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エドガー・アラン・ポー - Wikipedia

エドガー・アラン・ポー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

エドガー・アラン・ポー
エドガー・アラン・ポー
文学
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エドガー・アラン・ポーEdgar Allan Poe1809年1月19日 - 1849年10月7日)は、アメリカ合衆国ボストン市生まれの小説家詩人。血液型はAB型。

1841年に発表された小説モルグ街の殺人』には探偵C・オーギュスト・デュパンが登場し、史上初の推理小説と評価されることが多く、その後の推理小説の発展に寄与した。また、ホラー小説の分野でも一時代を代表する作家とみなされている。さらに作品に科学的事実を取り入れる手法はジュール・ヴェルヌによって注目され、近代SF発展の一因ともなった。詩人としては、自らの詩を解説しながら詩の構築を説いた『詩の原理』で、フランスの詩人、ボードレールステファヌ・マラルメなどの象徴派の系譜に多大な影響を与えた。

ちなみに日本の推理作家江戸川乱歩の名前は、エドガー・アラン・ポーをもじって付けられたものである。

目次

[編集] 生涯

エドガー・ポーはマサチューセッツ州ボストン市で女優エリザ・ポーと俳優デービッド・ポーの息子として1809年に産まれた。両親共にスコッチアイリッシュ。ポーの両親はポーが3歳の時に相次いで亡くなり、ポーはバージニア州リッチモンド市の富裕な商人ジョン・アランの養子として引き取られエドガー・アラン・ポーを名乗ることとなった。

イングランドとバージニア州リッチモンドの学校に学んだ後にポーはバージニア大学に入学したが、僅か一年で放校された。1827年5月26日、ポーはエドガー・A・ペリーの名で新兵として合衆国陸軍に入隊した。2年間の軍隊生活で上級曹長まで昇級した後、除隊した。ポーはウェスト・ポイントの合衆国陸軍士官学校への入学を許可されたが、意図的な反抗により除籍された。

次いでポーは叔母である未亡人マリア・クレムと従姉妹ヴァージニアと共に、メリーランド州ボルチモア市に転居した。ポーは自活の手段として創作を利用し、リッチモンドのトーマス・W・ホワイトの創立した『南方文学新報』(the Southern Literary Messenger)の1835年12月号から編集長となり、1837年1月まで務めた。この頃、ポーは周囲の猛反対を押し切って幼いヴァージニアとリッチモンドで結婚した(1836年5月16日)。

ニューヨークでの実りのない15ヶ月の後に、ポーはフィラデルフィアへ転居した。到着から間を置かず『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』が出版され、広く評価された。1839年の夏、元役者のバートン氏が主宰する『バートンズ・ジェントルマンズ・マガジン』(Burton’s Gentleman’s Magazine)の共同編集者となる。週給10ドルという薄給ながら、編集のみならず多数の記事や物語、批評を発表し、南方文学新報で確立された彼の辛辣な批評家としての名声を、より一層強固なものとすると同時に、売上げに多大な貢献をした。1839年には、短編集『グロテスクとアラベスクの物語』Tales of the Grotesque and Arabesque が二分冊で出版された。金銭的な成功こそ得られなかったものの、この短編集はアメリカ文学史の道標となった。だが、バートン氏が劇場設立に投資を始めたこと、黒人奴隷関連の小説に関するポーの酷評を掲載禁止としたこと、そしてポーが自らの雑誌発行の計画を知ったことなどから、二人は衝突。1841年、『バートンズ・ジェントルマンズ・マガジン』の版権は売りに出され、3500ドルで買い取ったグレアム氏が新たに作った雑誌『グレアムズ・マガジン』(Graham’s Magazine)に、月額50ドルで編集および執筆に参加する。

1842年1月にヴァージニアが肺出血に見舞われた。この出血は肺結核の最初の兆候であり、ヴァージニアは病に伏し、後には命を落とすことになる。ヴァージニアの病気による圧迫感から、ポーは過度の飲酒を始めた。ポーはグレアム社を去り、妻の看病や創作活動に時間を取れる公務員になろうと試みた。

ポーはニューヨークに帰還、『ミラー』(Mirror)の編集に参加後、『ブロードウェイ・ジャーナル』(Broadway Journal)の編集長を務め、そのかたわら、短期間『イブニング・ ミラー』紙で活動した。ここでポーは、ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローとの公開論争に没頭するようになった。1845年1月29日、イブニング・ミラー紙にポーの詩『大鴉』が公表され、絶賛を博した。

ブロードウェイ・ジャーナルは1846年に倒産した。ポーはブロンクスにある一軒家に引っ越した。この一軒家はグランド・コンコースとキングスブリッジ通りの東南の角にあり、現在でも一般に公開されている。1847年に、ヴァージニアはこの一軒家で亡くなった。愛妻の死から、より精神に不安を来たすようになったポーは、詩人サラ・ヘレン・ホイットマンへの求婚を試みた。この求婚は失敗したが、ポーの飲酒癖と常軌を逸した行動が原因であったとされる。しかしながら、ホイットマンの母親が二人を引き離すために介入したとする証拠も存在する。ポー自身の記述によれば、彼はこの時期に阿片チンキの過剰服用による自殺を試みている。その後、ポーはリッチモンドに帰郷し、その頃には未亡人となっていた幼馴染の恋人サラ・エルミラ・ロイスターとの関係を再開した。

1849年10月3日ボルチモア市の路上で重篤状態に陥っているところを発見されたポーは、ワシントン大学病院へ搬送され、10月7日の朝に死亡した。多くの資料は、ポーの最期の言葉は“It's all over now; write Eddy is no more.(もう何もかも終わりだ、墓には「エディはもういない」と刻んでくれ)”であったとしている。別の資料は、“Lord, help my poor soul.(主よ、哀れな魂をお救いください)”であったとしている。ポーの死因については諸説あるが、最期を看取ったJ・E・スノッドグラス医師は、過度の飲酒が直接の死因だと述べている。

[編集] ヴァージニア・クレム

ポーがヴァージニアと結婚したとき、ポーは27歳4ヶ月、ヴァージニアは13歳9ヶ月だった。ヴァージニアのあまりにも若すぎる結婚に対して風当たりが強かったときに、ポーは彼女に対して「私の恋人、私の優しい妹、私の可愛いちっちゃな奥さん。あなたの従兄エディの心を破滅させる前に、よく考えてみてね」という内容の手紙を送っている。1842年の1月、ヴァージニアはピアノを弾きながら歌をうたっているときに喀血。それ以降ポーは、愛する妻の死という現実から逃れようと深酒を繰り返し、また神経的な憂鬱症を深めていくこととなる。1847年1月30日、彼女は貧しさの中、24歳の若さで結核で死ぬ。その後、ポーの生活はかなり荒んだものとなっていく。ヴァージニアの死後2年半後、ポーは40歳で亡くなる。ポーの死後2日目に地元新聞『ニューヨーク・トリビューン』紙に、ヴァージニアへの愛を詠ったとされる『アナベル・リー』が発表される。ヴァージニアが死ぬ直前に、ポーに対して語りかけた言葉が記録に残っている。「私が死んだなら、あなたを守る天使になってあげる。あなたが悪いことをしそうになったら、その時は両手で頭を抱えるの。私が守ってあげるから……」。

[編集] 作品

[編集] オーギュスト・デュパンもの

  • モルグ街の殺人(The Murders in the Rue Morgue)(1841年)
  • マリー・ロージェの謎(The Mystery of Marie Roget)(1842年)
  • 盗まれた手紙(The Purloined Letter)(1845年)

[編集] その他の小説

1833年

  • 壜のなかの手記(Ms. Found in a Bottle)

1835年

  • 息の喪失(Loss of Breath)
  • 影(Shadow)
  • ハンス・プファールの無類の冒険(The Unparalleled Adventure of One Hans Pfaall)
  • ペスト王(King Pest)
  • ベレニス(Berenice)
  • ボンボン(Bon-Bon)
  • 名士の群れ(Lionizing)
  • モレラ(Morella)
  • 約束ごと(The Assignation)

1836年

  • エルサレムの物語(A Tale of Jerusalem)
  • オムレット公爵(The Duc De L'omelette)
  • 四獣一体(Four Beasts in One)
  • メッツェンガーシュタイン(Metzengerstein)

1837年

  • 沈黙(Silence)
  • ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語(The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket)

1838年

  • リジイア(Ligeia)

1839年

  • アッシャー家の崩壊(The Fall of the House of Usher)
  • ウィリアム・ウィルソン(William Wilson)
  • 鐘楼の悪魔(The Devil in the belefry)
  • 使いきった男(The Man That Was Used Up)

1840年

  • 実業家(The Business Man)
  • ジューリアス・ロドマンの日記(Journal of Julius Rodman)

1841年

  • 赤死病の仮面(The Masque of the Red Death)
  • 大渦に呑まれて(メエルシュトレエムに呑まれて)(A Descent into the Maelstrom)

1842年

  • 落とし穴と振り子(陥穽と振子)(The Pit and the Pendulum)
  • 庭園(The Landscape Garden)

1843年

  • 黄金虫(The Gold Bug)
  • 黒猫(The Black Cat)
  • 告げ口心臓(The Tell-Tale Heart)

1844年

  • 「お前が犯人だ」(Thou Art the Man)
  • 軽気球夢譚(The Balloon-Hoax)
  • 長方形の箱(The Oblong Box)
  • 鋸山奇談(A Tale of the Ragged Mountains)

1845年

  • ヴァルドマアル氏の病症の真相(The Facts in the Case of Mr.Valdemar)
  • シェヘラザーデの千二夜の物語(The Thousand-and-Second Tale of Scheherazade)
  • タール博士とフェザー教授の療法(The System of Dr.Tarr and Prof.Feather)
  • ミイラとの論争(Some Words with a Mummy)

1846年

  • アモンティリヤアドの酒樽(The Cask of Amontillado)

1847年

  • アルンハイムの地所(The Domain of Arnheim)

1849年

  • フォン・ケンペレンと彼の発見(Von Kempelen and His Discovery)
  • メロンタ・タウタ(Mellonta Tauta)

1850年

  • 悪魔に首を賭けるな(Never Bet the Devil Your Head)
  • 天邪鬼(The Imp of the Perverse)
  • ウィサヒコンの朝(Morning on the Wissahicon)
  • Xだらけの社説(Xずくめの社説)(X-Ing a Paragraph)
  • エレオノーラ(Eleonora)
  • 群衆の人(The Man of the Crowd)
  • 煙に巻く(Mystification)
  • 催眠術の啓示(Mesmeric Revelation)
  • 週に三度の日曜日(Three Sundays in a Week)
  • スフィンクス(The Sphinx)
  • 楕円形の肖像(The Oval Portrait)
  • チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか?(Why the Little Frenchman Wears His Hand in a Sling)
  • ちんば蛙(Hop-Frog)
  • 早すぎた埋葬(早まった埋葬)(The Premature Burial)
  • 不条理の天使(The Angel of the Odd)
  • 眼鏡(The Spectacles)
  • 妖精の島(The Island of the Fay)
  • ランダーの別荘(Landor's Cottage)

[編集] 評論やエッセイなど

  • メルツェルの将棋差し(Maelzel's Chess-Player)(1836年)

[編集] 代表的な詩

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク


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