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小川侃 - Wikipedia

小川侃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

小川 侃(おがわ ただし、1945年- 、大阪府生まれ)は現象学者、哲学者京都大学名誉教授。現在、人間環境大学愛知県岡崎市)学長。

日本を代表する国際的な現象学者。その理論の特徴はフッサールの統一的な把握(統覚)理論を破壊して現象学の現象概念を「現われの理論」として洗練することにある。現われの理論を構造理論(ロマン・ヤコブソン)と媒介して、フッサール、ハイデッガー、ヘルマン・シュミッツの解釈を基にして氣氛や雰囲氣の理論を構築し、政治の問題に適用しようとしている。哲学の歴史においては現象学の方法を持って古代ギリシャ哲学シェリングベルクソンエミール・デュルケームを再解釈している。「気」の理論を中心にしてさらに後期水戸学(藤田幽谷藤田東湖など)への関心と造詣も深い。「身」と氣の哲学の体系化を目指している。

[編集] 学歴

  • 1945年 大阪府に生まれる。
  • 1969年3月 京都大学文学部哲学科哲学専攻卒業。
  • 1974年3月 京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学文学博士。
  • 1974年 京都産業大学専任講師。
  • 1978年 広島大学総合科学部専任講師。
  • 1979年 広島大学総合科学部助教授。
  • 1990年10月 同上、教授。
  • 1991年4月 京都大学大学院人間・環境学研究科教授。
  • 2002年4月 京都大学大学院地球環境学堂および人間・環境学研究科両任教授。

その間、ケルン大学フッサール文庫客員研究員、ドイツ連邦共和国アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学研究員、イタリア哲学研究所(ナポリ)客員教授、カールスルーエ大学教授資格試験審査官をつとめる。

[編集] 著書

  • 『現象のロゴス』勁草書房 1986
  • 『シュミッツ・身体と感情の現象学』産業図書 1986
  • 『現象学と文化人類学』世界書院 1989
  • 『現象学と構造主義』世界書院 1990
  • 『クラウス・ヘルト/現象学の最前線』晃洋書房 1994, 1997
  • 『自由への構造』理想社,1996
  • 『世界・地平・雰囲気』多賀出版 1997
  • 『新現象学運動』世界書院 1999
  • 『生命と環境』京都大学学術出版会 2000
  • 『風の現象学と雰囲気』晃洋書房 2000
  • 『雰囲気と集合心性』京都大学学術出版会 2001
  • Grund und Grenze des Bewusstseins, Koenigshausen und Neumann,2001.
  • Machiavelli e La Fenomenologia, Napoli 2003
  • 『環境と身の現象学』晃洋書房 2004
  • 『現象学の根本問題』(新田義弘と共同編集)晃洋書房、1978。
  • "Interkulturelle Philosophie und Phaenomenologie in Japan", hrsg. von Tadashi Ogawa, Michael Lazarin und Guido Rappe, Muenchen: Iudicium Verlag 1998.

[編集] 招待講演のうち主なもの

  • 1980年4月(ドイツ、トリアーにおける「現象学研究のためのドイツの学会(Deutsche Gesellschaft fuer phaenomenologische Forschung)」での招待講演:「日本における現象学」。
  • 1984年5月:日本哲学会、同志社大学、講演:「構造と存在?構造論的現出論としての現象学の可能性と存在の問題」。
  • 1986年9月:ニューヨークのポリテクニック大学の「現象学と技術」をテーマとする国際会議に招待されて「意志の哲学と政治」というテーマで講演した。
  • 1988年9月:スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラ大学における国際現象学会議「フッサール死後50年の現象学」に招待されて「フッサールと意識の先行構造」について講演した。
  • 1988年10月:ヴッペルタール大学における「フッサール死後50年の現象学」という国際会議で「フッサールにおける意識の先行構造」という講演を行う。
  • 1989年ドイツ・フンボルト財団主催の国際会議「ハイデッガー生誕百年記念」に招待されて「東アジアの言語へのハイデッガー哲学の翻訳可能性」について講演した。
  • 1989年5月 ドイツ、キールのクリスチアン・アルブレヒト大学で講演:「ハイデッガーと言語」。
  • 1989年5月ヴッペルタールのゲーテ協会で「ゲーテと日本」について講演。
  • 1989年5月ヴッペルタールの「現象学研究のためのドイツの学会(Deutsche Gesellschaft fuer phaenomenologische Forschung)」の会議で「東アジアの言語へのハイデッガー哲学の翻訳可能性」について講演。
  • 1991年5月ヴッペルタールの「現象学研究のためのドイツの学会(Deutsche Gesellschaft fuer phaenomenologische Forschung)」の(「間文化性」会議)において「間文化的な不変更体と変更する諸項」というテーマで講演。
  • 1991年5月 ローマのゲーテ・インスティトウートとローマ大学との共催の「ヨーロッパ化」の会議で「ヨーロッパ中心主義、ヨーロッパ中心体制、脱ヨーロッパ化」のテーマで講演。
  • 1991年6月、日本哲学会大会、東京大学で講演:「間文化的な不変更体と変更する諸項」。
  • 1991年10月 ドイツ、ソントホーフェンにおける「翻訳」をテーマとする国際会議(フンボルト財団主催)で招待講演:「文化哲学的な問題としての翻訳」。(The Monist, Vol. 78, No. 1に掲載:本邦未公刊)
  • 1995年7月 ドイツ、ウルム大学との共催のアウクスブルク大学主催の国際会議「間文化的なもののエトス」に招待され、「政治的な次元における権威と強制」というテーマで講演。
  • 1996年4月 香港中文大学において開催された中国現象学会とドイツの現象学会との共催の「相互文化性と生活世界」というテーマの国際会議で講演:「<氣>の哲学と雰囲気」。
  • 1997年4月キールの「新しい現象学のための学会」(Gesellschaft fuer Neue Phaenomenologie)の国際会議で講演:「物の現われと準物体」である。
  • 1997年4月ドイツ、イエナ大学哲学科での招待講演:「文化比較のための現象学的な方法」。
  • 1997年12月イタリア、ナポリの「哲学の研究のためのイタリア研究所(Instituto Italiano per Gli Studi Filosofici)」において開催されたユネスコの「普遍的倫理」を主題とする国際会議での講演:「西と東において倫理学的に普遍的なものがあるか」。
  • 1998年4月キールの「新しい現象学のための学会」の国際会議で講演:「生きている身の構造」。
  • 1998年5月ドイツのベンスベルクのカットリックアカデミーにおける「日本の宗教」についての国際会議に招かれて「宗教の普遍的側面と個別的側面」を講演。
  • 1998年5月、ヴッペルタールとボッフム両大学の共同大学院「現象学と解釈学」において講演:「氣と風の現象学」である。
  • 1999年4月イタリア、ナポリの「哲学の研究のためのイタリア研究所(Instituto Italiano per Gli Studi Filosofici)」において5回の連続講義、「マキアベリと現象学」をおこなう。
  • 1999年5月ドイツ、リューネブルク大学で講演:「風と風雅の誠-見えない現われの現象学の試み」。
  • 2000年11月、ドイツ、ダルムシュタット工科大学の大学院コース「技術化と社会」において講演:「食事と高度に技術化した時代における食事」。
  • 2000年11月、ダルムシュタット工科大学における講演:「風と風雅の誠-見えない現われの現象学の試み」。
  • 2000年12月、マインツのグーテンベルク大学での講演:「風と風雅の誠-見えない現われの現象学の試み」。
  • 2002年7月、イタリア、チッタ・ディ・カステロにおけるプラトンの後期対話篇、『テアイテトス』篇、『ソフィステース』篇、『フィレボス』篇についての「現象学のコレギウム (Collegium Phaenomenologicum, Citta di Castelo)」 において講演。「プラトンの『テアイテトス』篇におけるロゴスを伴うドクサ」。
  • 2003年5月 オーストリア、グラーツ大学の「偉大な知能シンポジウム」に招待され、講演:「今日孔孟の哲学は国際的―間文化的な理解にどのように貢献するか」。
  • 2003年9月、イタリア、トリエステ大学、講演:「高度に技術化した社会における食事」。
  • 2003年10月、ニューヨーク州立大学バッファロー校で講演をふたつ行う:「道の思想」と「西と東のあいだには倫理学的に普遍的なものがあるのか。」
  • 2003年11月、ドイツ、ライブチッヒ大学で講演:「現象学とマキアベリ」
  • 2004年7月京都大学健康財団グループ、招待講演:「プラトンにおける身と雰囲氣」。
  • 2005年5月、日本心身医学会の年次大会、奈良、招請講演:「環境と<身>の現象学」。
  • 2005年6月, ドイツ、カールスルーエ大学、「孟子についての国際会議」において講演:「孟子と藤田東湖―――氣と道についての孟子との対決」。
  • 2006年5月、檜の会における講演:「京都の雰囲氣と京都の古典的な料亭、下鴨茶寮。」
  • 2006年6月、城西国際大学、招請講演:「国際的な協働と哲学の役割」。
  • 2006年7月ドイツ、コンスタンツ大学、「哲学と日本文化―――京都の古典的料亭(下鴨茶寮)とその雰囲氣。」
  • 2006年12月、インド、デリー大学、国際哲学会連合(FISP:Federation Internationale des Societes de Philosophie) の国際会議で講演:「哲学は地方的かグローバルか」。印刷講演:「デカルト的伝統と平和のための政治的な動力学」。
  • 2007年3月、台湾、台北、中央研究院(Academia Sinica)の国際会議、「身体現象学と<氣>の美学」で講演:「氣と氣氛の現象学」。
  • 2007年4月、東北大学、仙台、フッサール・アーベントで講演:「古典的現象学と新しい現象学とのはざまの学際現象学」。
  • 2007年11月、台北、国立台湾大学(旧台北帝大)で講演:「氣と朗詠」。


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