コニラヤ
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コニラヤ(Coniraya)は、インカ神話に登場する創造神。コニラヤ・ビラコチャ(Coniraya Viracocha)、クニラヤ[1]とも呼ばれる。ビラコチャ神の化身といわれる。月の神。
先代の創造神パリアカカから戦いを経ずにその地位を得る(パリアカカは先代ワリャリョ・カルウィンチョから、ワリャリョは先代ヤナムカ・インタナムカから、戦いに勝って地位を奪っている)。
当時のインカのワロチリ地方(Huarochiri)に残った文書によると、コニラヤは力の強い神で、言葉を発するだけで村や高地や畑を創り出した。耕地に水を供給する灌漑用の水路も彼が作ったとされている。
あるとき、女神カビリャカ(w:en:Cavillace)を見初めたコニラヤは、自分の精液が入った果実を彼女に食べさせた。そのため彼女は処女ながら妊娠し、子を産んだ。女神が男神を集め、誰が自分を妊娠させたのかを調べようと子を歩かせると、子はみずぼらしい姿で来ていたコニラヤに近づいた。驚いたカビリャカは子を連れて逃げ出し、追ってくるコニラヤから逃れるために海に入って石になってしまった。コニラヤは女神と子を探して世界中を歩き回ったものの、ついに2人を見つけることはできなかった。
また、コニラヤは、ある女神が世界中の魚を独り占めしていると聞くと、女神の池にこっそり溝を掘って魚を逃がした。そのため、現在、海に魚がいるのだという。女神が怒ってコニラヤの命を狙ったが、彼はうまく逃げていった。
[編集] 註
- ^ 『マヤ・インカ神話伝説集』(松村武雄編、大貫良夫、小池佑二解説、社会思想社〈現代教養文庫〉、1984年)222-232頁に見られる表記。
[編集] 参考文献
- 資料 世界神話伝説事典・地域順 コニラヤ
- 神魔精妖名辞典:「こ」行 コニラヤ・ヴィラコチャ
- 二つの岩島、海に魚のいる理由
- Index of Imaginary Beings コニラヤ