クリス・インペリテリ
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クリス・インペリテリ(Chris Impellitteri, 1964年9月25日 - )は、ヘヴィメタルバンド、インペリテリのギタリスト。 いわゆる速弾きギタリストとして有名であり、しばしば「世界最速」と形容される。
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[編集] 略歴・人物
10代の時に両親を飛行機事故で失うという不幸な経験を乗り越え、早くからインペリテリとしてバンドを立ち上げ、その速弾きで名を知らしめていた。 その指捌きは止まって見えると言われるほど高速かつ正確である。一時はギネスブックからも世界最速のギタリストとして認定されていたが、現在はその記録はバーニング・イン・ヘルのチアゴ・デラ・ヴェガによって塗り替えられている。
スケールなど基本的なプレイスタイルはクラシックベースであり、イングヴェイ・マルムスティーンよりやや遅れて出てきた上、その使用機材(フェンダー・ストラトキャスターのラージヘッドモデル)まで酷似していた為にイングヴェイのフォロワーとみなされていた。また、インペリテリがデビューした1980年代後半以降は、速弾き不要論なども巻き起こったためギタリストとしては不遇をかこっている。
レインボーに参加していたグラハム・ボネットが結成したバンド、アルカトラスからイングヴェイ・マルムスティーンが脱退した後、オーディションを受ける。 しかしスタイルがあまりにも似ていたために選から漏れ、代わりに全くギタースタイルの違うスティーヴ・ヴァイが加入した。 スティーヴ・ヴァイ本人はクリス・インペリテリのプレイを聴いて、受かるのはクリス・インペリテリだと思っていたらしい。
その後、1987年にミニアルバム「インペリテリ」をリリース。 1988年に活動を休止していたアルカトラスからグラハム・ボネットをボーカルとして招き、ファーストアルバム「スタンド・イン・ライン」をリリース。世界最速ギタリストの名を不動にしたが、指癖だけで弾き捲るスタイルが目立ち、ただ速いだけとの酷評も受けている。加えて本作品におけるボネットの起用が逆効果となり「イングヴェイのフォロワー」のイメージ払拭から遠のいてしまう。 流行遅れであるとの批判を受けて、「グリン・アンド・ベアー・イット」というモダンな音像の2ndアルバムを出すが、従来のファンが求めた音楽性とは言えず、却ってファンに酷評され結果的にミニアルバム「ヴィクティム・オブ・ザ・システム」より、以前の速弾きギターを中心としたネオクラシカルメタルのスタイルに戻る事となった。
その後もメンバーやスタイルを変えながらバンドを続けるが、現在はインペリテリを解体し、ロサンゼルスを拠点とするメタル・バンドで活動中。
[編集] 奏法
マイナー・スケールを用いた速弾き。ストリングスキッピングまたはスウィープによるアルペジオ。タッピング。チキンピッキング。肘の関節を使った振りの大きいオルタネイトフルピッキングを多用する。腕を大きく振ると正確性が失われるだけでなく、スピードも出しにくくなるので、普通の速弾き系ギタリストは必要最小限の動きで演奏する。またオルタネイトフルピッキングよりエコノミーピッキングやハンマリングオン・プリングオフの方がスピードを出しやすい。しかしクリスはあえて難しい奏法を用いることで独特のピッキングパワーを生み出している。特に複雑な多弦大アルペジオをこの奏法で弾くギタリストは少ない。また大きい振りだけでなくピッキングの角度、ピックの角度、ピッキングポジションを細かく変化させながら弾くなどの特徴もあり「完璧主義者」と言われることが多い。
しかし演奏スタイルを変えるとファン離れがおきてしまう事から、得意なボスハンドタッピングなどの奏法や様々な音楽性を封印したままである。
[編集] ディスコグラフィー (IMPELLITTERI名義)
- Impellitteri (1987年)
- Stand In Line (1988年)
- Grin & Bear It (1992年)
- Victim Of The System (1993年)
- Answer To The Master (1994年)
- Screaming Symphony (1996年)
- Eye Of Hurrricane (1997年)
- Crunch (2000年)
- System X (2002年)
- The Very Best Of Impellitteri~Faster Than The Speed Of Light (2002年)
- Pedal To The Metal (2004年)
他、トリビュートアルバム等にも参加
[編集] 関連項目
- ネオクラシカルメタル
- パワーメタル
- リッチー・ブラックモア - 幼少の頃から影響を受けていたと語っている。
- イングヴェイ・マルムスティーン
- グラハム・ボネット