オメガ
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オメガ (OMEGA ) とは、世界的に有名なスイスの高級腕時計ブランドである。現在はスウォッチ・グループに属している。
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[編集] 歴史
1848年、23歳のルイ・ブラン(Louis Brandt )がラ・ショー=ド=フォンにて懐中時計の組み立て工房を開いたことに始まる。1879年に彼が亡くなると息子のルイ=ポール・ブラン(Louis-Paul Brandt )とセザール・ブラン(César Brandt )が後を継いだ。1882年には本社を現在地のBielに移転。1894年に有名なキャリバー「オメガ」を製作、後にこれをメーカー名とした。1903年にルイ=ポールとセザールが亡くなるとポール=エミーユ・ブラン(Paul-Emile Brandt )が後を継いだ。
1932年の第10回オリンピックロサンゼルス大会の公式計時に採用されて以来多数の大会の公式計時を務め、写真判定用カメラ「レースエンド・オメガ・タイマー」、史上初の電子計測機器「オメガ・タイム・レコーダー」、水しぶきに反応せず選手のタッチには反応するタッチ板を開発するなど計時の技術進歩に貢献した。2006年のトリノオリンピック、2008年の北京オリンピックにも採用されている。
過去には手巻きのCal30系、自動巻のCal.56*系等自社設計の名機を輩出している。現在ではムーブメントは自社製造していないが[1]、外注した製品を分解し、研磨し、組み立て、調整する作業を行っている。
1965年に「スピードマスター」がNASAの公式腕時計として採用され、その耐久性の高さを世に知らしめた。
1999年、独立時計師のジョージ・ダニエルズが開発した「コーアクシャル」と呼ばれる新機構を採用し、腕時計界に衝撃を与えた。機械式時計の心臓部である調速機構との動力伝達を果たす、脱進機機構(アンクル爪、ガンギ歯)における摩擦を大幅に低減し、約10年間オーバーホール無しでも精度を保つことができる。
[編集] モデル
[編集] コンステレーション
コンステレーション(Constellation )とは星座の意。文字盤6時位置にある星と、裏蓋の天文台が目印[2]である。クロノメーター検定に合格した機械を積んだ高級ライン。1960年代の日本では高級時計の代表的存在であった。クォーツショック後一時全てクォーツモデルになっていたが最近再び一部自動巻の機械式が発売されるようになっている。
[編集] デ・ビル
デ・ビル(仏:De Ville )は「街角」との意[3]。モデルによってはコーアクシャル機構を採用し劣化の低減に成功している。
[編集] シーマスター
元々は「デ・ビル」の防水版派生モデルである。
プロフェッショナルモデルはヘリウムエスケープバルブを搭載することでヘリウム飽和潜水時の風防の破損を防いでいる。アメリカズカップモデルやジャック・マイヨールモデルなどの限定モデルがある。最近では、オメガのコーアクシャル機構を搭載した「プラネットオーシャン」など簡易メンテナンスで飽和潜水が可能なモデルも登場している。
90年代後半にはオメガマチックとよばれる自動巻発電機構を搭載したクォーツも登場したが、現在では生産されていない。 映画『007』シリーズ(第17作目『ゴールデンアイ』以降)でピアース・ブロスナンが演じるジェームズ・ボンドが着用したダイバーズウォッチとして知られている。しかし007の原作に出て来るのは「ロレックス・サブマリーナー」である。
[編集] スピードマスター
「シーマスター」に手巻きのCal.321を搭載した「シーマスター・クロノグラフ」が原型であり、裏蓋のシーホースにその名残を伺うことができる。1957年に「スピードマスター」となった。NASA採用を機に1966年「スピードマスター・プロフェッショナル」と改名し、1968年には機械がCal.861に変更された。1997年には機械がCal.1861に変更され、現在でも市販されている。堅固なモデルとして知られるが、多重ケースによってショックを吸収できることと、自動巻き機構や日付表示が搭載されない等クロノグラフとしては機構が非常にシンプルであることによると考えられる。ただし、現行品では防水性はほとんど期待出来ない[4]。機械はレマニア製。
後にETA、フレデリック・ピゲ製自動巻きムーブメントが搭載され「プロフェッショナル」より一回り小振りな「スピードマスター・オートマチック」が追加された。またNASAと共同開発したクォーツ式「スピードマスター・プロフェッショナル」モデルも発売されている。
「プロフェッショナル」・「オートマチック」共に非常に限定モデルが多い。「プロフェッショナル」の場合、誕生した年より何十周年か経過すると「○○周年記念モデル」、各ロケット、スペースシャトルの打ち上げた年より何十周年か経過すると「○○(シャトル名)号○○周年記念」、変わったところでは「スヌーピー」「銀河鉄道999」等とコラボレートしたモデルも存在する。「オートマチック」の場合、下記の「M・シューマッハモデル」や「マルイ限定モデル」等が存在する。
[編集] NASA公認
1965年にNASAは宇宙空間でも使用に耐える腕時計を選定するため時計店の店頭で各社各種の時計を購入して耐熱性、耐寒性、耐衝撃性など様々な試験を行い、この結果「スピードマスター」のみが合格したため「スピードマスター」はNASAの公認クロノグラフとなった。しかし当初は無重力下で通常の機械式時計がどう動作するか分からなかったため、コクピットクロックは音叉によって制御されるブローバ製の電気時計「アキュトロン」が採用されている。
NASAがスピードマスターを選定したと発表があった後、代々の重役を国防省からの天下りで構成していた当時のアメリカ大手時計メーカーであったブローバより「国家的プロジェクトにはアメリカ製品を使うべきではないか」とのクレームが入り、ブローバ社の技術陣が特別に1つのみ製作したクロノグラフとスピードマスターによる再選定を行ったが、結果はスピードマスターの勝利であった。なおも食い下がる元海軍提督のブローバ社社長に対し選定委員は「あなたの会社の製品ではアメリカの威信を守ることは出来ません」と選定終了を宣言している。
アポロ計画でも使用され、1969年には月面に降り立った最初の腕時計という栄誉を獲得、それ以後裏蓋には "FIRST WATCH WORN ON THE MOON" の文字が刻まれている。1970年アポロ13号が月に向かう途中で酸素タンクが爆発するという大事故に遭遇し航法用コンピュータが使用不能になったが「スピードマスター」を用いてロケット噴射時間の制御を行い全員無事生還を果たしたことでさらなる信頼を得た。現在においてもスペースシャトルにおいて船外活動時にはこの機種以外の使用は認められていない。ただし1971年アポロ15号による月面探査の際には宇宙飛行士デイヴィッド・スコットのスピードマスターが故障しウォルサムの時計が使用されている。
[編集] ミハエル・シューマッハ
元F1ドライバーのミハエル・シューマッハが以前からオメガの大ファンであることをテレビ番組で知ったオメガ社の社員が彼に個人スポンサーのオファーをし、契約された。その後もシューマッハはスピードマスターを愛用しているだけでなく、現役時代には記念限定モデルもリリースされている。
[編集] その他
北朝鮮では金日成主席や金正日総書記から党幹部や軍幹部に送られる贈り物の一つとして「金日成時計」「金正日時計」などが存在する。これらの時計は文字盤にハングルで金日成や金正日のサインが入ったものであるが、北朝鮮のオリジナル製品ではなく実際はオメガ社の時計であると言われている。
[編集] 脚注
- ^ 現在スイスの多くの時計メーカーはムーブメントを自社製造していない。
- ^ 以前は時計の検定を天文台で行っていたことによるが、天文台で検定した機械そのものを搭載しているわけでなくイメージ。
- ^ 悪魔 devil とはスペルが異なる。
- ^ 初期の製品には6気圧の防水性を備えたものも存在した。
[編集] 外部リンク
- OMEGA - オフィシャルサイト