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ザナック (シューティングゲーム) - Wikipedia

ザナック (シューティングゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ザナック(ZANAC)はコンパイルが1986年にMSXファミリーコンピュータディスクシステム用に開発した縦スクロールシューティングゲーム。発売はポニーキャニオン

目次

[編集] 概要

グラフィック、サウンドが格段に進歩した21世紀のシューティングゲームを全く寄せ付けない「シューティングゲームの最高到達点といえる完成度を誇る」との評価がある。 熱狂的なファンを持ち、多くの関連作品が生まれ「コンパイルシューティング」というカテゴリーをマニア層に認識させる礎を築いた。

高速スクロールや緩急のついたスクロールは、飛翔の爽快感をプレイヤーに与えた。風光明媚な森林や海辺、荒野、メカニカルな基地、星の見える宇宙空間、スペースコロニー、生物内部など、多彩なステージを美しいグラフィックで表現している。

シンプルながら印象的な音楽は、多様な効果音とあいまって、高い評価を得ている。タイトル画面での効果音が印象的なファミコンディスクシステム版が有名であるが、ディスクシステム特有の音源は使っていないため、海外版でもそのまま再現されている(ただし、一部の曲について海外版は音程が異なっている)。

データが読み込みだけで書き込みが無かった事もあり、ファミコンディスクシステムのソフトの中にあって、データ破損をほとんど起こさないソフトとしても有名だった。

さらにA.I.C.(自動難易度調整)というシステムが組み込まれ、その設定調整の絶妙さもあって、プレイするたびに新鮮さを味わえるゲーム展開になっている。 後続のシューティングゲームに与えた影響は大きいが、A.I.C.など他作品が追随しようとしても中々に真似出来なかった要素もあり、それがこのゲームをますます孤高の傑作たらしめている。

ちなみに、コンパイルシューティングの始祖はザナックではないが、シューティング制作面でコンパイルが高く評価され有名になったのはザナックからであるともいわれる。

[編集] シリーズ作

1986年 MSX版「ザナック」
現在はI-revoで配信されている。
1986年 ファミリーコンピュータディスクシステム版「ザナック」
MSX版を大幅にアレンジ。最も有名と思われるザナックである。
1987年には海外向け(Nintendo Entertainment System)にロムカセット版がリリース。一部の曲の音程が違う。
2007年10月9日よりWiiバーチャルコンソールで配信開始(要500Wiiポイント)。
1986年 MSX2版「ザナックEX」
MSX2で「ラスタ分割によるスコア表示」を初めて実現したとされる。処理落ちが激しい。
2001年 Palm OS版「ザナック」
敵が少ない等、オリジナルとは若干違う。
2001年 プレイステーション版「ZANAC×ZANAC
新作「ZANAC NEO」とファミコン版「ザナック」移植版とのカップリング。雑誌での評価は今一つだったが、同シリーズのファンに支持された。
2003年 S!アプリ(当時はVアプリ)版「ザナック」
全6面。サブウェポンは全て4段階までパワーアップ、無限使用可能に統一(2番は時間経過で耐久力回復、6番は時間経過で再発射可能)。メイン・サブウェポン共に自動連射。等により、難易度は下がっている。

[編集] ゲームシステム

方向ボタンと2つの押しボタンで操作する。方向ボタンで自機を移動させる。押しボタンは一方をメインウェポン、他方をサブウェポンの発射に用いる。

画面上方から降りてくるボックスを破壊するとパワーチップが出現する。パワーチップは下へゆっくり移動する。このパワーチップを集めるとメインウェポンがパワーアップする。ボックスにはパワーチップの他に、敵弾が入っているものと何も入っていないものの3種類があり、ボックス自体は接触してもミスにはならないが、その中身が敵弾の場合はミスになる。

時折登場するカーゴや特定の地上物を破壊するとサブウェポンのアイテムが登場。取得で武器が切り替わり、使用中サブウェポンと同じ種類のアイテムを取るとパワーアップする。サブウェポンのアイテムは取らずにいると上へ移動し、やがては画面外へと消失する。

時々現れるイコンと呼ばれる地上物に6発撃ち込むとエネミーイレイサーが出現。それを取ると、空中の敵・敵弾が全て消滅する。

一定の条件を満たすと、当時のコンパイルのマスコットキャラクターであるランダーが登場する。これを取ると自機が1機増える。

ミスした際の中断は一切無く、その場で復活。ゲームオーバー後のコンティニューではステージの最初に戻される。

[編集] ゲームバランス

難度は高く、慣れないうちは1面クリアも厳しい程である。但し、局面によって限られた攻略パターンを見つけて極めるというタイプではなく、先へと進むためのプレイ様式は幅広い。また、A.I.C.があるためプレイスタイル、プレイヤーの技量により難易度は大幅に変化する。

1ステージのプレイ時間は長く、それが全12面(MSX版は8面)あるため、オールクリアまでのプレイ時間もかなり長い。これは発売当時の家庭用ゲームプレイヤーの嗜好とマッチしていて、その分大きな楽しみを与えた。ワープ技によりプレイ時間の短縮も可能。残機エクステンドは頻繁であり、慣れてくれば後半ステージでは残り数十機となることもある。

横から攻撃する敵が多く、縦スクロールシューティングのなかでも独特の調整となっている。連射速度は、秒間60連射までアップ可能だが、弾は発射ボタンを押しっぱなしにしていれば自動で連射される。

他方、このゲームはA.I.C.の影響でボタンを高速で連射する程に難易度が上昇する設定になっていた。当時ファミコン用に発売されたものでも最速であった秒間40連射のコントローラを使用すれば、日本のコンシューマSTG史上でも屈指といわれる地獄の様な難易度と化す。それを知らずに当時流行していた連射機能付コントローラを使用、連射機能をオンにしてプレイした結果、ゲームバランスという言葉がもはや存在しない様な異常な難易度となって投げ出した者も少なくなかった。

[編集] ステージ内容

本作は、全12(MSX版では8)のステージ(エリア)で構成されている。ここではファミコンディスクシステム版をもとに記述する。なおゲーム中のステージ表記はMSX版では「ROUND x」、FC版では「ARER x」、以降の版では「AREA x」となっている。

エリア0 
MSX版では2面の最初に戻るワープを取って戻り、画面の真ん中を撃つと出現するワープを取ると0面に行ける。(エリア0を過ぎると最終面になる。)
エリア1 
クレーターやクレバスのある荒地。その下に緑色の構造物が見え隠れする。
エリア2 
森林地帯。紫色の構造物が空中に配置されている。高速スクロールあり。巨大空中物(中ボス)が登場する。
エリア3 
海や森のある風光明媚なエリア。
エリア4 
異星のような紫や緑の地面に、灰色の構造物。
エリア5 
宇宙。星空を背景に、小惑星などが配置されている。高速スクロールあり。
エリア6 
遺跡の上空。巨大空中物が登場する。
エリア7 
スペースコロニー。ときおり背景の宇宙が見える。地上の砲台はエリア最後のみ登場。高速スクロールあり。巨大空中物が登場する。
エリア8 
生物の体内を思わせる有機的な背景のエリア。
エリア9 
エリア1に類似した荒地。その下にメカニカルな基地が見える。
エリア10 
赤いタイルなどで構成された、基地の表面。
エリア11 
青、緑、赤など各色のパイプで構成された、基地の内部。巨大空中物が登場する。
エリア12 
最終エリア。タイルなどで構成された、基地の深部。高速スクロールあり。巨大空中物が登場する。

[編集] 武器

[編集] メインウェポン

2連射から3並行3連射までパワーアップする。ある条件を満たすことでより幅の広い攻撃へのパワーアップも可能。 3つのボックスのパワーアップアイテムのボックスに一発撃ち、体当たりすると一気にパワーアップする。 失敗すると(弾が入っていた場合)一機失う。

[編集] サブウェポン

0番~7番の8種類ある。全てのサブ武器は1画面1発である。

0番 全方位弾(オールレンジキャノン)
全方位弾で、自機の移動方向に発射される。移動していない時は上方に発射。敵を貫通しない。地上物を破壊できる。メイン武器で破壊できない敵弾(リード)は破壊できず素通りする。無限に使用できる。レベル上昇で攻撃範囲が広がる。見かけの最大レベル(アイテムを取っても武器性能が変化しない状態)からさらに同じアイテムを取り続けると進化する。
0番・進化版
全方位弾。リードを破壊できるようになる。その他の性質は0番に同じ。
1番 貫通弾(ストレートクラッシャー)
貫通弾。前に直進する。リードや地上物を破壊できる。使い切ると0番に戻る。レベル上昇で攻撃面積や速度が増加。
2番 防御幕(フィールドシャッター)
バリア。主に自機前方を覆う。リードも防御する。地上物には当たらない。敵・敵弾に当たると消耗し、使い切ると0番に戻るが、使い切る前に2番を取ることで残り回数は満タンまで補給される。レベル上昇で防御面積が増加。更にレベルアップさせると進化する。
2番・無敵版
全方位バリア。あらゆる攻撃に対して無敵になる。残り使用回数の変わりに残り時間が表示され、時間とともに減っていく。時間が切れると0番に戻るが、時間切れの前にレベルアップを行うと再び残り時間が初期化され、上手く進めれば「永久無敵」も可能。
3番 回転弾(サーキュラー)
自機周囲を回転する。リードを破壊できる。地上物には当たらない。残り時間を使い切ると0番に戻るが、使い切る前に3番を取ることで残り時間は満タンまで補給される。レベル上昇で防御面積が増加。
4番 振動弾(バイブレーター)
横振動弾。前進速度は遅い。リードや地上物を破壊できる。敵に当たると耐久力が減少し0になると消滅し、再発射可能になる。無限に使用できる。レベル上昇で攻撃面積が増加。
5番 往復弾(リワインダー)
往復貫通弾。常に自機の前方に位置し、ブーメランのように往復移動する。リードや地上物を破壊できる。無限に使用できる。攻撃力は下記突然変異版に次ぐ強さ。レベル上昇で攻撃面積が増加。見かけの最大レベルからさらにパワーアップし続けるとレーザーに突然変異する。
5番・突然変異版
レーザー。高速で発射され、巨大空中物を含む全ての敵を貫通する。レベル上昇ごとにレーザーが長く伸びてゆく。リードや地上物を破壊できる。無限に使用できる。攻撃力は全ウェポン中最強。
6番 反応弾(プラズマフラッシュ)
弾消し弾。敵やリードに当てると、画面上の空中敵を全て破壊する。リードを破壊できる。地上物は破壊できない。弾数を使い切ると0番に戻るが、使い切る前に6番を取ることで残り回数は満タンまで補給される。レベル0とレベル1では反応弾を敵に当てる必要がある。レベル2では撃つだけで反応する。1発も使わずにレベルを上げてゆくと特殊な武器に変化する。
6番・特殊版
画面上の全ての空中物がランダーに変化する。1発しか使用できず、使うと0番に戻る。アイアイ(後述)では取得できない。その他の性質は6番に類似。なお6番レベル0と1同様、反応弾を敵に当てる必要がある。
7番 高速速射弾(ハイスピード)
高速弾。前方または斜め前方に飛ぶ。貫通弾。リードや地上物を破壊できる。規定時間(撃っている間だけ減少)を使い切ると0番に戻るが、使い切る前に7番を取ることで残り時間は満タンまで補給される。レベル上昇で攻撃面積が増加。

武器を1つ取ると即座に敵の出現テーブルが大きく変化することがある。

いくつかのエリアの「アイアイ」と呼ばれる地上物に武器を撃ち込むことで、レベルを最大にできる。レベルはミスや武器切り換えで0に戻る。

[編集] 関連作品

ガルケーブ 
SG-1000用、横スクロールシューティング。全32面。MSX用の移植版もあり。メインプログラマはザナックと同一である。
ファイナルジャスティス 
MSX用、発売はポニーキャニオン。宇宙(星空)が背景の縦スクロールシューティング。地上物が存在しないが、既にザナックとの共通点が散見される。
ガーディック 
MSX用、コンパイル初の自社発売ゲーム。ただしこれもコンパイルシューティングの始祖ではない。迷路状のマップをクリアしていく独特のゲームシステムであり、ザナックとの共通点は殆どない。
ガーディック外伝 
ファミリーコンピュータ用、発売はアイレム。ザナックとの共通点がみられる。尚ザナック[FC版]のED画面で裏技コマンドを入力すると、作中についでエンディング画面にも登場した“妖精さん”[隠れキャラの呼称]によって『SEE YOU NEXT IN GUARDIC[ガーディックで又会いましょう]』と言うトレーラーロゴが表示され、コンパイル[ザナック制作会社]の次回作はガーディックであると告知されていた。
ガンナック 
FC用、発売はトンキンハウス。タイトルの由来は「ガンヘッド+ザナック」。ゲームシステムはザナックのサブ武器が廃止され(メイン武器をアイテムで切り替える)、ボムが加わっており、『スーパーアレスタ』に近い。
アレスタ 
セガマスターシステム用、セガから発売。本作が事実上のザナックの後継作である。版権の都合でザナックという商標名が使えなかった事もあり、大幅なアレンジ・改良が行われた。MSX2などに移植され、こちらではコンパイル自身による販売となる。メガドライブなどで続編がシリーズ化される。
ブラスターバーン 
MSX用ディスクステーションの連載シューティング。ファイナルジャスティス・ガーディック・ガルケーブとあわせBADRUGAシリーズと呼ばれる。パロディ版のランダーバーンやスペシャルがある。
魔法大作戦 
コンパイルでザナック後継作(アレスタシリーズ)に加わったスタッフがライジングに移籍後開発。
バトルガレッガ 
『魔法大作戦』のスタッフと『サマーカーニバル'92烈火』のスタッフが開発。ショットのパワーアップや、無駄撃ちで難度上昇を招くところなどの類似点がある。
蒼穹紅蓮隊 
同上。N.A.L.S.が加わったことで、別の方向性を打ち出した。
超神兵器ゼロイガー 
PC-FX唯一の2Dシューティング。ザナックを製作後に独立したプログラマが開発に関与。
RUDE BREAKER 
PC-9800シリーズの書籍版ディスクステーション#10に収録されたシューティングゲーム。

[編集] 外部リンク


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