五ヵ国防衛取極め
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五ヵ国防衛取極め(the Five Power Defence Arrangements)は、1971年に締結されたイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア間の軍事同盟。締結国はいずれも英連邦加盟国である。形式的には5カ国それぞれが締結した二カ国間の取決めであるため、英語名称では複数形となっている。
[編集] 背景
1967年にイギリスはスエズ以東から軍事的に撤退することを決めた。しかし、当時はインドネシアの政情が不安定であり、またインドシナ半島では冷戦の熱戦化が進行していた。そこで、まだ防衛力の十分ではないシンガポールやマレーシアの安全保障を確保するため、イギリス軍に加えて、オーストラリアやニュージーランドの軍隊が両国の防衛に協力することとなり、仮に両国が第三国からの脅威や攻撃を受けた場合は、他締約国(主にイギリス、オーストラリア、ニュージーランド=ANZUK)がその防衛に協力することが取決められた。
そして、イギリス極東軍の空白を埋めるため、シンガポールにおいて兵力7000人のANZUK軍地上部隊が発足した。また、マレーシア・ペナン州にあるバタワース空軍基地は1957年以来、オーストラリア空軍が管理していた。同基地にはマレーシア・シンガポール両国をカバーする統合防空システムが設けられているほか、オーストラリア空軍の戦闘機・爆撃機も配備された。
しかし、両国の発展に伴い、本取決めは徐々に役割を縮小させていった。ANZUKの地上部隊については、1974年にオーストラリアが、1976年にイギリスが、1989年には最後まで残っていたニュージーランドも部隊を引き上げた。バタワース空軍基地は1988年6月末をもって完全にマレーシア空軍への移管を完了した。
ただし、現在も同基地にはオーストラリア空軍のP-3C対潜哨戒機が駐留している。また、1991年以来、5カ国の国防相は3年ごとに会合を開いている。さらに、1997年の香港返還などを契機に、同取極めの役割が見直され、再び合同軍事演習の実施が積極的に行われるようになった。
[編集] 外部リンク
- Five Power Defence Arrangements (FPDA):イギリス連邦外務省の説明
- Singapore Infopedia:Five Power Defence Agreement
- Five Power Defence Arrangements:Exchange of Notes constituting an Agreement between the Government of Australia and the Government of Malaysia regarding External Defence:オーストラリア・シンガポール間の防衛取決め
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