ラフテレーンクレーン
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ラフテレーンクレーン (Rough Terrain Crane) は、荒れた地形などの不整地を走行することのできるクレーン。
ラフタークレーンとも呼ばれている。ホイールクレーンに属している。 1つのエンジンを駆動源として走行、旋回、吊り上げなど全ての動作を行うところはクローラークレーンと似ている。 四輪駆動、四輪操舵システムを装備しているため、悪路でも走行・作業に対応できる。しかし自重だけでかなりの重さがあるので、最高速度を50Km/hまでしか出せない車種が多いため、公道を走行すると、後方の車線が渋滞する原因を作ってしまう。
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[編集] 操作
道路走行やクレーン操作は同じ運転席で行う。車の走行はオートマティックであるので、ギアチェンジのようなわずらわしさがないのが特徴である。クレーン装置は、全て油圧駆動なので、アウトリガーも油圧シリンダーで駆動されている。
[編集] 能力
ラフタークレーンは、吊り上げ能力が2t~10t、25t、50t、70tクラスとバリエーションも豊富で、4.9t以下なら小型移動式クレーンと呼ばれている。装備しているブーム(人間の腕のような役割で物を持ち上げるときの基本となる部分)はテレスコピックブーム(伸縮式で基本となるブームの中にサイズの順番ごとにブームが納められている)であるので、ブームの組み立てが不要であり、現場到着後ブームとアウトリガーを伸ばせば作業が即可能な状態になり、また作業終了後ブームとアウトリガーを収納すればそのまま現場から帰ることができる。ブームの起伏はブーム起伏シリンダーによって行われている。
ブームは、長い箱状(四角形、五角形・六角形・八角形など)の柱状になっていて、ベース部分から細いものまでが数段階に分けて収められたロッド形状で、ラジオのアンテナのように伸縮するタイプであるので、2段、3段となり先端部分になればなるほど細くなっている。ブームは最大で40mを超えるものがあるが、これを6m~10mぐらい(クラスによって異なる)までのもとの長さに収めることができるため、公道の走行が可能。ブーム先端にはジブ(ブームを延長するもの)が取り付けられることもある。これによって角度を変えて作業することもでき、また必要に応じて、上部ジブの先端に補助ジブを備えることもできる。ジブは折り曲げてブームの側面などに格納できるものが主流。
[編集] 運転免許
吊り上げ荷重5t以上のラフテレーンクレーンの運転は、吊り上げには移動式クレーン運転士の免許が必要。5t未満なら技能講習、1t未満なら特別教育でよい。また、公道を走行する際には大型特殊自動車の免許が必要になる。