ソール (北欧神話)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソールまたはソル(Sól)とは、北欧神話に登場する太陽の女神。
『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第11章~第12章で、次のように説明されている。
- ムンディルファリという男が、自身の二人の子供があまりに美しいことから、娘にソール(太陽)、息子にマーニ(月)という名をつけた。神々はこれに怒り、二人を捕らえて、太陽を牽く馬車の馭者をさせた。ソールは太陽の運行を、マーニは月の運行と満ち欠けを司る。
- 馬の名はアールヴァク(「早起き」の意)、アルスヴィズ(「快速」の意)といい、体を冷やすための
鞴 が取り付けられている。 - 太陽は常にスコルという狼に追いかけられているため、急いで運行しなければならない。
『古エッダ』の『ヴァフスルードニルの歌』第47章では、太陽の運行は「妖精の栄光」を意味するアールヴレズルという名で呼ばれている。こういった言い換えはケニングと呼ばれ、古北欧語や古英語では多く見られる。
また、『古エッダ』の『グリームニルの歌』第38章には、大地と太陽との間にスヴェルという楯が立っており、それが太陽の膨大な熱を大地から遮っていると語られている。同51章において、ラグナロクの時、太陽はついに狼に飲み込まれるといわれている。しかし同53章および前述の『ヴァフスルードニルの歌』第47章において、ソールがラグナロクの前に美しい娘を生んでおり、新しい世界ではその娘が太陽の軌道を巡るとされている。
[編集] 備考
- 土星の衛星のうち「北欧群」と呼ばれる天体群の一つに「ムンディルファリ」という衛星があるが、これはソールの父の名からとられている。
- Solは太陽の神を意味することから、スペイン語などの言語ではそのまま「太陽」を意味する言葉になっている。
- 大友克洋の漫画作品『AKIRA』には、ソルと呼ばれる静止衛星型のレーザー兵器が登場するが、これは「Stallite in Orbital Laser-weapon」の頭文字を取ってSOLとしたものとされている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- V.G.ネッケル--ほか編 『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、初版1973年、49、56、61、232-233、275、280頁。