オイラー標数
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オイラー標数(オイラーひょうすう、Euler characteristic)とは、位相空間のもつある種の構造を特徴付ける位相不変量のひとつ。オイラーが多面体の研究においてこの不変量を用いたことからこの名がある。
- オイラー数と呼ばれることもあるが、オイラー数は別の意味で使われることも多い。
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[編集] 定義
位相空間 X のホモロジー群 Hi(X) (i = 0, 1, 2, ...) について、オイラー標数 χ(X) は
で定義される[1]。ただし、bi は X の i 次のベッチ数、すなわち Hi(X) のアーベル群としての階数である。
[編集] 性質
ホモロジー群は位相不変量であるため、オイラー標数も位相不変量である。閉曲面の分類定理により、連結かつ向き付け可能な閉曲面においてはオイラー数は位相同型に関する完全不変量になっている。
n次元CW複体 K に含まれる i 次元単体の個数を qi とすると、
である。つまり、この場合はホモロジー群を計算せずとも含まれている単体さえわかればオイラー標数を計算できる。特に K が多面体であった場合、頂点数 V = q0, 辺の数 E = q1, 面の数 F = q2 として
- χ(K) = V − E + F
とも書かれる。凸多面体ならばこれは常に 2 に等しく、これをオイラーの多面体定理という。
[編集] 脚注
- ^ 十分先でベッチ数は 0 になるので、和は実質有限和である
[編集] 参考文献
- 田村一郎 『トポロジー』 岩波全書、1972年、102頁。