ナイフ形石器
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ナイフ形石器(ナイフがた せっき)とは、後期旧石器時代に特徴的な、石刃(刃器)などの剥片に刃潰し剥離(剥片自身がもつ鋭い側縁の一部をナイフの刃のように残し、ほかの側縁を鈍くつぶす調整剥離)を加え、現在のナイフに似た形に仕上げた石器である。海外では先端の尖ったナイフ形石器を尖頭器に含んで扱うことが多いが、日本では両刃の槍先形尖頭器とは区別して片刃の利器をナイフ形石器と呼称する。
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[編集] 概略
石刃技法の普遍化とともに現れる石器であり、切り出し小刀のように鋭い刃と先端をもつ突刺形のナイフ形石器とカッターナイフにも似た切截形のナイフ形石器とがある。前者の一部には狩猟具もあったが、そのほとんどは加工具として使用された。毛皮や肉、樹皮などを切るために用いられ、磨製の刃よりも格段に鋭利であった。
ナイフ形石器は、製作・使用された時期や地域、素材となった剥片の性質、刃潰し剥離が施された部位、あるいは全体の形状の違いなどから、
- 杉久保型
- 茂呂型
- 国府型
- 九州型
などの型式に区分される。
また、旧石器時代の時期区分や文化の発展段階を検討するうえで、槍先尖頭器や細石器とならんで重要な役割を果たしている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 加藤晋平・鶴丸俊明著『図録 石器入門事典 <先土器>』(柏書房、1991年3月、ISBN 4-7601-0608-1)
- 芹沢長介『旧石器の知識』(東京美術<考古学シリーズ11>、1986年6月、ISBN 4-8087-0313-0)