ヤマザキショップ
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ヤマザキショップ(ヤマザキYショップ、またはYショップとも呼ばれる)は、山崎製パンとの契約による日本の小売店業態の店舗の名称。
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[編集] 概要
しばしばフランチャイズ方式のコンビニエンスストアと同様のものとして見られるが、主に個人経営の個人商店や雑貨店などが転換するための業態であり、山崎製パンという共通仕入れ先を持ついわゆるボランタリーチェーン方式の小売店[1]である。ただ、一般的なコンビニエンスストアとは性質が異なるものの、お客として見た場合はコンビニエンスストアそのものである。
店舗契約は一般的なコンビニエンスストアと異なり、比較的ゆるやかなものになっている。建物や商品陳列方式もコンビニエンスストア様態の店舗が多いが、オーナーの裁量による店舗の独自性が強く、店の形態や店舗面積、品揃えについてはバラエティが広い。営業時間には毎日14時間以上という条件はある[2]ものの24時間営業をする必要はなく、営業時間もオーナーの権限であるため、立地条件や経営形態によっても異なる。一般的な店舗については概ね5~7時に開店し20~24時に閉店するという設定が多く、月2回まで店休日を設ける事ができ、一部には毎週定休日を設けている店舗もある。また、家族経営が基本である為、コンビニエンスストアの店舗と違い身内や親族の不幸などの場合に臨時休業をする事もできる。
また、多くのコンビニエンスストアチェーンではオーナーに専業となる事を要求し、元々が酒類販売業でも無い限り副業を行うことは中々に難しいが、ヤマザキショップではその様な制限が無く、オーナーの兼業も自由である。この事から、ヤマザキショップの他にもビジネスや自営業として全く別の職業を持っていたり、逆に別業種の店舗や事務所の建物の一部が区分されてヤマザキショップとなっているものも見られる。
品揃えについては、山崎製パンのパン製品、「ヤマザキクールデリカ」(弁当やサンドイッチなどのデリカ食品類)、ヤマザキナビスコ、不二家の菓子など全店舗に概ね共通している物もあるが、雑誌、新聞、タバコ、酒類なども扱い、事実上コンビニエンスストアと同等の品揃えをしている所も珍しくない。また、宅配便やクリーニングの取次、自動車学校の入校案内所、食堂を併設しているものや、独自に卸した生鮮食品等を販売している場合もある。さらには、手作りサンドイッチやファーストフードを提供するCOOK33、焼きたてパンを提供するCEBSといったシステムを展開している。(COOK33、CEBS共に別途契約となる。)
また、同系といえるデイリーヤマザキの取扱全商品も同ネットワークを利用し仕入れることが可能である。またYショップ限定の商品の設定もあり、500mlのペットボトル飲料のお茶・ジュース類が100円程度の安価な価格設定で販売されている。また、ヤマザキ独自のドリンク自動販売機を設置している店舗も少なくない。
その一方で、店頭のレジスターと本部のコンピュータを直結するオンラインシステムや店頭型マルチ端末が無い店が多く、公共料金の収納代行を行っている店舗は一部に留まる。また電子マネー(Edy)の取扱も一部の店舗のみである。
店舗運営に関して本部である山崎製パンは基本的に介入しない分、オーナーの権限と責任はより大きくなる。他のコンビニエンスストアチェーンよりもロイヤリティーや機器リース料が低いこともあり、住宅地や農村部など人通りや人口の少ない地帯にも数多く存在する。また医療機関や教育機関の施設内に設置されている雑貨売店にもヤマザキショップとして運営されている所が多い[3]。
上記の通りコンビニエンスストアよりも緩やかな契約である事からコンビニエンスストアチェーンのフランチャイズ店舗などからの転換も多く、特に同じ山崎製パン系列であるデイリーヤマザキの「ヤマザキデイリーストア」業態で店舗面積が比較的小さい店舗や郊外部にある店舗からの転換例が目立つ。また、地域にもよるが一部には商品配送などの都合でコンビニ本部が24時間営業しか事実上認めていないチェーンもあるため、深夜帯の極端な不採算などにより24時間営業をやめたい他のチェーンの店舗がヤマザキショップへと転換する事も少なからず見られる。
愛媛県松山市にある伊予鉄道ではICカードであるICい〜カードが使用できる店舗では、「い~ショップ」と呼ばれている(2007年8月現在、市駅店・古町店の2箇所)。
[編集] 関連項目
- 全日食チェーン
- 東京コンビニエンスシステム
- デイリーヤマザキ
- 山崎製パン
- ボランタリーチェーン