基準運転時分
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基準運転時分(きじゅんうんてんじふん)とは、鉄道において運行計画を作成するために、あらかじめ算出してある列車の停車場間での標準の所要時間のことである。
[編集] 概要
鉄道の運行計画はダイヤ図を作成することにより行われるが、ダイヤ図に引いた列車が実際に運行可能であるためにはダイヤ上の停車場間の所要時間が車両の性能上達成可能なものでなくてはならない。各停車場間を走行するために最低限必要とされる時間は駅間の距離だけではなく、勾配やカーブ、車両の性能などの条件によって変化する。このため車両の形式や列車種別などごとに各停車場間の標準の所要時間をあらかじめ算出して表にしておき、ダイヤ作成時に停車場間の所要時間がその値以上となるようにする。この値のことを基準運転時分と呼ぶ。
[編集] 計算方法
基準運転時分は運転曲線を引いて計算される。車両の性能や速度制限等の条件を満たした上で最も速く走る時の所要時間を計算し、この値をその路線の運行計画で用いられる時間単位に切り上げて求める。時間単位は鉄道事業者や路線により異なり、5秒や10秒、15秒といった値が用いられる。基準運転時分は通常余裕時分を含まずに計算されるため、実際にダイヤ図を作成する時に適当な余裕時分を加算する。
基準運転時分は各停車場間ごとに、車両の形式、列車種別、発停車場と着停車場の停車と通過の別、発停車場と着停車場における使用番線などで分類されてそれぞれ定められる。車両の形式が同じであっても、編成両数やMT比が異なる場合は性能が異なるため別に定められていることが多い。使用番線によって分類するのは、分岐器通過時の速度制限が番線によって異なる場合が多く、所要時間に影響するためである。これらの条件全てについて場合分けして基準運転時分を求めることはあまりに膨大な作業量となるため、実際に用いられる組み合わせに限って計算されることが多い。車両の形式や列車種別については、所要時間に大きな影響がない場合は複数の形式や種別をまとめてしまうこともある。使用番線についても主に使用する番線についてのみ計算し、それ以外の番線を使用する場合には一定の値を加算して代用することがある。各条件について最も悪い条件で計算して実際の所要時間に比べて過大な基準運転時分を求めておき、余分の所要時間は余裕時分とする場合もある。列車のスピードアップを図るために細かく査定をやり直して過大に計算されていた基準運転時分を切り詰めることもある。
途中の停車場を通過する列車に関しては、出発停車場から到着停車場まで一括して運転曲線を引いて基準運転時分を求め、個別の通過停車場の通過時刻は定めないことがある。この場合でも連動駅については通過時刻を定める例が多い。逆に各駅停車の列車であっても、JR山手線のように各停車駅の時刻を定めず、主要駅のみ時刻を定めていることもある。時刻を定めている駅を採時駅、定めていない駅を非採時駅と呼ぶ。