リック・アギレラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

リック・アギレラ（Richard Warren Aguilera , 1961年12月31日 - ）はアメリカ・メジャーリーグで活躍した投手（救援投手=クローザー、先発投手）。右投右打。 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンガブリエル（San Garriel）出身。

目次 1 人物・来歴 2 受賞歴・記録 3 年度別成績 4 エピソード

[編集] 人物・来歴

高校時代は投手というより三塁手として活躍し、1980年のドラフトでセントルイス・カージナルスが三塁手として指名するが入団せず、ブリガムヤング大学に進学。1983年のドラフトでニューヨーク・メッツから投手として指名されて入団。 1985年6月12日にメジャー初登板を果たす。 メッツ時代は先発投手として活躍し、1985年～1987年は三年連続で二桁勝利をあげ、1986年のワールドシリーズ制覇にも貢献。ただし、当時メッツはドワイト・グッデン、ロン・ダーリング、シド・フェルナンデス、ボブ・オヒーダ、のちにデービッド・コーンといった強力な先発投手が在籍し、アギレラの存在は先発ローテーションの5番手といった存在であった。 1986年のヒューストン・アストロズとの地区優勝決定シリーズ、ボストン・レッドソックスとのワールドシリーズでも、登板はリリーフによるものだけであった。2勝3敗と追い詰められたワールドシリーズ第6戦（シェイ・スタジアム）では延長10回表に登板して2失点し、その裏も2死まで追い込まれ、敗戦投手となるところであったが、メッツ打線の連打と相手投手の暴投で同点に追いつき、レッドソックスの一塁手ビル・バックナーの痛恨のエラーで逆転サヨナラ勝ちし、アギレラは幸運にも勝利投手となった（詳細はこちらを参照）。 1988年は故障もあってシーズンは11試合の登板に終わる。ロサンゼルス・ドジャースとの地区優勝決定シリーズには救援で登板。

1989年はリリーフに転向し、7セーブをあげたが、7月に前年のサイ・ヤング賞投手フランク・バイオーラとの交換で、ケビン・タパーニ、デービット・ウエスト（のちダイエーでもプレイ）ら合計5人の投手の1人としてミネソタ・ツインズに移籍。移籍後のツインズでは先発に再転向するが、1990年にそれまでのクローザージェフ・リアドンの移籍があり、クローザーに再転向。 すると1990年には32セーブをあげ、チームがワールドシリーズ制覇を果たした1991年には42セーブ、以後1993年まで4年連続30セーブを記録した。この間、3回のオールスター出場を果たした。1995年には一時ボストン・レッドソックスに移籍するが、1996年には再びツインズに戻り、先発に再転向するが8勝6敗に終わり、再びリリーフに転向して1997年には26セーブ、1998年には38セーブと活躍。 1999年途中にシカゴ・カブスに移籍し、29セーブを記録した2000年を最後に現役を引退。

通算318セーブはメジャー歴代14位（2006年終了時点）。また、ツインズであげた254セーブは、球団記録である。現在はカリフォルニア州サンディエゴ郊外に住み、高校野球のコーチを務める。

[編集] 受賞歴・記録

• オールスター出場3回（1991年、1992年、1993年）

[編集] 年度別成績

年度	チーム	勝利	敗戦	防御 率	登板	先発	完投	完封	セーブ	投球 回	被 安 打	失点	自責 点	被本 塁打	与死 球	与四 球	奪三 振
1985年	NYM	10	7	3.24	21	19	2	0	0	122.1	118	49	44	8	2	37	74
1986年	NYM	10	7	3.88	28	20	2	0	0	141.2	145	70	61	15	7	36	104
1987年	NYM	11	3	3.60	18	17	1	0	0	115.0	124	53	46	12	3	33	77
1988年	NYM	0	4	6.93	11	3	0	0	0	24.2	29	20	19	2	1	10	16
1989年	NYM/MIN	9	11	2.79	47	11	3	0	7	145.0	130	51	45	8	3	38	137
1990年	MIN	5	3	2.76	56	0	0	0	32	65.1	55	27	20	5	5	19	61
1991年	MIN	4	5	2.35	63	0	0	0	42	69.0	44	20	18	3	1	30	61
1992年	MIN	2	6	2.84	64	0	0	0	41	66.2	60	28	21	7	1	17	52
1993年	MIN	4	3	3.11	65	0	0	0	34	72.1	60	25	25	9	1	14	59
1994年	MIN	1	4	3.63	44	0	0	0	23	44.2	57	23	18	7	0	10	46
1995年	MIN/BOS	3	3	2.60	52	0	0	0	32	55.1	46	16	16	6	1	13	52
1996年	MIN	8	6	5.42	19	19	2	0	0	111.1	124	69	67	20	3	27	83
1997年	MIN	5	4	3.82	61	0	0	0	26	68.1	65	29	29	9	2	22	68
1998年	MIN	4	9	4.24	68	0	0	0	38	74.1	75	35	35	8	1	15	57
1999年	MIN/CHC	9	4	2.93	61	0	0	0	14	67.2	54	25	22	8	2	12	45
2000年	CHC	1	2	4.91	54	0	0	0	29	47.2	47	28	26	11	4	18	38
通算	16年	86	61	3.57	732	89	10	0	318	1291.1	1233	568	512	138	36	351	1030

[編集] エピソード

• 信心深いモルモン教徒である。
• 高校時代の「本職」は強打の三塁手。1985年からメジャーのベンチ入り人数が1人減って24人になった（1992年から25人に戻る）こともあって、1985年に1試合、1986年に4試合、代打として起用されている。メジャーでの通算打撃成績は打率.201（139打数28安打）、3本塁打、11打点である。ただし、メジャーでは野手としてポジションに就いたことはない。
• メッツからツインズへの移籍時の交換相手となったフランク・バイオーラは1990年には20勝を記録するが、1991年限りでフリーエージェントでレッドソックスに移籍。一方、アギレラはクローザーとして、タパーニはスターターとしてこの年16勝をあげ、1991年のワールド・チャンピオンに貢献している。メッツにとって痛恨のトレードの一つとも言える。

表・話・編・歴 ニューヨーク・メッツ 1986年のワールドシリーズ ロースター
1 ムーキー・ウィルソン / 2 ケビン・エルスター / 3 ラファエル・サンタナ / 4 レニー・ダイクストラ / 6 ウォーリー・バックマン / 7 ケビン・ミッチェル / 8 ゲーリー・カーター / 11 ティム・タフェル / 12 ロン・ダーリング / 13 リー・マッジーリ / 16 ドワイト・グッデン / 17 キース・ヘルナンデス / 18 ダリル・ストロベリー / 19 ボブ・オヒーダ / 20 ハワード・ジョンソン / 22 レイ・ナイト / 25 ダニー・ヒープ / 38 リック・アギレラ / 39 ダグ・シスク / 42 ロジャー・マクダウエル / 47 ジェシー・オロスコ / 50 シド・フェルナンデス 監督 デーブ・ジョンソン

表・話・編・歴 ミネソタ・ツインズ 1991年のワールドシリーズ ロースター
0 ジュニア・オルティズ / 1 ジャービス・ブラウン / 7 グレッグ・ギャグニー / 9 ジーン・ラーキン / 11 チャック・ノブロック / 12 ブライアン・ハッパー / 13 マイク・パグリアルーロ / 14 ケント・ハーベック / 18 ポール・ソレント / 19 スコット・エリクソン / 24 シェーン・マック / 25 ランディ・ブッシュ / 26 アル・ニューマン / 30 テリー・リーチ / 31 スコット・レイアス / 32 ダン・グラッデン / 34 カービー・パケット / 36 ケビン・タパニ / 38 リック・アギレラ / 39 デービット・ウエスト / 40 スティーブ・ベドローシアン / 44 チリ・デービス / 47 ジャック・モリス / 51 カール・ウィリス / 53 マーク・ガスリー 監督 トム・ケリー