サウンドカード
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サウンドカード (Sound card) またはサウンドボード (Sound board) は、コンピュータに音声入出力機能を拡張するモジュール。
主にPCIバス、ISAバスなどでコンピュータに接続する。最近ではノートパソコン等に手軽に接続できるようにUSBバス接続やIEEE 1394接続の物があるが、これらはオーディオインターフェースと呼ばれることが多い。
現在では一般にサウンドカードというとゲーム用や音楽鑑賞用のものを指し、オーディオインターフェースというと音楽作成用のものを指すニュアンスが強い。
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[編集] 音源の変遷
パーソナルコンピュータは最初期は音声が出ないか、あってもビープ音のみという環境であった。そこで、パーソナルコンピュータに音楽を奏でる機能を持たせるため、サウンドカードが発売された。ごく初期のものではApple IIのMockingboardが有名で、PSG音源を搭載していた。次に、より豊かな音色を出力することのできるFM音源を使用するものが主流となった。やがて、ゲームのBGMなどでMIDIが用いられるようになると、サウンドカード上にMIDI音源を搭載するものが登場する。MS Windowsが普及し始めると、さらにPCMの使えるものも一般に普及するようになった。その後、FM音源を搭載しているものは次第に無くなり、MIDIとPCMかPCMを単体で搭載するようになった。一時期はMIDIとジョイスティック兼用のインタフェースが設けられているものも多く見られたが、どちらもUSBで接続できるようになったため、搭載製品も減りつつある。
[編集] 多チャンネル化
DVDの普及やゲームの効果音の高度化で多チャンネル化が進み、従来の2chに加え4.1ch、5.1ch、6.1ch、7.1chなど様々なものがある。 また、S/PDIF端子を用いてコンピュータの内部音声としてDVDやCDの音声などを多チャンネルもしくステレオ出力で出力することも広く一般的となっている。
[編集] 音響処理の複雑化
かつては自作パソコンにおいて、音声を出力するためにはサウンドカードが必須であったが、2000年以降マザーボードにサウンドチップとしてオンボード形式で搭載されているか、チップセットに機能が内蔵されていることが多い。このため、現在ではサウンドカードの普及はかつてより減少している。一方MS Windows環境におけるコンピュータゲームのサウンド環境は年々高度化しており、同時発音数の増加、音声の3Dエフェクト処理、多チャンネル化など、一般的なオンボードチップでは困難な処理能力が求められるようになってきている。こうしたサウンドカードは熱心なゲームユーザーを中心に用いられるようになっており、音響関係の複雑な計算を内部のデジタルシグナルプロセッサで行うことでCPUの負荷を軽減するようになっているものが多い。
[編集] オーディオカード
サウンドカードをより高音質化し、ASIOや様々な音楽制作用ソフトウェアに対応することでオーディオ入出力の機能性や品質向上を図りDTM用途を志向したものはオーディオカードと呼ばれることもある。オーディオカードは一般的なRCA端子の他にMIDI端子、フォーンプラグ、XLRタイプコネクター(キャノン)、BNC端子などといった実際の音楽制作でよく使われる端子が豊富に用意されている点や音楽制作用の比較的高価なソフトウェアがバンドルされている点などにおいて差別化されている。このほか、オーディオカードにはゲーム用途とは異なる音楽制作のための豊富なエフェクトやミキシング機能が備わっておりサウンドカードに比べ高い音質と機能を有しているのが一般的である。さらに近年ではオーディオカードを取り巻くコンピュータ環境の急速な発展とともにかつて高額であった業務用音楽制作機材が比較的低価格なオーディオカード(インターフェース)を中心とした製作環境へと音楽制作の用途を問わず移行しているのが現状である。(参照DAW)
[編集] 関連項目
- デスクトップミュージック(略称DTM)
- デジタルオーディオワークステーション(略称DAW)
- Sound Blaster
- 音響機器