カルトレイン
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カルトレイン(Caltrain)とは1987年に創業した、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコを始発とし、ギルロイ (Gilroy) までの約77マイル(約124キロメートル)を結んでいる郊外向けの通勤列車である。
全線非電化なので、2階建て客車数両をディーゼル機関車が牽引する形で運行する。カルトレインでは、平日に「Limited」と呼ばれる快速列車と、それに加えて朝夕の通勤時間帯に急行「ベイビー・ブレット (Baby Bullet)」を運行させており、これらを利用する事でサンフランシスコ~サンノゼ間を最短1時間弱で行き来できるようになっている。週末は普通しか運行しない。
カルトレインは2006年7月31日、ミルブレーからパロアルト間を走行中の列車内で、WiMaxを用いたのワイヤレスインターネット接続試験に成功したと発表した。カルトレインによると、近い将来列車走行中でもインターネットに接続できるようにするとの事。
注意:ゾーン5とゾーン6は、平日の通勤時間帯以外運行しない。
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[編集] 沿革
[編集] サザン・パシフィック鉄道の半島通勤輸送
サンフランシスコ半島の鉄道の歴史は、大陸横断鉄道の歴史より古く、サンフランシスコ~サンノゼは1863年に開業している。当初はサンフランシスコ・サンノゼ鉄道が運行していたが、この会社は1870年にサザン・パシフィック鉄道に買収された。
この路線は通勤路線としての歴史も古く、20世紀初頭には10往復前後の列車運行が行われていた。1904年には複線化が行われ、第二次世界大戦中には輸送量はピークに達した。
サザンパシフィック鉄道は地域輸送に不熱心で、ロサンゼルスやオークランド、オレゴン州内の近郊輸送は1940年代までにバス化されたが、この区間は例外的に通勤鉄道として存続した。しかしながら、赤字は避けられず、1977年、サザンパシフィック鉄道は州公益事業委員会に廃止の請願書を提出した。
[編集] カルトレインの登場
これを受けて、沿線地域の自治体によりカルトレインの運行事務局が設立され、1980年代にはサザン・パシフィック鉄道に運行補助が行われるようになった。運行事務局は車両や駅の、シャトルバスの運行を行い、カルトレインの名称を定着させた。
1987年には運行事務局は拡大し、半島回廊線運営委員会(Peninsula Corridor Joint Powers Board、略称PCJPB)が設立され、州と沿線自治体の資金援助によって1991年路線運行権の買収が行われた。これ以降、カルトレインは運営は、運営委員会が一手に引き受ける事になった。
運営委員会の買収後、1995年7月には車椅子への対応、その5ヶ月後には自転車の積み込み可能台数の増加が図られた。1998年にはサンフランシスコ市営鉄道のMuniメトロ線の延伸により、カルトレインとMuniメトロ線の乗換えが可能になった。2003年6月にはBARTの延伸により、Millbrae駅での両路線の乗換えが可能になっている。
なお、カルトレインの電化が計画されている。[1]
[編集] データ
- 開業年:1987年
- 路線距離(営業キロ):約124.6km (77.4mi)
- 軌間:1435mm(標準軌、4 ft 8½ in)
- 最高速度:約127km (79mi)
- 複線区間:全線複線、一部複々線区間有り
- 電化区間:無し(全線非電化)
- 運賃制度:距離制
- 駅数:全32駅(起終点駅含む)
- ダイヤ本数:平日96本(内急行22本、快速48本)、土曜日32本、日・祝日28本
- 利用者数:32031人/週
- 車両数
- 機関車:全29車両
- 客車:全110両
[編集] 運賃
運賃は距離制で、乗車する駅と降車する駅のゾーン (Zone) の違いで計算される。下記にある括弧内は、Zone1に位置するサンフランシスコ(下記ではSFと示す)から他駅のZoneまでの料金の例である。上りと下りによる料金の違いはない。通常は自動販売機にて現金またはクレジットカードで切符を購入することができる。現在”Proof of Payment"方式をとっているため、車内での切符の販売はない。(以前は、3ドルの追加料金を払えば車内で購入することもできた。)日本のような電車に乗るときの改札は無く、切符を購入した後そのまま列車に乗車できるが、車内で乗務員による切符のチェックを受ける。この時に、有効な切符などを持っていないと罰金の対象になる。
2007年4月2日現在の運賃状況:
- 発着駅がゾーン内の場合(SF~Zone1): $2.25
- 発駅と着駅の間が1ゾーンまたがるとき(SF~Zone2): $4.00
- 発駅と着駅の間が2ゾーンまたがるとき(SF~Zone3): $5.75
- 発駅と着駅の間が3ゾーンまたがるとき(SF~Zone4): $7.50
- 発駅と着駅の間が4ゾーンまたがるとき(SF~Zone5): $9.25
- 発駅と着駅の間が5ゾーンまたがるとき(SF~Zone6): $11.00
後述の停車駅の節にはZoneが記されているので、そちらも参照せよ。
例えば、マウンテンビューからメンロパークへ行く場合は、発着駅が両方とも同じZoneにあるので料金は$2.25、レッドウッドシティーからサンノゼへ行く際は、駅が発駅・着駅とで2ゾーンまたがっているので料金は$5.75、という具合である。
[編集] 駅一覧
(2007年1月現在の急行「Baby Bullet」の平日の停車駅; A, B は停車駅のパターン; Traditional Peak は朝の北行と夕方の南行; Reverse Peak はその逆である。快速「Limited」の停車駅はパターンが複雑であるためここでは省略する。)
ゾーン | 距離 (マイル) |
Traditional Peak | Reverse Peak | 駅 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
A | B | A | B | |||
1 | 0.2 | サンフランシスコ4番&キングストリート(4th & King Streets, San Francisco) Muniに接続 |
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1.9 | サンフランシスコ 22番ストリート(22nd St., San Francisco) | |||||
5.2 | ベイショア(Bayshore) | |||||
9.3 | サウスサンフランシスコ(South San Francisco) | |||||
11.6 | サンブルノ(San Bruno) | |||||
2 | 13.7 | ミルブレー(Millbrae) BARTに接続、BARTを経由してサンフランシスコ国際空港へ接続 |
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16.3 | バーリンゲーム(Burlingame) ミルブレー・バーリンゲーム間に週末のみ営業するブロードウェイ駅がある。 |
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17.9 | サンマテオ(San Mateo) | |||||
19.1 | ヘイワードパーク(Hayward Park) | |||||
20.3 | ヒルズデール(Hillsdale) | |||||
21.9 | ベルモント(Belmont) | |||||
23.2 | サンカルロス(San Carlos) | |||||
25.4 | レッドウッドシティー(Redwood City) | |||||
3 | 28.9 | メンロパーク(Menlo Park) レッドウッドシティ・メンローパーク間に週末のみ営業のアサートン駅がある。 |
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30.1 | パロアルト (Palo Alto) | |||||
30.8 | スタンフォードスタジアム(Stanford Stadium) イベント時のみ停車 |
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31.8 | カリフォルニアアベニュー(California Ave.) | |||||
34.1 | サンアントニオ(San Antonio) | |||||
36.1 | マウンテンビュー(Mountain View) VTA ライトレールに接続 |
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38.8 | サニーベール(Sunnyvale) | |||||
4 | 40.8 | ローレンス(Lawrence) | ||||
44.7 | サンタクララ(Santa Clara) アルタモント通勤急行(ACE)に接続、VTA のバスrt.10を利用して、サンノゼ国際空港へ接続 |
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46.3 | カレッジパーク(College Park) | |||||
47.5 | サンノゼ(San Jose Diridon) Amtrak、ACE、VTA ライトレールに接続 |
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49.1 | タミエン(Tamien) VTA ライトレールに接続 |
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平日通勤時間帯のみ運行 | ||||||
5 | 52.4 | キャピタル(Capitol) | ||||
55.7 | ブロッサムヒル(Blossom Hill) VTA ライトレールに接続 |
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6 | 67.5 | モーガンヒル(Morgan Hill) | ||||
71.2 | サンマーティン(San Martin) | |||||
77.4 | ギルロイ(Gilroy) |
[編集] 様子
[編集] 駅
カルトレインの駅は、各駅停車だけが停まるような駅は閑散としており、列車が出発した直後などの時は、急行が止まるような大規模な駅以外では駅員さえもいない、というような無人駅がほとんどである。 日本では毎日駅に人が集まり、周辺の地価が上がるのと比較して対照的である。
[編集] 車内
カルトレインの車内は、日中は人は少ないが、朝夕にはラッシュが伴い、同時にたくさんの人が利用するので賑わうことが多い。座席は総入れ替えが施され、一世代まえのものより格段と座り心地が上昇した。また、車内での揺れも比較的少ない。二階席では一階席よりも高い位置から景色を眺めることができる。
ちなみに主に各駅停車として使用されている客車はいずれも日本車輌製である。ドア上部には日本車輌のロゴと、製造年が表示されていることが確認できる。急行の客車はボンバルディア製である。ただし、2007年9月現在、種別にかかわらず各停用、急行用の客車が混用されていることが確認されている。(混結は行っていない)