ターレットトラック
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ターレットトラック(Turret Truck)とは、日本の中央卸売市場をはじめ、工場、倉庫、駅構内などで荷役用として広く利用されている運搬車のこと。小型特殊自動車として登録する場合は公道走行も可能である。
ターレット(turret)とは、建物に設けられた円柱状の小部屋や、回転式の砲塔(Gun turret)を表す語で、円筒形の動力部が回転する構造から名づけられた。ターレットトラックは、株式会社朝霞製作所の登録商標であるが、他社製のトラックの呼称にも一般的に使用されている。略称はターレまたはターレー。
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[編集] 概要
- 動力源となるエンジンまたはモーター、操舵装置、駆動輪が全て前部の円筒形のユニットに納められており、それに続く車台にあたる部分が運転用のステップと荷台となっている。
- 駆動輪となる前輪は360度回転する自由度の高さを持つため、最小回転半径は極端に小さく済み、狭い場所での運転にも適している。
前輪を90°横に向けた場合、内側の後輪を軸とした旋回が可能で、そのときに最も回転半径が小さくなる。 - 定員は1名で、円筒形のユニットの後部に立った姿勢で運転操作を行う。一部の車種には簡素な椅子を備えたものもある。
- 操舵用のハンドルは円筒形ユニットの上縁に沿って、手すり状に直に取り付けられている。その内側のやや小さい同心円のハンドルがアクセルスロットルになっており、押し下げる(軸を傾ける)ことで加速する。速度は機種により異なるが最高速度でも自転車で追い越せる程度しか出ない。ブレーキは乗用自動車と同じく右足で踏むフットブレーキを備えており、サイドブレーキも備えている。操舵は重量のあるユニットごと回す必要があるため、他の乗り物に比べ取り回しが非常に重い。
- ほとんどの機種は、小型特殊自動車での登録が可能となるように設計されている。
- 長らくガソリン、天然ガスなどを燃料とするエンジン駆動が主流であったが、近年はバッテリーでモーターを駆動する、電気式の機種も増加傾向にあり、2006年からは燃料電池を搭載した機種の開発が進められている。[1]
これは生鮮食料品を扱う現場や、換気のよくない場所での使用で、排気ガスを出さないものが好まれる傾向があること、さらに、電気自動車やハイブリッドカーの普及に伴う、バッテリーの性能向上と価格の低廉化も増加の理由となっている。