射影幾何学
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射影幾何学(しゃえいきかがく、projective geometry)は、透視図法における空間認識の原理に基づいて形成された、距離の概念を持たない非ユークリッド的古典幾何学である。
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[編集] 歴史
射影幾何学はルネッサンスの時代に、レオナルド・ダ・ヴィンチの遠近法やゲラルドゥス・メルカトルの投影図などの物体を平面に投影する図法が考え出されたことを発端に持つ。
射影幾何学の基礎を作ったのはジラール・デザルグやブレーズ・パスカルで、デザルグは無限遠点を導入することで平行線は無限遠で交わると考え、また光源と影の関係を一般化したデザルグの定理を発見し射影の考えを築いた。この2つの考えは射影幾何学の土台と成る考えである。一方、パスカルは射影の考えを発展させ円錐曲線などに応用しパスカルの定理を発見した。
このようにして作られた射影の考えは、ガスパール・モンジュ(1746~1818)によって画法幾何学として提唱され、ジャン・ポンスレ(1788~1867)によって射影幾何学として完成された。
[編集] 概要・性質
射影平面上の直線(射影直線)は必ず交わり、その交点を射影点という。
また射影平面では平行線は無限遠にある無限遠直線(地平線)の無限遠点で交わる。さらに延長していくとまた同じところで交わり、一周すると鏡像に成る。それだけではなく放物線や2本の双曲線なども無限遠で交わり、1本の閉曲線にすることができる。
射影平面では意味のある距離を定義できない。
[編集] 応用
写真や風景画から、その撮影位置や画面内の物体の位置・大きさなどを計算する際に中心投影による透視図を描く要領を逆に用いることは、射影幾何学の応用例であると考えることができる。