コンビナート
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コンビナート(「結合」を意味するロシア語「kombinat、комбинат」から)とは、企業相互の生産性の向上のために原料・燃料・工場施設を計画的・有機的に結び付けた工業地域または企業集団のことである。元々は旧ソ連で計画的に配置された工業地域のことであったが、石油化学工業や鉄鋼業などで、原料や製品を有機的に結び付けた工場の集合を指すようになった。
日本ではその代表は石油コンビナート(石油化学コンビナート)である。石油コンビナートとは、厳密には石油化学工業・石油精製工業に関する上述の工業施設の集合体をさすが、石油精製工場(石油化学工場が近接していないもの)や石油貯蔵施設など、概観がそれに似ている石油関連施設も、「コンビナート」または「石油コンビナート」と俗称されることが多い。日本の石油コンビナートは、1956年に川崎市、四日市市、岩国市、新居浜市の4ヶ所に建設が決定されたことに始まる。
一方、コンビナートとよく混同されるコンプレックス(complex)とは、地域生産複合体と訳される、コンビナートよりも近距離にある原料・燃料・工業施設のまとまりである。旧ソ連においては1970年代からコンビナートからコンプレックスへと工業路線の変更がみられた。
[編集] 日本の主な石油化学コンビナート
- 茨城県神栖市(鹿島臨海工業地帯) - 三菱化学
- 千葉県市原市五井地区(京葉工業地域) - 丸善石油
- 千葉県市原市姉崎地区・袖ケ浦市(京葉工業地域) - 住友化学
- 神奈川県川崎市(京浜工業地帯) - 新日本石油、東燃ゼネラル石油
- 三重県四日市市(中京工業地帯) - コスモ石油、昭和四日市石油
- 大阪府堺市(堺泉北臨海工業地帯) - 東燃ゼネラル石油、コスモ石油、昭和電工
- 大阪府高石市(堺泉北臨海工業地帯) - 三井化学
- 岡山県倉敷市水島地区(瀬戸内工業地域) - 新日本石油、ジャパンエナジー、三菱化学
- 広島県大竹市・山口県岩国市(瀬戸内工業地域) - 三井化学
- 山口県周南市(瀬戸内工業地域) - 出光興産
- 愛媛県新居浜市(瀬戸内工業地域) - 住友化学
- 大分県大分市(大分臨海工業地帯) - 昭和電工