バリ・ヒンドゥー
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バリ・ヒンドゥーとは、バリ土着の信仰とインド仏教やヒンドゥー教が習合した信仰体系である。
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[編集] 歴史
バリ島では、11世紀初めごろからヒンドゥー・ジャワ文化の影響が及び始め、とりわけマジャパヒト王国がバリを征服した1343年以後、16世紀初めにジャワのイスラム化によって同王国が滅亡するまでに大きな影響を受けた。マジャパイト王国滅亡時にはジャワの貴族や僧侶が大挙してバリに亡命しており、現在のバリ人の大半はマジャパイト王国民の末裔であると自負している。これ以降、20世紀初頭にオランダによって植民地化されるまで、バリは独自の歴史の歩み続け、バリ・ヒンドゥーのコスモロジーを発展させた。
[編集] 信仰体系
バリ・ヒンドゥーは教義よりも儀礼が重んじられ、その儀礼にもアニミズム、祖霊崇拝、呪術などバリ固有の文化的な特質が根強く生き続けている。儀礼の根底には浄と不浄、神々と悪霊、山と海などの二元的対立や輪廻転生を信じる思考様式が存在している。
[編集] デサとバンジャール
この信仰体系をグラスルーツのレベルで支えてきたのがデサとバンジャールである。デサは、カヤンガン・ティガと呼ばれる三位一体の寺院を中心として形成される「村」である。そして、バンジャールは、デサ内での共同居住を原則とする地域単位である(バリ島南部ではひとつのデサが複数のバンジャールで構成される)。すべての儀礼(ヤドニャ)はバンジャールの成員が共同労働で行うため、バンジャールのメンバーシップなしにはバリ人は生きていけない。
[編集] カースト(カスタ)
次の四つのワンサに分かれて、上から3つが「トリワンサ」(貴族)と呼ばれる。人口の90%以上はスードラに属する。バリの人びとの名の頭には、カーストによって以下の名称が付される。
- ブラフマナ:イダ・バグス(男性)、イダ・アユ(女性)
- サトリア:チョコルダ、アナック・アグン、デワ
- ウェシア:グスティ
- スードラ:イ(男性)、ニ(女性)
バリ・ヒンドゥーのカスタは、インドのような厳しい戒律による差別はみられず非常に緩やかなシステムである。ただし、最高司祭プダンダはブラフマナ出身者に限られる。