上院
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
上院(じょういん、upper house)とは、両院制議会における一方の議院の総称である。もう一方の議院は下院(かいん、lower house)と呼ぶ。
目次 |
[編集] 概要
両院制の議会をもつ国では、国政機関の重複という状態を避けるため、それぞれの議院に異なった性格をもたせている。一般に下院の議員には「国民の代表」という性格があり、その選出は人口に比例して行われるのに対して、上院の議員には「地域の代表」、「州の代表」、「連邦を構成する自治国の代表」、また貴族制度のある国では「階級の代表」などといった性格があり、その選出は必ずしも人口に比例したものではない。
議会制民主主義の発祥地にして現在でも貴族制度が残る英国では、かつては上院が伝統的貴族や大地主のみで構成されていたが、現在では栄典の授与によって誕生した一代貴族や、元三権の長や要職経験者、そして選出された有識者などの比率が大幅に増やされた結果、「貴族院」としての性格は薄れ、「専門家集団院」的様相を示すに至っている。
なお古代ローマを源泉とする西欧文明を継承する英・仏・西・米などの旧宗主国と、それらが支配していた旧植民地から20世紀に独立した多くの国々では、古代共和制ローマ時代 (紀元前6世紀〜) のからの「元老院 (ラテン語: Senatus)」という語を上院の正式名称としている (下記「世界の上院」節を参照)。
[編集] 語源
「上院 (upper house)」「下院 (lower house)」という言葉は、アメリカの首都がフィラデルフィアにあった頃、議会が使用していた二階建ての公会堂 (現在の独立記念館、当時の大きめな家屋と変わらないほどの小振りな建物) で、議員数の多い代議院 (House of Representatives) がその一階部分 (lower house) を、少ない元老院 (Senate) が二階部分 (upper house) を使用したことからこう呼ばれ始めたといわれる。
[編集] 世界の上院
それぞれの正式名称をあげた。なお原則として日本の新聞やニュースではこれら外国の上院をすべて一律に「上院」と呼んでいる。