井森陸平
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井森 陸平(ゐもり りくへい、1903年3月26日 - 1982年12月29日)は日本の社会学者、甲南大学名誉教授(文学博士)。専門は、農村社会学、産業社会学。
岐阜県郡上郡八幡町生まれ。その父は農商務省蚕業講習所の第一回卒業生であり蚕業技術者だった。また郡上八幡の実家では養蚕を行っていた。1926年3月、東京帝国大学文学部社会学科卒業。その後、鳥取高等農業、第八高等学校、名古屋大学、金沢大学、愛知大学、甲南大学(1973年3月定年退職)の教授を歴任した。甲南大学の就任には臼井二尚の推薦があったという。その学問は、テンニース、バレートの理論社会学研究からはじめ、次第に村落研究を人口、文化、習俗の観点から行うようになった。しかし、それに飽きたらず、計量的社会学にも関心を広めた。その成果が未公刊博士論文である「農村習俗の社会測定学研究」に生かされた。さらに、その関心は産業社会学に結びつき、晩年の『酒の社会学的研究』やグンゼのモノグラフである『経営理念の社会学的研究』は、農村社会学と産業社会学の観点を見事に結合した力作である。こうした著作は企業と地域社会のあり方を考える上では、今日も参照すべき文献である。没後、その蔵書の一部と思われる1063冊余りは愛知大学図書館に寄贈された。
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[編集] 著書
[編集] 単著
- 『形式社会学研究』(甲子社書房,1927年)
- 『農村社会学』(目黒書店,1929年)
- 『産業社会学』(関書院,1959年)
- 『酒の社会学的研究』(ミネルヴァ書房,1972年)
[編集] 共著
- 『経営理念の社会学的研究』(晃洋書房,1971年)
[編集] 共編著
[編集] その他
- 「井森陸平教授略歴」(『甲南大学紀要』文学編9,1972年)
- 「井森陸平教授著書及び学術論文目録」(『甲南大学紀要』文学編9,1972年)
- 「井森陸平先生を偲んで」(『社会学評論』No.133,1983年)