焔』では、『忍道 戒』、『忍道 匠』で作成された任務をダウンロードして遊ぶことができる。
[編集] 忍道 匠
上述の「ミッションエディター匠」で一般公募した任務を130以上収録したソフトが『忍道 匠』である。独立したソフトであり本ソフトのみで遊べる。各任務は、15基ある塔の各階に割り振られた「錬塔絵巻」というかたちで収録されている。ミッションエディターの機能を生かした意趣のある任務が多い。これらの任務をクリアしていくことで、『忍道 戒』では使えなかったボスや雑魚忍者、用心棒、熊などのキャラがそのキャラ固有のモーションで使用可能になっていく。キャラ毎の特性の違いによる任務攻略の有利不利を吟味してプレイできるのも魅力。
さらに、本ソフトにも「ミッションエディター匠」は搭載されており、匠から新規に使用可能になったキャラでプレイできる任務を製作可能。また、『忍道 戒』のミッションエディター匠で作った任務も読み込むことができ、戒では使えなかった追加キャラでその任務をプレイできる。
その他にも、『忍道 戒』に比べ、主人公キャラのコンボが増加していたり、オブジェクトの処理やダメージやその他、地味に改良が加えられている。
[編集] 忍道 焔
忍道シリーズ初のPSP作品であり、PS2『忍道 戒』『忍道 匠』の「ミッションエディター匠」で作成されたユーザー個人のオリジナル任務で遊ぶことが可能。シナリオモードの「諸国漫遊」では収録されている80の任務をクリアしていく。キャラクターのレベルアップが可能で、任務で得た評価に応じ経験値を得、ステータスのアップ、奥義の習得をしていく。最終的に使用できるキャラクターは、忍者、武士、大名、忍熊など36に及ぶ。
[編集] 忍道 戒ストーリー
舞台は室町時代後期、宇高多。 河原に倒れていた一人の青年。彼は記憶を失っていた。
その場にいた猫に導かれるまま、小汚い廃屋にたどり着いた青年。そこに落ちていた桃色にきらきら光る謎の物体を手に取り、覗き込むと、断片的な記憶の映像が見えた。そこへ一通の矢文が。矢文によれば、謎の物体は青年自身の失われた記憶が宿る魂の欠片だという。矢文に従い、青年はこの宇高多の地の領主、一条信輝を訪ねるが…。
自分が飛鳥忍者の生き残り、「鴉(からす)」であると知った青年は、忍びとして力を貸す見返りに、宇高多に散った魂の欠片の情報を大名から集めることにする。かつて飛鳥忍者と親交を結んでいた義理を重んじ、一条に仕えるか、または資金、軍事力優れる赤目に仕えるか、或いは新興宗教の教祖、貞女に仕えるか…。3つの勢力にまんべんなく顔を売っておくのも良い。記憶さえ取り戻せればかまわないのである。
さらなる飛鳥忍者の生き残り、キヌやザジと出会い、各地から宇高多に集結する忍者軍団との戦いを経て、飛鳥忍者「鴉のゴウ」としての自分を取り戻していくが、やがて過去に自らが犯した過ちに気付くこととなる。宇高多の戦乱の影で暗躍する人物の姿が明らかになる…。
[編集] 忍道 戒登場キャラクター
[編集] 飛鳥忍者
- 鴉(からす)のゴウ(声:羽多野渉)
- ゲームの主人公。飛鳥の里の忍者だが、里が滅んだ時に魂を抜かれ、記憶を失っている。一条ら大名に忍びとして仕え、魂の欠片を集めることとなる。なぜ魂を抜かれたのか、なぜ飛鳥の里が滅びたのかは、魂の欠片を集め、記憶を結び合わせるうちに明らかになる。記憶を失う前は飛鳥の忍びとして優秀ではあったが、己の腕を過信して周りと衝突することも多いなど精神面での未熟が目立つ問題児的な存在だった。記憶を失ってからは以前に比べ理性的で冷静沈着な忍びとして着実に任務をこなすようになる。
- 黒鷹(くろたか)のザジ(声:小西克幸)
- 飛鳥の里の生き残り。ゴウの兄弟子にあたり、実力ではゴウを上回る。かつてはゴウと共に修行に励み、親しい仲であったが、飛鳥の里が滅びてからはゴウの命を執拗に狙う。プレイヤーの物語の進め方によって命運が大きく変わる。
- 金糸雀(かなりや)のキヌ(声:幸田夏穂)
- 飛鳥の里の生き残り。ゴウやザジとは共に修行に励んだ仲。記憶を失くしたゴウに対し、どこか冷たい態度をとる。過去の事件のため片手は義手である。薄羽いわく「ごっつくて、けしからん乳」らしい。
- 大鷲(おおわし)のタイガ(声:櫛田泰道)
- 里が滅びる前の飛鳥忍者の御大将。ザジ、ゴウ、キヌの育ての親でもある。飛鳥の壊滅の際、戦死。死に際の直前、居合わせたゴウに何かを託していたようだ。
[編集] 大名
- 一条信輝(いちじょう のぶてる)(声:森田順平)
- 飛鳥忍者を頼りに宇高多を治めてきた大名だが、飛鳥の里が滅びてしまい苦境に立たされる。どちらかといえば争いを好まない性格で、赤目や貞女とも和解の道を探っている。
- 赤目影虎(あかめ かげとら)(声:飯塚昭三)
- 宇高多の隣国の大名。飛鳥の里壊滅を好機と、豊富な資金と兵力を用いて宇高多に侵攻を開始する。見た目通り無骨で強引だが、面倒見の良さと実力ある者には対等に接する性分から、部下には慕われている。
- 貞女(さだめ)(声:幸田直子)
- 宇高多に勢力を広げる新興宗教「阿無璃他教(あむりたきょう)」の教祖。性格は適当だが、高いカリスマ性で信者たちをまとめている。
[編集] 忍者軍団
[編集] 多羅場忍軍(たらばにんぐん)
- 冑(かぶと)(声:大川透)
- 多羅場忍軍の首領。甲冑をまとい、重厚な装甲に大筒や火炎放射器で武装した戦闘的忍者。何らかの目的があって宇高多にやってきたようだが詳細は不明。ゴウの過去とも関係があるようだ。
[編集] 喪巣忍者(もすにんじゃ)
- 揚羽(あげは)・薄羽(うすば)(声:共に氷上恭子)
- 女だけで構成された喪巣(もす)忍者の頭領で、見分けがつかないほどそっくりな双子。姉が揚羽で、妹が薄羽。さらに下には立羽(たては)という妹がいた(そのため厳密には三つ子)。ゴウとの間に因縁がある様子。関西弁をしゃべり、無数の手裏剣を巧みに操る。見分け方としては腰に巻いてある扇子の向きで判別がつく。どちらかというとマイペースな揚羽に薄羽が振り回されてる感がある。
[編集] 毛伸衆(けのびしゅう)
[編集] その他
[編集] 忍道 戒タイアップソング
「STYLE~get glory in this hand~」 HIGH and MIGHTY COLOR
[編集] 外部リンク
忍道 戒
忍道 匠
忍道 焔